ボトムズではない新世代ボトムズとは?

ボトムズファインダー

2010年 全1話OVA サンライズ制作
声の出演:石田彰、森川智之、広橋涼、田中秀幸、広瀬正志、他

簡単解説
崖の下のボトムズで、幼馴染のエイビイと共に、Atを用いてシロアリ退治の用心棒をしているアキは、崖の上にある都市・トプに憧れる青年。そんな彼の下にトプから来たというレッシングの依頼を受け、誘拐された少女を助ける道案内を頼まれる。だが実は本当の誘拐犯はレッシングの方で、裏切られたアキは少女を守っていた男・ディアハルトと共に少女を助ける為崖を登り、トプを目指す。


さて、本作は「ボトムズニュージェネレーション」を標榜に制作されたOVA3作品のうちの一本で、「Case;IRVINE」や「孤影再び」と共に「ボトムズフェスティバル」で劇場公開もされた作品だ。但し、この「ボトムズファインダー」は他の2作品とは異なり、既存のボトムズの世界観や設定を無視して独自の世界観を構築したいわばパラレル的な作品となっている。故に、登場するメカもAT…アーマードトルーパーではなく、At…アルモレド・トロオペロイド…略してアルトロであり、デザインや機能も所謂ATとは一線を画したものとなっているのが特徴となっている。ちなみに制作はカップヌードルのCMでお馴染みの「FREEDOM」を制作したサンライズ荻窪スタジオが手掛けている。

キーワードでもある「ボトムズ」の意味も、テレビシリーズ等ではどん底野郎、とか最低野郎という様な、AT乗りに対しての蔑称であったのに対し、本作では崖の上で近未来的な都市に住むトプに対し、崖の底で古Atを回収して再利用するのを生業として生きている、トプと比べ明らかに技術的、生活的水準の低い人々の総称として使われている。この極端に技術力の違う人種の邂逅…という点では、本作の雰囲気や世界観は「ターンエーガンダム」に通じる部分があるかもしれない。

さて、本作の内容についてであるが、トプとボトムズ…という世界観は割と凝ったものになってはいるが、物語自体は至って単純明快な活劇として展開する。ノリとしてはボーイ・ミーツ・ガール的ではあるが、最終的に重視されるのはトプに憧れていたボトムズの青年アキと、トプにてそれなりの地位を持ち、多くのトプに住まう人と同様ボトムズに自覚なき偏見を持つトプの青年ディアハルトの友情であろう。つまりは本作の中身というのは、初対面で殴り合っていた男二人が女を助ける為に協力し、最後は固い握手…という割とパターンなものでしかない。

そして、あえて「装甲騎兵ボトムズ」とは繋がりを持たせなかった世界観ではあるが、設定的には面白いものはあると思うのだが如何せん説明不足である。まぁ、「ボトムズ」という名を借りてはいるが、ほぼオリジナルと言える世界観を40分程度の尺の中で存分に魅せる…というのは無理があるのだろうが、もう少し突っ込んだ描写があった方が良かったように思う。もっとも、世界観のイメージとしては、何となく「キングゲイナー」「エウレカセブン」「ターンエーガンダム」といった近年の有名作品に近いものがあるせいか、少なくとも分かり難いシロモノになってしまわなかった事が救いともなっている。

ただ、難点も多い本作「ボトムズファインダー」ではあるが、それだけで本作を駄作、と片付けるのは惜しい…というより早計…いや、少し可哀想な気がする。確かに尺が短い為、ボトムズとトプの関連など描き切れていない部分は多いし、世界観も舌足らずで終わってしまった感はあるものの、「ケースアービン」とは違い「尺が短い事が残念」に思える作品には仕上がっている。勿論、コッテコテのボトムズ原理主義者には口が裂けてもおススメ出来ない作品ではあるが、ボトムズニュージェネレーションを標榜とする作品としては立派に「次に期待できる」作品になっていると思う。この作品も、言うなれば「ボトムズ」を名乗る必然性に関しては疑問、という意見が出るのはまぁ、間違いないのだろう。でもそれは逆説的に言ってしまえば次世代の「ボトムズ」ならば、それはもう「ボトムズ」である必要はない、とも言える筈だ。

ナゼ私が「ケースアービン」はダメで「ファインダー」を推すのか…というのは、メカアクションの面白さが非常に大きい。いつものボトムズであれば、ローラーダッシュでターンしつつマシンガンやらミサイルを撃ちまくり、接近戦ではアームパンチ…というのがパターンだが、本作の場合はメインはワイヤーアクションになっており、At自体も割と飛んだり跳ねたり平面ではなく立体的なアクションをして見せる。そしてそのアクションもガスカートリッジを機体のチャンバーに送って作動…という設定をちゃんと絡めて描いている為、新鮮味があり非常に面白い。思えば、「ボトムズ」のATのアクション自体が元々ローラーダッシュ、アームパンチ、ターンピック、ターレットレンズ…といった具合に機械的ギミックの面白さが大きかった訳で、そういう意味ではメカのギミックをそれらしく見せる…という点では本作も「ボトムズ」してる、と言えるのかもしれない。

ともかく、劇中でも「タンブラー(曲芸師)」の異名を持つアキの見せるAtの動きはスピーディかつ派手でストレートに面白いし、他にも、中盤以降に登場するトプの警察用Atが、変形するクローの様な武器で敵を倒すのではなく捕縛していくシーン等、とかくアクションシーンには見どころが多い。またアキ達が使っているAtが如何にも使い古して色んなパーツを流用して使っている風なのに対し、ディアハルトのAtを始めとするトプのメカニックはもうビジュアルからして近未来的にラインを変えているのも、上で書いた「ターンエーガンダム」を彷彿とさせる要素だろう。

何よりも魅力的なのは、本作が「ボトムズ」であって「ボトムズ」でなかった事であろう。ホントならば「赫奕たる異端」の時点で「ボトムズの続編は作らない」という公約を覆してしまっている「装甲騎兵ボトムズ」ではあるが、「ペールゼン・ファイルズ」以降は何でもアリ的な様相になってしまっている。別に私自身「青の騎士ベルゼルガ物語」という、本家「ボトムズ」を愛する人々がなかった事扱いする外伝小説が好きだったりもする訳で、別段コレに文句を言うつもりは無い。「ボトムズ」と言わず、「ロボットアニメ」というジャンル自体が慢性的なネタ不足という部分もなんとなく分かってもいる。ただ、名前を引っ張り出すだけのリメイクやらには辟易しているし、「ボトムズ」まで「ガンダム」にしてくれるな、という思いは強くある。だからこそ、ボトムズニュージェネレーション等と言いつつ、"虎の威を借る狐"なやり方をしただけの「ケースアービン」よりも、「ボトムズファインダー」の

新世代へむけての「ボトムズ」なら、「ボトムズ」やる必要ねぇだろ

とでも言いたげな手法は、むしろ好感を抱く。だから同様に、「ケースアービン」の方ならともかく、本作に対しての「『ボトムズ』として云々…」という様な自称・純粋なガンダムファンな台詞には同調できない。少なくとも私自身としては、旧来の「ボトムズ」のファンでありながら、この「ボトムズファインダー」も十分に…それこそ尺が短い事が残念に感じる程には楽しむ事が出来たのだから。


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