スラッシュブロウさんの投稿作品

楠舞神夜(ゲーム「スーパーロボット大戦OGサーガ 無限のフロンティア」シリーズのヒロイン)・・・ここが、無限の開拓地

昨今、原作持ち作品から離れて新たに「OG」というキャラクター商売を成り立たせた「スパロボ」に新たな動きが出てきたのはこのシリーズをプレイしているファンならご存知だろう。「スーパーロボット大戦のDNAを受け継ぐ」という名目で「シミュレーションRPG」ではなく「ロボットRPG」として発売されたのが「無限のフロンティア」という訳だ。言わばスパロボにおいて「魔装機神」的な位置づけの外伝作品であるが、ファンが思い描いていたモノとはかなり違っていたと言ってもいいだろう。こうなると「シリーズ展開」というヤツは非常に厄介な物で以前とは掛け離れた展開をしてしまうとやはり、旧来のファンから理不尽な反発を受けてしまうのは最早言うまでもない。

確かにファンの言う所の「こんなのスパロボじゃない」というのも理解は出来る。ジャンルもシミュレーションRPGでなくドラクエ的なRPGだし、従来の「スパロボ」で人気を博した「アルトアイゼン」「ヴァイスリッター」「ゲシュペンスト」等も出るには出るが脇役扱いでメインで操作するのはキャラクターである。(作中ではナハト、アーベント、ファントムと別名でサイズも3メートルほどに小型化され、BGMはアレンジ版が採用されている)

しかし、そういったツマラナイ拘りで否定してしまうには損をする作品であるように思う。最も「RPG自体がダメ」というのであれば、どうにもならないが…。

ただし、「スーパーロボット大戦OGサーガ」の副題も無関係ではなく「OG」シリーズとの関連性がある物語設定を持っており、開発には過去にスーパーロボット大戦シリーズのプロデューサーを務めていた森住惣一郎氏が所属するモノリスソフトで同社が開発した「NAMCO x CAPCOM」に出演したキャラクターもゲスト参戦しておりストーリー上で相互関係が成立している。尚このゲスト参戦キャラはゲームに合わせて、「スパロボ」でおなじみである河野さち子氏によってリファインが施されている。

さて、本題に触れていこう。まず物語の粗筋はこうだ

様々な世界がクロスゲートと呼ばれる門により繋がれた異世界エンドレス・フロンティアでは、近年ミルトカイル石と呼ばれる謎の結晶が世界各地に現れる怪現象が発生していた。賞金稼ぎのハーケン・ブロウニングは、部下のアンドロイドアシェン・ブレイデルや和の国の皇族楠舞 神夜(なんぶ かぐや)とそのお目付役の錫華姫(すずかひめ)とともにこの怪現象の調査に乗り出した。道中、異世界からやってきたという有栖 零児(ありす れいじ)、小牟(シャオムゥ)、KOS-MOS(コスモス)等を味方に付けた一行は、ミルトカイル石、ひいてはエンドレス・フロンティアの秘密に迫っていく。

ここで気づいているかもしれないが、キャラクターの名前に「スパロボ」に触れた事のあるファンならば何処かで見たモノが散見しているのではないだろうか?
そう、「OG」シリーズでも主役格の「キョウスケ・ナンブ」「エクセレン・ブロウニング」の苗字である。先にも書いてあるように、「OG」との関連性(Wシリーズ、アインスト等のキーワードも)があるのでその辺りの謎は本編をプレイして直に見て貰いたい。

とは言うものの、元ネタとなっているキャラに一部の共通点はあるものの殆ど別人であり

洞察力は鋭いが、言動がキザ過ぎる為、周囲の仲間(部下からも)には「カッコつけ野郎」「チャラ男」と呼ばれる賞金稼ぎ ハーケン・ブロウニング
言語中枢にトラブルを抱えているらしく、敬語が上手く喋れず、かなりの毒舌家でもあり、熱暴走により性格が無邪気に豹変するアンドロイド アシェン・ブレイデル
外見の成熟に反して中身は世間知らずの天然ボケで、錫華姫からは「よく言えば前向き、悪く言えば何も考えてない」、小牟からは「ホエホエ娘」と評される 楠舞神夜
続編「EXCEED」からはお姫様らしく気が強くてワガママ、「ド熱心」や「ド真面目」など、単語を強調する際に頭に「ド」をつける癖がある ネージュ・ハウゼン

等となっており、OGらしい味付けと言えば、OGらしい気はするのだが…

女性キャラクターは格好が際どく、本家スパロボで一部のファンに話題だった「乳揺れ」を意識している為か、本編でも服装について突っ込みがあったりする
この部分がオタクに媚びている印象を与えている為、拒絶してしまう原因の一旦にもなってるとは思うが、「OG」のノリが許せるのであれば然程気にならないのではないだろうか。バトルでのカットインが非常に多く、作画にも気合が入っている為、ある種見所とも言えるので、本編の台詞でもある「ギリギリ感」というのを味わってみてはどうだろう。

その他脇役にもオネエ系言葉を喋るキレ者獣人カッツェ、毒舌だがお喋りですぐに情報を漏らしてしまう魔女キュオン、面倒臭くなると大砲でぶっとばそうとする豪快(?)な人魚アン船長等、濃い脇役が揃っている。(続編ではこれらの脇役も支援キャラクターとして参戦可能に)

魔女、人魚、獣人、人間、アンドロイド、パーソナルトルーパー、そして妖精なんかも登場する訳だが、こうしてみると統一感の無い面々が登場するゲームに思うのではないだろうか。世界観も機械が発達したロストエレンシア、和風の雰囲気と不死桜が咲く神楽天原、悪魔が住むフォルミッドヘルムといった世界等がクロスゲートで繋がっているとなっている。これだけ節操の無い無茶な世界を一つの共通世界にして封じ込めているのは、様々な世界を取り込んでいる従来の「スパロボ」のノウハウを生かした演出であろう。

こういった派手な演出やキャラクターに目がいきがちになってしまうが、ゲームシステムもこれまでのシミュレーション方式を取っておらず、「ハイスピード・アクティブ・バトル」といったプレイヤー自らの手で技を組み替え、自由にコンボ攻撃を行うシステムを採用しており、これによりRPGにしては一画面に多数のキャラが入り乱れ、簡単なボタン入力で爽快なバトルを行えるようになっている。イメージとしては「ヴァルキリープロファイル」に近いシステムであるが、「スパロボ」でお馴染みである「援護防御」「精神コマンド」もあり、独自のモノにアレンジされている。敵味方共に「Eゲージ」が用意(前作では敵の強制回避のみ)されておりこれが一杯になると指定された確率(味方はHP30%以下で必殺ゲージ50%消費)でコンボが「強制回避」により中断させられてしまうので、如何にコンボを繋げるかがキーポイントとなるのだ。

難易度も「最近のスパロボは温い」との評価を受けてか、雑魚敵ですら一度攻撃を受けると体力が半分くらい削られてしまうケースも多く、油断すればあっという間に全滅…ともなるわけだ。コンボを技の組み換えや援護、支援、連続攻撃で巧く繋げて途切れさせないか、といったプレイヤーを積極的に参加させるだけでなく、適度な緊張感を与える仕様なのも好印象であった。バトル演出は上記のカットインに加え、スパロボで培ってきたモノが存分に生かされており、DSの表示限界ギリギリまで使ったとされる派手なエフェクトも見ごたえが十分にある。

シナリオ的には最初に触れているが、KOS−MOSや有栖 零児、小牟といった別作品のキャラが参戦しており、スパロボにおいて重視される「ニンマリくるネタやシチュエーション」といったモノもちゃんとあるので実際手に取って体験して欲しい所だ。

これらを踏まえ、最終的な「ムゲフロ」評は十分アリで好意的なのだが、RPGとしてはサブイベント関連がかなり薄かったり、町に入っても背景が表示され、キャラの立ち絵が映るだけ…。行動を選んだりした時や買い物で各街の店主にボイスを入れたりしているが、この辺りはまだまだ改善の余地があるんじゃないかなぁ…とも思う。最も、このクオリティを保ちつつ、RPG的なやりこみや町を作るのならDSでは恐らく無理だろうが…。

更に言えば、続編においてアレディ&ネージュという新キャラを主役に置いているものの、前作のハーケン&神夜も重要な役割を与えられており、美味しい所を持っていかれてる所もあるのでこの辺の偏りも本家から引き継いでしまっている気もする。

とは言え、「無限の開拓地」というタイトル通りに、かなり遊べる要素が多く、「OG」とのリンクを踏まえた部分も悪くは無いが、独自の世界観を形成してるのでいっその事「スパロボ」とは無関係な所で展開してもいいんじゃないか、とも思っているのだが、どうだろうか。(元は「OG」とリンクさせるのではなく、「NAMCO x CAPCOM」の続編として制作される予定だった、との話もアリ)

最も、次回作(恐らくEXCEEDの続編)を示唆させるキーワードがEXCEED本編のエピローグで既に存在しているので、「OG」シリーズが決着を付けるまでは「OGサーガ」としてリリースするのだろうが…。


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