ガロードさんの投稿作品

世紀王シャドームーン
「仮面ライダーBLACK」


今回私が紹介するのは1987年〜1988年に放送された仮面ライダーシリーズの内の一作である『仮面ライダーBLACK』に登場するキャラで 主人公・仮面ライダーBLACKの最大のライバル“世紀王シャドームーン”である。 このシャドームーンというキャラ 特撮好き、中でも仮面ライダーが好きな人ならば一度くらいは聞いたことのある名前だと思うのだが 現在の平成ライダーに度々登場する悪役ライダー(仮面ライダーでありなが ら主人公と対立する存在)の元祖とも言うべき存在なのである。

無論それ以前の作品にも仮面ライダーXに対してのアポロガイストや仮面ライダーストロンガーに対してのジェネラルシャドー等 ライバル的扱いの敵キャラ というのはいたのだが このシャドームーンのように主人公であるBLACKと全く同格のライバルとして描かれたのは初めてだと思う。ちなみにシャドームーンは、仮面ライダーという名は冠しないのだが、二本の角や複眼そ してベルト等その外見は いわゆる仮面ライダースタイルで現在の平成ライダーに登場する多くのライダー達よりも “仮面ライダーらしい”ものとなっている。

ではそろそろシャドームーンについて説明していきたいのだが、その前にシャドームーンが作中でどういった存在なのかを知ってもらうために先ずは仮面ライダーBLACKが戦うことになる敵組織“ゴルゴム”を紹介させて頂きたい。また、ここからは一部ネタバレ的な部分も含まれると思うので読んで下さる方はあらかじめご了承頂きたい。

暗黒結社ゴルゴムは古代より存在する組織で改造人間だけの世界を築くことを目的としている。そのゴルゴムを支配するのは“創世王”と呼ばれる普段は姿を見せない謎の存在なのである。この創世王、寿命が五万年でありその為に五万年毎に新たな創世王を選びその役目を引き継ぐのだが、その次世代の創世王候補となるのが“世紀王”と呼ばれる存在なのであるそしてその世紀王こそが主人公の仮面ライダーBLACK(世紀王ブラックサン)と今回紹介している世紀王シャドームーンなのだ。二人の世紀王は力の限り戦い勝ち残った方が新たな創世王となるのだ。

これでシャドームーンがどういう存在かというのは何となく解って頂けたと思うので次にシャドームーンの魅力を仮面ライダーBLACKのストーリーを大まかに追いながら語らせて頂きたいと思う。ある、日食の日全く同じ時刻に同じ病院で二人の子供が産まれた。1人は後に仮面ライダーBLACKとして戦うことになる主人公の南光太郎。そしてもう一人がその宿命の敵シャドームーンとなる秋月信彦であった。

幼い内に両親を事故でなくした光太郎は父の親友で信彦の父親でもある秋月総一郎に引き取られ、二人は実の兄弟のように育てられる。そして月日は流れ二人が19歳の誕生日を迎えそのパーティーが盛大に行われた日に光太郎と信彦、二人の運命は急転し始めた。 二人はゴルゴムと呼ばれる謎の組織に拉致され次代の創世王候補となる世紀王として改造 されてしまったのだ。 だが脳改造を済ませる前に総一郎の妨害によって光太郎はゴルゴムを脱走 信彦はその際に一人ゴルゴムに取り残されてしまう。

一人脱走した光太郎は後日、総一郎の呼び出しを受け再会を果たす。その際に光太郎は総一郎から衝撃の事実を知らされる。実は総一郎はゴルゴムのメンバーで遺跡の発掘の為の資金援助を受ける変わりにゴルゴム に協力していたのだ。さらに光太郎の両親が亡くなる原因となった事故も、実はゴルゴムへの協力を拒否した為に仕組まれた人為的なものだったというのだ。それに怒りを覚える光太郎。だがそれも束の間、総一郎はゴルゴムの放ったクモ怪人により殺害されてしまう。目の前で義父を殺された光太郎は激しい悲しみと怒りと共に変身する。そして世紀王ブラックサンの名を捨て仮面ライダーBLACKとしてゴルゴムから世界を救う為に戦うことを決意するのだった。

…とシャドームーンではなく仮面ライダーBLACKの序盤を説明しただけになってしまい恐 縮なのだがもう少しお付き合い頂きたい(苦笑)
その後も次々と送り込まれるゴルゴム怪人と戦っていくBLACKだが、物語中盤ついにシャ ドームーンが登場する。創世王の命を受けたゴルゴムの幹部“三神官”はそれぞれが持つ天、海、地の石の力でシャドームーンを目覚めさせる。そしてシャドームーンは光太郎が最も戦いたくない最大の敵として彼の前に立ちふさがる のだ。光太郎はもちろん兄弟のように育った親友である信彦と同一の存在であるシャドームーンとまともに戦える筈もなく、何とか彼を説得しようとする。一方でシャドームーンは自分が秋月信彦という人間であったことは知っていながらもその頃の感情は完全に無くしてしまっている為に容赦なく光太郎を倒そうとする。この二人の関係が仮面ライダーBLACKと言う作品を終盤にかけて大いに盛り上げてくれるのだ。

そして物語終盤、創世王の寿命が僅かになって来たためシャドームーンはBLACKと早急に決着を着けるべく 東京から太陽の光を閉ざし光太郎に再び光を照らして欲しければ自分と戦うように要求する。それでも決心のつかない光太郎だが、信彦の実の妹・杏子や信彦の彼女である克実からの言葉を受け遂にシャドームーンと戦うことを決意する。

そして遂に始まった二人の世紀王の戦い!その力はほぼ互角で一進一退の攻防が続く、だが創世王の力でシャドームーンは一時的に 信彦の姿に戻りBLACKは隙を作ってしまう。 そしてそれをきっかけにシャドームーンはBLACKを押しはじめ遂には世紀王の剣“サタン サーベル”でBLACKを突き差した!そしてBLACKは命を落としシャドームーンは勝利したのだ。

この時の衝撃はかなりのものである、これまでヒーローを大ピンチに追い込んだ敵は数あれど命まで奪ったというのはあまり無いのではないだろうか(探せば全く無いということ はないかもしれないが) BLACKの亡骸は海へと落ちてしまいシャドームーンは遂に新たな創世王となるかと思われたのだが BLACKを倒した際に一瞬の気の迷いから彼に埋め込まれていた世紀王の証である “キングストーン・太陽の石”(シャドームーンは月の石を持っている)を取り出さなかった為に創世王にはまだなれないというのだ。

部下にBLACKの亡骸を探させるシャドームーン。一方BLACKはかつてゴルゴム怪人でありながら心を通いあわせ友情を育んだ “クジラ怪人”によりその亡骸を回収され、彼の一族に伝わる命のエキスの力で奇跡の復活を果たしていた!そしてBLACKが復活したことを知ったシャドームーンは次こそ真の決着をつけるべく戦いを挑む。だがシャドームーンはBLACKの愛車である自我を持つバイク“バトルホッパー”の決死の特攻で大ダメージを負い部下に連れられ退却する。

その後場所をゴルゴムの宮殿に移しBLACKと重傷を負ったシャドームーンとの真の最終決 着が始まる! そしてここから仮面ライダーBLACKの中でも屈指の名シーンが展開される。

BLACK: 「その体でシャドーキックを放つと自滅するぞ」
シャドームーン: 「……シャドーキック!」
BLACK: 「信彦ぉ〜」

シャドーキックを放つシャドームーンにBLACKは彼の本当の名を叫びながらサタンサーベルでシャドームーンに一撃を与える。そして倒れたシャドームーンが静かにこう言う

「サタンサーベルを…それが無いと心細くて地獄にもいけん」

その言葉に従いサタンサーベルを渡すBLACK だがその直後、シャドームーンは倒れたままサタンサーベルでBLACKの喉元を狙う!

「駄目だこれ以上力が入らん…」

そう呟きサタンサーベルを降ろすシャドームーン。 そしてこの後、彼が言い放つ最後の言葉こそ私が考えるシャドームーンの魅力を表してい るのだ。

「お前は一生苦しむことになるんだ… 親友の、この信彦を抹殺したんだからな…一生後悔して生きていくんだ」

そしてシャドームーンの高笑いが響く。

「俺こそ次期創世王だぁ!」

このセリフ、一見ただの負け惜しみに感じる人もいるかもしれない。確かに負け惜しみであるとも言えるのだが、光太郎にとって親友を自らの手で殺してし まったことは、まぎれもない事実でありとんでもなく辛いことなのだ。そして何故上記のセリフが彼の魅力を表していると思うかというとそれはシャドームーンが最後まで“信彦”ではなく“シャドームーン”だったということを表しているからなのだ。よくありがちなライバルと言うのは最初は敵対するが最終的には主人公と共闘するとか、最後まで敵であったとしても最後は主人公を認めたり、和解して退場というのが多いと思う(私自身はこういうパターンも好きなのだが)だがシャドームーンは最後まで信彦としての自我を取り戻すことなく、ただゴルゴムの掟どおりに次期創世王となるべくBLACKと戦い、そして最後の最後で彼にとって最もキツい言葉を残して死んでいったのだ。これでは光太郎があまりにも報われない。だがだからこそこの作品に相応しい何とも言えないやるせなさを残すのだ。

この戦いの後、BLACKは創世王も倒しゴルゴムは滅び世界に平和が戻るのだが、そこには勝利を手にした達成感や爽快感というものは一切無いと言ってもいい。何故なら光太郎は地球は救ったが一番救いたかった秋月信彦という存在を救いだすことが全く出来なかったからだ。そして物語は光太郎が1人バイクでどこかへと旅立つシーンで幕を閉じる。シャドームーンは劇中、秋月信彦としては殆ど登場しない。登場してもその殆どが回想シーン等で占められている。もちろんBLACKのように人間の姿から変身なんてこともしない。つまり彼はこの仮面ライダーBLACKという作品に置いて結局最初から最後まで世紀王シャ ドームーンだったのだ。私はシャドームーンのそういうところを凄く魅力的に感じ、だからこそ今だに高い人気を誇るキャラクターでいるのだと思う。

最後に余談を幾つか…このシャドームーンというキャラクターはやはり放映当時から人気があったらしく、BLACKの後番組として放映された続編“仮面ライダーBLACK-RX”でも二度ほど登場している。こちらでは最後信彦の自我を取り戻したようにとれる描写も見られる。また94年頃には93年と94年にそれぞれ劇場のみで公開された“仮面ライダーZO”と“仮面 ライダーJ”が登場する子供向け雑誌(てれびくん等)の全員サービス用(だったと思 う)ビデオの特別編にボスとして登場しており全ライダー中唯一巨大化能力をもつJと巨大戦を繰り広げている。

またBLACKでシャドームーンの声を担当していた声優の“てらそままさき”氏(BLACK当時 は漢字表記)は現在放映中のライダー最新作電王において主人公に取り付くイマジンと呼ばれる怪人の内の一体“キンタロス”の声を担当されている。このキンタロス、シャドームーンとはまた正反対ともいえるキャラクターっぽいので機会 があれば比べてみても面白いかもしれない。

では最後にかなりの長文と結局、仮面ライダーBLACKという作品を紹介したかったのか、シャドームーンというキャラクターを紹介したかったのか、イマイチ分からない文章になってしまいましたが最後までお付き合い頂いた方本当にあり がとうございました。


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