勇者犬様の投稿

リオン・マグナス(ジューダス)
(「テイルズオブデスティニー&デスティニー2」ソーディアンシャルティエのマスター)…悲劇の天才剣士
 
「テイルズオブ」シリーズの第2作目であるデスティニーに登場するクールな雰囲気を醸し出して近寄りがたい天才剣士として登場。キャラのビジュアルや声優に緑川光氏を起用、そして「線が細い不幸な天才剣士」というのが功を奏したのか所謂「腐女子」と呼ばれる人たちから絶大な人気を誇りゲームの特典CD等でもよく出演している。キャラクター投票でも常に上位をキープ。製作側によれば「本来女性受けを狙ったキャラではない」らしい。が、上記の設定等からしてどう見ても狙っている様にしか思えないのだが…。まあそれは置いておくして、私自身女ではないがこのキャラどことなく個人的に好きな「ガンダムW」の主人公ヒイロ・ユイに似ている事もあってかシリーズ内キャラではかなり気に入っている。

だが、人気キャラ故にこのキャラクターはずっとナムコに引き摺り回されている感がどうしても否めないのだ。
初登場の旧作デスティニーではそのあまりの不遇っぷりにファンは激怒したという。私もその一人だった。彼は精神をラスボスに支配されている黒幕である父親に利用され続ける。そして仲間と出会い頑なな心が少しほぐれて来た矢先に最も大切な母親代わりのメイド「マリアン」を人質に取られてしまう。そして彼は仲間を裏切り、海底洞窟の地下深くでかつての仲間に倒されてしまい、洪水に飲まれて死亡してしまう。
さらに真の黒幕である天上人のミクトランにより生きる屍として蘇らされまたも仲間に討たれてしまうのだ。エンディングですら何のフォローもされずスルーされてしまう。続編においても「裏切り者」として汚名を着たまま後の世代に語り継がれている。…あまりにも酷すぎる扱いではないだろうか?

予想外に人気の出た彼は時代を経て、機種がPSからPS2に移り、シリーズ初の続編モノである「デスティニー2」に再び登場する前作から18年後を舞台に前作の主人公スタンとヒロインであるルーティの息子カイルを仮面で顔を隠し、漆黒の衣裳を身にまとい影から見守る位置として登場し、割と序盤で仲間になり、戦闘能力も申し分のない強さだ。さらにファンサービスとして隠し技を発動させると仮面が外れ素顔が拝めてしまう(外れるとカットインも変更され隠し技の発動率が100%に)。ラスボス前ではステータス画面にも変化があり、素顔の彼を見れる。

少々優遇され過ぎな気もするが、ファンとしては嬉しい限りだ。だが、この続編でも彼はまたも報われずに終わってしまう。元凶である神「フォルトゥナ」を倒して巨大なレンズを砕き世界を救うのだが同時に神が関わった事による全ての出来事がリセットされてしまい神の力によって復活した彼は消滅してしまうのだ。前作に思い入れの強いファンはこの続編のシナリオを「リオンの救済糞ゲー」と切り捨てる事も珍しくない。しかし、私にはどうしても彼が救われたとは思えない。結局彼のしてきた事は全てチャラにされてしまった上に死亡扱いは変わらない。これでは何の変化もないように思う。
 
少し話題が逸れてしまうが、このD2のシナリオに関しては未だに続編として「認める」「認めない」と言った論争が繰り広げられている。レイコック氏の暗黒コラムではないが、続編としての位置づけでリリースされてしまっている以上ファンが騒いだ所で変更なんて有り得ないし、不毛でしかない。それに前作ファンの言うところの「矛盾だらけで無茶苦茶なシナリオ」と評されるD2のシナリオを形作った原因は前作ファンの「リオンの救済」やらそれに加え「前作の主役達に会いたい」「ソーディアンチームにも会いたい」「深く追求されなかった天地戦争時代を冒険したい」etc…こういったワガママ放題の要望を取り入れた結果ではないかと思うのだ。同スタッフが製作しているRを見る限り、製作側に全く問題がないとは言わない。しかしこういった「純粋なデスティニーファン」なんて言ってるようなファンの態度こそがああいうシナリオにせざるを得ない状況に追い込んだ部分はかなりあるのではないだろうか?
 
そしてデスティニーはファンの要望により再び再生される事になる。
これも発売される以前に「リオンの生死」について賛否両論があったがその中でD2を散々コキおろして「俺はD2を続編として認めない」なんて言ってしまっている前作に思い入れの強いファンの意見にこんなものがあった。

「リオンが死ななければ続編に繋がらなくなるから死なせろ」

散々コキおろして「D2を続編として認めない」なんて言っていた連中が急に続編との繋がりを意識し始めたのだ。
その一方で「リメイクでD2は黒歴史にしろ」等と言い出す。こういった意見はただの身勝手なワガママでしかないんじゃなかろうか。リオンというキャラは女性受けが強く「腐女子」と言われる方々に支持されているというだけで一方的に男性に嫌われている部分がある。要するに自分に取って改変されると都合の悪い部分はそのままにして、そうでない部分は繋がらなくしてしまえという事なのだ。こんな態度を平然と取ってしまうファンの結果がD2のような続編を生み出したとしか私には思えないのだが…。
 
しかし、リメイクされたデスティニーは上記の前作ファンの要望をそのまま再現してしまったかのような出来になってしまった。D2には繋がらない大筋は同じでも細部を大幅に変更したシナリオ、そしてリオンも同じ様に洪水に飲まれて死亡してしまう。だが、このシナリオは前作ファンには兼ね好評なものの賛否両論があり、特にリオンの散り様は旧作とは大幅に違う演出がなされている。

詳しく言えばキャラクターが旧作で持っていた毒性がなくなった部分(特にスタンは随分お馬鹿な感じになっていたり、リオンもD2のジューダスに合わせた為かツンデレキャラに)物語の前半はヒロインのルーティよりも主人公との絡みが圧倒的に多いリオン。父親に利用されている事を知らない設定(旧作では知っていた)そして海底洞窟ではスタンの説得により和解するシーンやゾンビ化の削除など。私の個人的な意見としては「何もかも救われないまま死ぬ旧作よりかはまあマシになったかな」という程度にしか映らなかったが…。あそこまで変えて和解もしたのに死なす必要があったのか?と思わずにはいられなかった。

製作側によれば「彼は死ななければ彼ではなくなる」と言ったコメントを攻略本でしていたようだが、残されたデータにどうやっても後半リオンが抜けるため取れない彼の称号やリオンが抜けた後のダンジョンにリオンの台詞が所々あったりする。実は生かす方向も考えていたのだろう。しかし、結局リオンは続編でもリメイクでもずっと死なされ続けている。これは私自身の個人的な解釈だが現在の商業主義を全開にしてテイルズを乱発しているナムコが「今後ともテイルズは人気キャラのリオン・マグナス(ジューダス)を正史シリーズで扱って商売しますよ」といった布石なのではないのかと思う。

生かせてしまっては今後恐らく出るであろうデスティニーシリーズに出すのが難しくなってしまう。しかし死なせておけば適当な理由でまた復活させてしまえばいい。CVを担当していた緑川氏の「リオンは皆さんが望めば何度でも蘇ります。そして何度でも同じ道を歩みます。」といった感じの発言もあったそうだ。リオン版のCMを見たときは「例え何度生まれ変わっても、必ず同じ道を選ぶ!」といった台詞やジューダス仕様になっていた為リメイクのリオンはD2で消滅したジューダスかと思っていたのだが。私としては商売の都合で何度も繰り返し死なされたりするのはいい加減やめて貰いたいものだ…。
 
話は変わるが「テイルズオブデスティニー」は漫画化がされており、今では幻の単行本となっている啄木鳥しんき氏が描く「テイルズオブデスティニー 〜神の眼を巡る野望〜」といったものが存在する。

実はこれ一部では「原作を超えた漫画」と一部で絶賛されており、復刊等の希望をするファン達がいるという。私も全巻読んだが、確かに面白かった。原作の設定や流れを踏まえつつもかなり異なる展開を魅せてくれる。特に注目されるのがリオンの扱いとラスボスの変更。同じ様に人質を取られて彼は仲間を裏切り対立するのだが洪水に飲まれそうになる直前にシャルティエに

「こんな所で死んでも何にもならない、自分が変わろうとしなければ何も変わらない!」(うろ覚えだが)

といった感じで説得をされ、放置されていた飛行竜を使い仲間の元へ再び戻ってくる(かなり終盤になるが)
そしてラスボスはなんと6本目のソーディアンである「ベルセリオス」に精神を乗っ取られた「マリアン」だったのだ。

圧倒的な力とマリアンを傷付けたくない主人公達は一方的にやられていく…。そこに死んだかと思われていたリオンが現れる。信じられない光景に戸惑う主人公達。しかしリオンも目の前にマリアンが居て、禍々しい剣を手にして主人公達を追い詰めている姿に驚きを隠せない。リオンを誘惑して引き込もうとするが戸惑いつつ彼は「そんな事をこいつらがするワケがないと」言う。隙を突いてマリアンを止めるように言われ攻撃を仕掛けるスタンだが戸惑いを隠せないリオンに阻まれてしまう。どちらを信じればいいのか葛藤するリオンに再びマリアンはこちらがわに引き込もうとするが、マリアンの真の声を聞き自らの手でシャルティエを突き刺しマリアンをベルセリオスから解放する。

その後仲間の元を離れてマリアンに手紙を渡し、罪を償う旅に出るといった流れで物語は完結する。温かみのある絵と作者自身が不満に感じていた部分を手直しした感じになっており、他にもフィリアの誕生日を通して立ち直ろうとする過程やルーティとの絆も非常に丁寧に描かれており好印象だった。シャルティエがディムロスの晶術を「熱血根性丸出し晶術」といったりクレメンテの術を「年甲斐も無くド派手な晶術」等といったりするのもツボだった。余談であるがリオンを生かす方向でもっていくとの事でナムコと作者がケンカしていたそうだ(真意は定かでないが)。

私としてはこの「神の眼を巡る野望」をリメイク版として作って欲しかった。(製作側も続編に繋げる気はないようだったし)


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