最強の「グフ使い」とは?

グフ 「機動戦士ガンダム」登場モビルスーツ

実はココだけの話、数あるモビルスーツの中でも個人的にトップクラスに好きな機体の一つがグフだったりする。勿論、ミミズ型ヒートロッドのテレビ版が至高で「08小隊」のカスタムは却下…だったりするのだが、そんなどうでも良い個人的嗜好は置いておき、今回はグフそのものの魅力ではなく、「最強のグフ使い」について語りたいと思う。

初登場時のランバ・ラルもそうだったのだが、「08小隊」におけるグフカスタムの扱いのおかげですっかり「ベテランエースパイロット御用達」的な印象が決定的になったと言えるグフとその派生機…そんな中で、皆さんは「最強のグフ使い」といったら誰を思い浮かべるだろうか?

アムロとの対決や「ザクとは違うのだよ、ザクとは!!」の台詞で有名な元祖グフパイロットのランバ・ラル?
劇中のクライマックスでガンダム3機を手玉に取るという鬼神の様な強さを見せつけたノリス・パッカード?
ゲーム内でプレイヤーの前に強敵として立ち塞がった「荒野の迅雷」ことヴィッシュ・ドナヒュー?
ド派手なエングレービングを施した専用機を持つマ・クベ?
それとも宇宙世紀以外に進出したグフでラルの名言をパクったハイネ?

マニアックな所だと、テレビ版にてマチルダさん率いるミディア隊を強襲して救援にきたアムロをも窮地に追い込んだグフ&ドダイYS隊のヘイブとマーチや、白いグフカスタムを駆ってヒートサーベルの二刀流を見せた隻腕パイロット、ランス・ガーフィールド、独特のカスタムを施した機体に乗るナランソロンゴ・ボルドバヤル、ジオン撤退の捨てゴマとしてグフ飛行試験型を駆り闘った義勇兵部隊の隊長・ヤーコブ辺りだろうか?

実は私の思う「最強のグフ使い」は上記した中にはいない。私の挙げる「最強のグフ使い」とは、山根アキラ、その人なのだ!!

…はい、知りませんね?特に私より若い世代は。(苦笑)

山根アキラとは、言わば元祖「ガンプラビルダーズ」とでも言うべき漫画「プラモ狂四郎」に登場するキャラクターの一人だ。彼は太陽模型店を拠点に活動する「プラモ帝国エンペラー」のリーダーであり、主人公の四郎とは当初険悪な関係であり何度も対決を繰り返していたが、景山姉弟とのスケールモデラーvsアニメモデラー対決の際に四郎達の心強い助っ人として駆けつけ、それ以降四郎の良きライバル、そしてパートナーとして終盤まで活躍した少年だ。四郎のライバルとしては、四郎と共にゲーム「SDガンダムGジェネレーション」シリーズに登場した事もあるサッキー竹田の方が有名だろうが、サッキー竹田は終始四郎の敵であったのに対し、山根は敵として、時に味方として幅広く活躍したライバルキャラクターであり、その扱いは当初から四郎のライバル兼パートナーだった丸山健より良かったりもする。

さて、本題。
山根アキラの「グフ使い」としての魅力は何と言っても初登場のエピソードだ。彼は隣町からプラモシミュレーションと四郎の事を聞きつけ挑戦してきた少年として登場する。その際のシミュレーションでは四郎は1/144ガンダム、健は大型キットの1/60のドム…それに対し山根が用いたのが、1/100のグフだった。開始早々健のドムが胴体を真っ二つににされているのを発見した四郎は、直後襲いかかる山根のグフの持つヒートロッドに驚愕する。そのヒートロッドこそ、山根=グフを決定づける改造「糸ハンダヒートロッド」なのだ!!

この糸ハンダヒートロッド、芯材(ヒモとか)に糸ハンダを巻きつけて瞬間接着剤で固定する…というモノで、未だヒートロッドの定番改造として語られる技法である。当時ガンプラにハマっていた人はこぞって真似をしたテクニックの一つではあるのだが、実際作ってみると芯に糸ハンダ巻きつけるのって結構難しかったりする。糸ハンダもちょっと強く引っ張ると切れてしまうし、相応のコツと工夫は必要なのだ。

この対戦自体はガンダムの足に重りを入れるという改造が功を奏してかろうじて四郎が逆転勝ちをするが、ココで山根は自分が「プラモ帝国エンペラー」のリーダーである事を告げ、以降

ガンキャノンvsシャア専用ゲルググ(四郎とプラモ帝国エンペラーの山根、足立(リックドム)、小岩(量産型ゲルググ)三人の変則マッチ)
F-15ストライクイーグルvsF-14トムキャット(クラフトマンと太陽模型共同のプラモ合宿にて)
コアブースターvsXウイング(同上の足立(リックドム)、小岩(ブラウ・ブロ)も参加の変則マッチ)

と幾度も名勝負を繰り広げる事になる。

その後の山根は先述したとおり、四郎達の助っ人として参戦する様になる訳だが、四郎が1/144アッグガイを使う際に、彼の代名詞とも言えるお得意の糸ハンダヒートロッドを伝授する等、四郎達の心強い仲間としての位置を確立していく。しかしこの間、山根は健と同様すっかり「四郎の引き立て役」に収まってしまっており、活躍の度合いも減ってしまっているのだ。用いたキットも覚えている限りでは

デザートガンナー(対景山姉弟戦)
フォウ(対薩摩模型同人会戦)
サラミス(対サッキー竹田&サッキーファイブ戦)
スーパーガンダム(対変形仮面戦)
ハイザック(関ヶ原ウォーズ)
ズサ(ホビートピア十三回戦)

と、少々冴えないモノが多かったりもする。(それでも初期の健やキー坊達に比べれば活躍の度合いは高いが)

山根も、ある意味昨今のゲームや漫画でありがちな「敵の時は強いが味方になると…」の典型と言ってもいいかも知れない。しかし、そんな山根にも転機が。それは「ワールドシミュレーション大会編」である。

今まで四郎と共闘するケースが多かった山根だが、このワールドシミュレーション大会は3人1チームの構成で闘うチーム戦。健が不在、キー坊は受験の為プラモを禁止されている状態の四郎…当然パートナーの一人は山根で決まり、と思いきや、山根は太陽模型店チームとしてプラモ帝国エンペラーの2人を引き連れて参加する事となり、ロム、グズ鉄という新しい仲間を得た四郎と早速東京地区予選でぶつかる事に。久々の四郎と対決する事になった山根が選んだのは…そう、グフなのだ!!

MSVキットであるフルアーマーガンダムを駆る四郎に対し、山根はノーマルのグフ…優勝候補筆頭と目される四郎の実力も考えれば結果は見え見えかと思いきや、実はこの山根のグフが只者ではない。

「狂四郎…外見で性能を判断するのはお前の悪いクセだ。今の動きを見ての通り、こいつはただのグフじゃない!あらゆるキットの長所を組み込んで完成した、完璧なグフ1/144だ!」

機動性向上の為に足にはスプリングを仕込み、山根お得意の糸ハンダヒートロッドも今回はより強力なワイヤーロープとする等、正にプラモシミュレーションに特化した最強のグフなのだ。その動きは鈍重な四郎のフルアーマーを翻弄する。正に蝶の様に舞い、蜂の様に刺す、といった所か。

「シンプル イズ ザ ベスト! ノーマルなMSのほうが、装甲で飾り立てたMSVより機動力に優れているのは当然さ!」
「許せ狂四郎!おれもモデラーのはしくれ、バイオバッチが欲しいんだ!!」

最後は足の重りが徒となって右足を損傷したフルアーマーに、崖からダイブして左手からの火炎放射にてトドメをさす。(何故かバルカンではなかったりするのだな)
この試合、四郎vs山根の最初のプラモシミュレーションと微妙にリンクさせてるんですよ。例えば、山根のキットがグフである点や、勝負を決めたのが足に仕込まれた重り、という点とか。尚、仲間になってから山根は四郎の事を「四郎」と呼んでいたのに、この試合に限って「狂四郎」と呼んでいるのも四郎と山根の今までの関係を考えると非常に面白い部分かと。

この試合、実は個人的には「プラモ狂四郎四郎」におけるプラモシミュレーションのベストバウトだと思うのだが、それと同時に、この試合には山根の「最強のグフ使い」として他の…ランバ・ラルやノリスにない魅力ってのが強く出ていると思うのだ。それは、「よろしくメカドック」の露口さんの言葉を借りるなら、山根がグフの「チューナー兼ドライバー」である事。山根はグフに乗っているだけでは無い…自らグフを作り、改造している、という点。コレはね、プラモを使ったバトル、という「プラモ狂四郎」ならではである「グフ使い」としての最大の強み、かつ魅力だと思うぞ。

しかし、この後の山根は再び四郎の仲間として「関ヶ原ウォーズ」や「ホビートピア十三回戦」に登場するのだが、再び彼がグフを駆る事は無かった。特に「模型秘伝帳編」のクライマックス、サッキー竹田との関ヶ原ウォーズではあろうことか何の変哲もないハイザックで参戦…それでも数多くのサッキー配下の外人部隊を撃墜してはいるのだが、やはり山根にはこの決戦にはグフを駆って活躍して欲しかった、と思うのは私だけでは無い筈。もっとも、関ヶ原ウォーズは四郎側は時期的な問題からか全員「Zガンダム」のキットにて参戦しているので仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが…ま、それだけ

「山根アキラ」=「グフ」=「糸ハンダヒートロッド」

という構図は、ファンに認知、支持されているという事なのだろうな、うん。


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