頼りになる壁役

ドーガ
ゲーム「ファイアーエムブレム(暗黒竜と光の剣&紋章の謎)」登場キャラクター


もう…かれこれ15年位前の話。当時、ゲーム機といえばスーパーファミコン全盛期…といってもその直後にパナソニックが3DO(覚えてます?/笑)、セガがセガサターン、ソニーがプレイステーション…ちょっと遅れてNECがPC-FXを発売…所謂次世代ゲーム機戦争が勃発した訳だが、そのちょっと前に私の仲間内で大いに流行ったゲームが、「ファイアーエムブレム 紋章の謎」というゲームソフトだ。このゲームはもっとむか〜しにCMで

♪ファ〜イアァ〜エ〜ムブレム〜て〜ごわい〜シミュレ〜ション〜

と歌っていた事でお馴染みのファミコンソフト「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」というゲームの続編で、かつ多少…リフが「きずぐすり」になっちゃったりマップが削られたりはしているものの、ファミコン版のリメイクも入ったお得なゲームであった。このゲーム、剣と魔法の世界を舞台にキャラクターを育ててマップを攻略していく、というS・RPGの草分け的存在のゲームだ。あ、CMといえば、「紋章の謎」のCMは「北の国から‘92 巣立ち」でジュンに孕まされちゃう娘を演じ、密かに「硫黄島からの手紙」にも出ていた裕木奈江さんがやっていたっけ…。

それはともかくこのゲーム、なんと言っても面白いのがプレイヤーによって各キャラクターの育ち方が違ってくる点であろう。各キャラクターには固有の成長率という奴が設定されており、レベルアップ毎にどのパラメーターが上るのか分からない。ジェイガンの様な成長率が著しく低いキャラクターの場合、パラララーッというファンファーレが鳴ってもパラメーターが何も上らない事だってざらにあるのだ。つまり、成長率が高いキャラクターでもプレイヤーの運が悪ければ成長が悪くなってしまうし、逆に然程育たない筈のキャラクターがナゼか育ってしまったり…というイレギュラーが起き易いゲームなのだ。更にシステム上で「スパロボ」の様なリセットプレイが原則的に出来ないので、誰も命を落さずにクリア、という緊張感も然ることながら、育てるジレンマという奴も上手くハマる要素に繋がっているのが良かった。キャラクター人気とかシナリオ人気とかではなく、システムがプレイする側に適度な緊張感を与えてくれる、本当にゲームとして面白いゲームだったのだ。

さて、こういうゲームだからして「ファイアーエムブレム」はプレイヤーの趣味、嗜好によってプレイヤーそれぞれがクセのある育て方をしてしまう…それをまた仲間内でやれこのクラスは役に立たない、いや、こうすれば使える、なんてクチプロレスが楽しくもあり、プレイに自身で縛りを設けてプレイしたりと…この「ファイアーエムブレム」の他作品「聖戦の系譜」にてアーダン1人クリア、なんて事をやっているサイトもあるのだが、こういう自分で勝手にルールを作ってプレイ、というのも簡単に出来てしまうのだ。そういう訳で、私の友人も騎兵だけ育てたり、傭兵系のみ育てたり、主人公以外全員女性キャラのみでクリアしたり…という事をやっていた。

そんなゲームであるのだが、私は実はさしてキツい縛りプレイとかを楽しんでいた訳ではない。ただ一点、毎度このゲームをプレイする度にやってしまう…いや、なってしまうのが

ドーガ最強ユニット化

である。
ドーガというキャラクターは、主人公のマルス君率いるアリティア宮廷騎士団の一員で、「暗黒竜と光の剣」「紋章の謎」の両方で最初から自軍にいるユニットだ。彼は素早さと移動力が無い分守備力が高いアーマーナイトという兵種で、その守備力の高さで序盤からおびき寄せ役、壁役として活躍するキャラクターだ。特に、他のキャラクターのHPや守備力が低い序盤では他のユニットを壁にすると敵を倒し過ぎて徐々にHPを削られていって最後には戦死…という所謂やっつけ負けをしてしまうが、このドーガさんの場合は守備力が高い上にHPもそこそこあり、かつ素早さが低いので敵に追撃を出来ず倒しきれない事が多いので、逆に生存率が高い。「暗黒竜」の「港町ワーレン」や、「紋章」の「悪の巣」といった、敵の増援がわらわらと出てくるマップでは本当に重宝するキャラクターなのだが、なにせ移動力が無いので自軍の侵攻スピードに追いつかない、素早さが低いので敵を倒しきれない、といった欠点も目立つ…その上目覚しい成長はし難い、どちらかといえば成長率は(序盤参入ユニットの中では)悪い為、他のキャラクター…ドーガさん同様最初から自軍にいて成長率も高めなカイン&アベルの騎兵コンビや、最強ユニットとの呼び声も高いオグマ&ナバールといった主力級のキャラクターが成長してくると放置されてしまい易いユニットでもあったりする。

更に、ドーガさんにとって致命的なのはその顔グラフィックかも知れない。ファミコン版「暗黒竜」はともかく、スーパーファミコン版の「紋章」ではグラフィックが少女マンガ風に変更され、自軍キャラクターはシジィを除き美男美女ばっかりになってしまっているのだが、その中でドーガさんだけが…って、厳密に言えば同じくアーマーナイトのミシェラン&トムズもハゲ頭&ゴツい顔つきで微妙ではあるのだが、美形ではないのだ。勿論不細工ではない、むしろジロン的な愛嬌のある顔なのだが、なんと言うか…イケメン美少女揃いの中ではやっぱり見劣りしてしまう。まぁ、ファミコン版ではアベルなんて出っ歯だった(笑っているだけで出っ歯ではない、という意見もアリ)のだが、すっかりイケメンになっているし、「暗黒竜」での戦争で共に戦った「ファイアーエムブレム」伝統のペガサスナイト三姉妹の元祖三女・エストと相思相愛になった他、三姉妹の長女・パオラにも好意を寄せられていたりと優遇されまくっている。

いや、優遇されているのは顔グラフィックだけではない。他の宮廷騎士団メンバーは「紋章の謎」で美味しい場面を貰っている…例えば、主人公の危機に颯爽と現れたり、何時の間にか他国のキャラクターと縁が出来ていて説得役になったり…もっとストレートに言えば、戦死した時以外にもセリフが用意されていたのだ。にも関わらず、ドーガさんだけ、セリフは

「マルス様…ご武運を…」

だけだったのである。な、なんと言う扱いの悪さ…。
しかし、そんな「紋章の謎」シナリオ上での不遇な扱いにもめげず、ゲームでは彼は大活躍をした。「紋章の謎」では武器がまだ鉄シリーズしかない序盤からドラゴンナイトが多数登場する。このドラゴンナイト、移動力があり攻撃力、素早さ、守備力全て高く、序盤のキャラクターが育っていない状況では弱点である弓や魔法以外で倒すのはしんどい強敵だ。そんなドラゴンナイトの攻撃をドーガさんでおびき寄せ、複数の弓兵に攻撃させて各個撃破、という作戦が必須となる訳だが、ココでのドーガさんの頼れる背中は、彼の後ろでドラゴンナイトに怯える新兵にとってはとても大きく、頼もしく映った事だろう。他にも、「悪の巣」で主人公一行の背後を突く形で現れる増援を、扉の所で単身食い止める彼の姿にも痺れるじゃあないか。そう、ドーガさんこそ男…いや漢なのだ!!と賞賛するに値する活躍を見せるのだ。

ココで一つ、この「ファイアーエムブレム」はシミュレーションゲームなのだからして、彼と同じクラス…アーマーナイトやその上級職であるジェネラルは他にもいる。「暗黒竜」なら「港町ワーレン」でシーダの新興宗教ばりの「あなたには愛する人がいますか?あなたは愛を信じますか?」という逆ナンパ説得により自軍に下るグルニアの重装騎士ロジャーや、アカネイアの城でミディアらと共に捕らえられているミシェラン&トムスのコンビ。更にはグルニアとの決戦で仲間となる老騎士ロレンスと決して少なくない。「紋章」の方では後半にシーマという女重装騎兵が条件次第で仲間となる。しかし、アーマーナイトと言えばドーガさん、と応えるFEファンは多い。

勿論、「暗黒竜」「紋章」どちらでも最初からいるので育て易いという絶対的なアドバンテージもあるが、その秘密は彼の成長率に由来する所が大きいだろう。彼の兵種はアーマーナイト…移動力、素早さが低い分守備力が高い、というクラスなのだが、育ててみると分かるのだが、彼の場合、どういう訳か守備力よりも素早さのパラメーターが上り易い。むしろ、守備力が中々上らずに後半では厳しくなるケースすらあり、アーマーナイトらしからぬ成長を遂げる。

ただ、コレはあくまで運が良ければ、ないし愛情次第で素早いアーマーナイトに成長する可能性がある、という事なのだ。事実、「紋章」では星のかけらの成長補正を上手く使えばドーピング無しに素早さが最大の20に達するし、私の場合、魔法防御以外全部MAX、その魔法ですら魔導士並の10、トドメにブーツで移動力も騎兵に匹敵、というバケモノに育った事もある。しかも、「紋章」のシステムだと騎兵は屋内のマップでは馬から降りなければならず、しかも武器が槍から剣に変わってしまう為、最終マップに間接攻撃可能の最強の槍・グラディウスはアーマーナイトかジェネラルしか装備出来なかった。この恩恵は大きい。但し、ファミコン版はアーマーナイトはジェネラルとは無関係になっていてクラスチェンジ出来なかったのでクラスとしても微妙だったのも事実だし、DSでリメイクされた「新・暗黒竜と光の剣」では騎兵が馬に乗ったまま屋内に入れる為、グラディウスもドーガさんだけのものでは無くなってしまったのだが。

成長に関しては、ロジャーは全体的にはドーガより良かったらしいが典型的なアーマーナイトタイプであり、ミシェラン&トムスは参戦が遅い上に成長率も微妙。「紋章」のシーマは成長率はかなり良いが、やはり登場が遅く、初期パラメーターも低め。ただ彼女の場合、唯一無二の女重装騎兵であり、その上シナリオ上で評価の高いイベントがあったりもする等、キャラクターとしてはドーガさんを完全に食ってしまう…しかし、しかしそれでも、私にとってはアーマーナイト(ジェネラル)=ドーガさんなのだ!!

まぁ、色々理屈をゴネてはみたが、ナゼ私が「ファイアーエムブレム」でドーガさんに拘るのか…実の所、はっきりしていない。ユニットとしての使い勝手、成長させ易さならば他にも優れたユニットは沢山いるし、何となく親近感が沸くとかそんな理由だけではない。

…何というかなぁ…あのゲームで唯一、硬派な”漢”を感じるキャラクターなんだよなぁ…。扱いは決して良くないながらも、マップで敵の攻撃を一身に受けて仲間を守るその姿に…そして黙して語らず、余計な事を言わずに自身の仕事をこなすその背中に。コレばっかりは赤緑の騎兵コンビにゃ無い、彼だけの魅力だ。それに、アリティア宮廷騎士団の中でもその扱いの悪さゆえ、逆に想像の余地があるキャラクターにも思えてくるじゃないか。

ただ、そんな寡黙なイメージを物色する…というより、扱いの悪さを解消したのが、ニンテンドーDS用ソフトとしてリニューアルという形で移植された「新・暗黒竜と光の剣」及び「新・紋章の謎 光と影の英雄」だ。「新・暗黒竜」ではのドーガさん、ノーマルモードで追加された序章にてジェイガンを戦死させてしまうと、ジェイガン的なポジションでセリフを発してくれる上、序章で囮以外で戦死者を出した場合仲間になる新キャラクター・ノルンとの絡みがあったりと、今までが嘘の様に喋ってくれるのが嬉しい。(但し序盤のみ)しかも、ノルンとは信頼補正があったりと想像力を刺激してくれる形になっているのがオイシイ。ユニットとしても、兵種変更が可能になったおかげでキャラクター固有成長率の他にクラス別成長率が設けられているので、そのままアーマーナイトにしておけば今まで上がり難かったHPと守備力がガンガン上ってくれる。しかも、他の兵種からアーマーナイトないしジェネラルに転向した場合、補正がかかって大幅に素早さが下がってしまうので、素早さの成長率が高いドーガの存在意義はむしろ際立っている。ジェネラルで守備力がマックスまで上った場合など、銀シリーズの武器ですらかすり傷程度になる為、敵は対アーマー武器や魔法、マムクートのみになる。ただ素早さの上限は低いので対戦プレイをするには不向きかも知れないが、普通にストーリーを進めていく分には最も頼れるユニットの1人となってくれる。

「新・紋章の謎」では、マルスの近衛騎士という役割でプレイヤーの分身ユニットを作成出来るのがウリとなっていて、男キャラを選択すると、ドーガさんとのダブルアーマーコンビを結成できる。女キャラの場合は、アーマーナイトという兵種が男専用になっている為不可なのが残念だが、その分SFC版には未登場だったロジャー、トムス、ミシェランも自軍に加わるので、驚異のアーマー軍団の結成も可能になっている。また、シーマのおかげでジェネラルの方は女ユニットでも転職可能なので、速さが上がり易いカチュアやセシルといったユニットを上級職に成長させた後にジェネラルへ転向すれば、ドーガさんを苦労して育てずともハイスピードアーマーを仲間に出来る。いや、勿論ドーガさんだって、相変わらず速さが育ち易い傾向にあるので頑張って…丁寧に育てればハイスピードアーマー化してくれる。

そして、シナリオでも今回は主人公が近衛騎士になるまでをプレイさせる「序章」において、教官の一人に抜擢されたりと、それなりに優遇されている。面白いのは主人公と信頼度を上げた際に発生する会話イベントだろう。割とツッコミ役が多い主人公が、ドーガさんとのやり取りではナゼかボケ役になっており、呆気にとられつつツッコミを入れるドーガさんが見られるのだ。

…なんか、「遅い、育たない、ダサい」と文句を言われつつ、それでも頑なにドーガさんを信頼し、使い続けて来た身としては嬉しくもあり、「やっと陽の目が当ったなぁ」としみじみ思ってしまうな、うん。

但し、通信対戦をプレイするという点に関しては、アーマーナイトやジェネラルは不利だ。通常プレイであれば、銀シリーズの武器すら通さない鉄壁ぶりも、錬成武器を使われれば呆気なく通ってしまうし、速さのクラス上限が低いので追撃も喰らい易いのが原因だ。まぁ、個人的にはこの対戦モード自体が不要とも思っているので気にならないが、「ファイアーエムブレム」に限らずファンタジー世界を舞台にしたRPGやSRPGにおいては、重装キャラクターって奴は敵の場合は極めて厄介だが、味方の場合欠点が多くイマイチ…という傾向って…あるんだよなぁ…。



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