働くメカ達

ウォーカーマシン
「戦闘メカ ザブングル」メカニック

「戦闘メカ ザブングル」の一番の魅力といえば、元気イッパイに画面の中を駆け回るキャラクター達の個性である。それは「ザブングル」を見たことのある人は異口同音で認める部分であろう。ツマラナイ屁理屈なんて無視して全身で飛び込んでしまえる痛快さは、やはりアニメーション本来の姿、「エンターティメント」の本道と言えるのではないだろうか。

そんなキャラクターの魅力が先行して語られることの多い「ザブングル」において、彼等の魅力をマックスまでに引きたてた名脇役がいる。それこそが今回紹介するメカ「ウォーカーマシン」である。

一応概容を説明しておこう。「ウォーカーマシン」は物語の舞台である惑星ゾラの支配階級であるイノセントが支配される側のシビリアンに与えた人型歩行機械の総称である。

ちなみに、ウォーカーマシンが二足歩行にこだわる理由、は「いつか再び大地を踏みしめたい」という彼等の願いから来ているらしい。移動、運搬、作業、そして戦闘と幅広い用途を持つ正にシビリアン達の生活必需品なのだ。元々は惑星ゾラの経済基盤であったブルーストーン採掘の為に作られたが、後に様々な作業に対応出来る様改良され、その進化の最先端が、カーゴ一家の「アイアンギア」であり、ジロンが乗り込む「ザブングル」なのだ。

さてここで注目すべきは、「元々は惑星ゾラの経済基盤であったブルーストーン採掘の為に作られた」という一点である。ウォーカーマシンは今までのロボットアニメに登場したメカとは違い、小競り合いの解決手段として使われることはあるが、その存在意義は戦闘や戦争の兵器としてではないのだ。この部分こそウォーカーマシンの最大の特徴であり、魅力なのだ。

だからこそオモチャとしての見栄えを考慮した「アイアンギア」「ザブングル」「ウォーカーギャリア」「ブラッカリィ」以外はいわゆる「顔」が存在しない。いや、マトモな人型ですらないのだ。顔の代わりにガラス張りの操縦席がついていて、手足は作業用らしくドリル、爪、銃器といったものになっている。五指を持っているのは上記した4体ぐらいなものだ。

そして操縦方法はステアリングホイール式であったり、建設重機のようなレバー式である。「そんなんでどーやって操縦するんだ?」というツッコミには、コトセットのように「はっはっはっ!!アニメだからね!!」と開き直るしかない。そして動力はガソリンエンジンであり、クラブタイプに至ってはコクピット両脇の煙突マフラーから常にもうもうと煙を吐き出している。

確かにこんなのは昨今の無駄に細やかな設定が成されるアニメ作品では考えられない程理屈の通らない設定ではある。しかし、何とも親近感を抱かせる設定であろうか!!
我々の実生活においても使われている「ハンドル操作」や「ガソリンエンジン」という設定が、ウォーカーマシンのみが持つ独特の生活臭をかもち出している。つまり、ウォーカーマシンはシビリアンにとっての生活必需品であり、彼等の生活と非常に密接な関係にあるという事が「ハンドル操作」「ガソリンエンジン」という設定によってかなり説得力のあるものとなっているのだ。

更にウォーカーマシンは100mを越えるアイアンギアから、2m程度しかないトラッド11等、バリエーションには事欠かない。その用途別の描き分けが、道具としてのウォーカーマシンというイメージを増幅させているのだ。このロボットを徹底して道具として描く手法は、以降「装甲騎兵ボトムズ」等といったロボットを敢えてぞんざいに描く作品のルーツと言っても過言ではないだろう。

そして忘れてはいけないのが、ウォーカーマシンのデザインである。ウォーカーマシンは作業用という特性を持っている為、「カッコ良くなくても良い」という強みがある。
基本的にザブングルやアイアンギアといった主役級以外は、大河原邦夫氏ではなく当時若手の出渕裕氏がメカニカルデザインを担当していた。

氏はウォーカーマシンの関節方式にトリ足を用いる等、いかにも動きそうな関節を描くことに成功した。そういった「いかにもありそう」な雰囲気がウォーカーマシンの魅力である。「ガンダム」におけるモビルスーツのリアリティとはかなり異質であり、それこそがウォーカーマシンのウォーカーマシンたる所以となっている。言うなれば、ガンダムが航空機やスポーツカー的なリアリティであり、それに対するウォーカーマシンはクレーンやバックホーと言った建設重機的なリアリティと言った所か。

無骨で、スマートさなんざ皆無のウォーカーマシンではあるのだが、その部分こそがウォーカーマシン最大の魅力であり、物語の中でキラリと光る「ザブングルの名脇役」たる所以なのだ。
劇中、ジロン達惑星ゾラに住む元気で逞しい連中と共に、荒野をドタバタと駆け回るウォーカーマシン…彼等の助演なくしては「ザブングル」という作品はただ騒がしいだけの作品になってしまったかも知れない。
「ザブングル」の舞台、惑星ゾラは「未来の地球」という設定がある。その空想世界のイメージをガッチリと構築し、それでいて主役たるキャラクター達の個性を阻害しない名脇役。コレがウォーカーマシンの魅力であり、個性なのだ。

やはり、ウォーカーマシンには荒野と埃が良く似合う。


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