今回はいつも以上にネタバレ多いです。

トップをねらえ2!(劇場版)

2006年 劇場公開作品 ガイナックス制作
声の出演:福井裕佳梨、坂本真綾、沢城みゆき、岩田光央、山崎たくみ、他

簡単解説
太陽系に侵攻を続ける宇宙怪獣。「トップレス」と呼ばれる超能力を持つ少年少女と「バスターマシン」が人類防衛の砦となった世界。宇宙パイロットを目指し状況した家出娘ノノは、ある日トップレスのエースパイロット・ラルクと出会う。この2人の邂逅が人類の未来を大きく担う事とは知らずに…。


今回紹介する「トップをねらえ2!」はガイナックスの設立20周年記念作品として制作されたOVAであり、「エヴァ」で名を馳せた庵野氏が「エヴァ」以前(と、いうか初監督した)に岡田斗司夫氏らと手掛け、人気を博したOVA「トップをねらえ!」が、21世紀になってからまさかの続編の制作、という事で話題を呼んだ作品の劇場版である。もっとも、前作の監督を務めた庵野氏は今回第4話の絵コンテを切るまではほぼノータッチだったらしく、本作の中心となったのは鶴巻和哉氏や榎戸洋司氏といった面々であり、ガイナックスという集団内でも所謂世代交代的な意味もあるのかも知れない。

ちなみに劇場公開とはあるが大々的に全国同時上映、なんて形ではなく、東京アニメセンター・アキバ3Dシアターにて本家「トップをねらえ!」の総集編と共に「トップをねらえ!トップをねらえ2!合体劇場版」等と称して公開された作品であり、も一つ余談として、OVAの方は東京国際アニメフェスタ2007にてオリジナルビデオ部門を受賞している。勿論、フジテレビ系で深夜に放送されていた「FNS地球特捜隊ダイバスター」は本作とは無関係だ。

この「トップをねらえ2!(以下トップ2と表記)」であるが、続編ではなく本家「トップをねらえ!(以下トップ1と表記)」で描かれたバスターマシン3号を中核とした人類生き残り作戦カルネアデス計画と、その一万二千年後の「オカエリナサイ」の間を描いた作品だ。「トップ2」で描かれる世界観においては「トップ1」のSF設定の根本にあった縮退炉やらワープ技術といったモノは”失われた技術”となっており、バスターマシンも縮退炉を用いた決戦兵器ではなく、トップレスと呼ばれる超能力を持つ少年少女の操る対宇宙怪獣の戦闘兵器といった位置付けになっている。

本作の特長とも言うべき「トップレス能力」の面白いところは、この能力は思春期にのみ発現する能力であり、20歳前後になると能力を失うという所であろう。コレは劇中では「あがり」と称されており、劇場版ではカットされているが、OVA本編ではトップレスとしての能力を失った事で自暴自棄になったニコルがノノに対し”性的暴行”を加えようとする、なんて結構ハードな描写もあった様で、このトップレス能力はある意味「トップ2」のメインテーマとなっていると言っても過言ではないだろう。トップレスとしての寿命を延ばす為に重力変動源(ネタバレだが宇宙怪獣)の肉を食う双子やら、ドジッ娘アンドロイドでしかなかったノノの正体発覚にもトップレスや宇宙怪獣が絡んでおり、宇宙怪獣の正体にしても企画段階で宇宙怪獣の正体はトップレス能力者が『あがり』を迎えないまま進化した姿」だとする仮定がなされていた様だ。「トップ1」においてはメインがパロディ的なモノだったのに対し、「トップ2」ではそういった「トップ1」の設定に対しての謎解き的な要素も加味されている。

そういう意味で言えば、実は「続編」…というか「補完」的な意味合いもあって作られた筈の「トップ2」ではあるが、内容はともかく雰囲気そのものに関して言えば「トップ1」の雰囲気とはかけ離れたものとなっている。題材としての宇宙怪獣、バスターマシン、お姉様、努力と根性、といった前作から引き続きのキーワードはあるものの、このトップレスという能力のおかげで「トップ1」とは違うものに感じてしまうかもしれない。恐らく、スタッフにしても物語の補完やら続編に泥濘したくないスタッフが時間軸一つとっても敢えて「トップ1」からは若干外したのだろう。しかし、ラストの「オカエリナサイ」を見るまで待つ必要もなく、「トップ2」は「トップ1」の遺伝子をきっちり受け継いでいるのである。

例えば、ノノがバスターマシンを持てずフラタニティの面々から冷たくされるシーン等は、「トップ1」の冒頭、落ちこぼれ故に仕打ちを受けるノリコの姿と多分に被る部分があるし、自信を喪失したラルクを叱咤(とはちょっと違うが)して再びディスヌフに乗るキッカケを与える、なんて立場逆転な演出も見て取れる。しかし、最も「トップ2」を「トップをねらえ!」たらしめている部分というのは、もっと根源的な部分…地球を一つの特攻兵器として用いるという、幾ら人類の生存を賭けているとはいえ古今東西稀に見ぬキョーレツな作戦に対し、身を挺して地球を守るダイバスターの姿に象徴される、「諦めない」という部分であろう。この部分に関しては、「トップ1」と比較しても強調されており、ノノが冒頭で働いていたレストランの女店主の「現実を見ろ」という言葉や、かつてのトップレスの成れの果てとも言えるカシオや後半でのニコルの姿が逆説的にこの「諦めない」を強調している。

もっとも、この「諦めない」という部分を背負う存在でもある筈のノノが実はバスターマシン7号であり、それなら彼女が宇宙パイロットを目指したのは自身が作られた目的というモノが関与しているのでは?なんて勘繰りも出来てしまうのだが、彼女の目標というのは実は宇宙パイロットになる事では無く憧れのノノリリになりたい、というものであろうからしてコレは下種な勘繰りだろう。それに、実の所「諦めない」を真の意味で印象づけるのは「ノノは絶対宇宙パイロットになるんですぅ〜」と初手から「諦めない」を強調するノノではなく、クールを装っているラルクの方であろう。

バスターマシン7号の登場により、トップレスそのものに対し世間から否定された際は勿論の事、最終局面、ドゥーズミーユに乗ってエグゼリオ変動重力源に特攻する直前、艦隊の司令官に「生きて帰れ」と言われた際も、その言葉に感謝しつつ諦めていた。しかし、特攻を阻止する為に現れたダイバスターに対し本音をぶちまけ、ノノの危機に対しバスターマシン19号を覚醒させる件以降、ラルクは正に「諦めない」を象徴する存在となる。コレもネタとしては「立ってよカズミ!」と多分に被るが劇中でも特に印象的に映っており、「トップ2」を「トップをねらえ!」たらしめている部分であろう。

さて、総論になるが、私はアニメ誌などは一切読まないので、「トップをねらえ2!」に関しての情報の多くは模型誌から見たものであった。しかし、それが正直イカンカッタと痛感した。模型誌などでの特集で「トップ2」がネタになると、それは十中八九はノノの…それも物語冒頭のレストランの制服を着てパンチラしているようなフィギュア…もしくはディスヌフのフィギュアをメインに、簡単な作品紹介、というモノだったせいで、「トップ2」に対し「トップ1」よりあざとく、先鋭化した様なオタク臭を感じていた。しかしさに非ず、絵柄やノノのキャラクターで誤解をし易いが、実の所「トップ2」は「トップ1」よりもパロディ的要素やお遊びが少ない為(といっても劇場版のみの印象ではあるが)オタク臭をあんまり感じないのだ。まぁ、それでも芸能人の小倉某子とか中川某子に抵抗がある人にはオススメできんレベルではあるのだが…。

ただ、そういった表面部分で頭ごなしに否定してしまうには、ちょっとモッタイナイ作品だな、というのが私の印象だ。ええ、ワタクシが間違っておりました。(笑)
「トップ1」的な正統派というか、王道なロボットアクションとはやや趣は異なるが、イデオン以来(?)の惑星ぶった斬り(しかもイデオンのソレより簡単に)やら赤い天の川を構成する宇宙怪獣の正体、地球を核とする特攻兵器…見所は多いので、素直に反省してオススメさせて頂きますよ、ええ。(苦笑)

最後にまた余談ではあるが、実は「トップ2」以前…「トップ1」完結後に「トップをねらえ!NeXT GENERATION」なる続編企画は立ち上がっており、小説やコミックがリリースされている。この「NeXT GENERATION」という企画も「トップ2」と同じくカルネアデス計画からノリコ&カズミの帰還までの一万二千年を埋める年代記的なモノになる筈だったのだが、コチラは企画自体が途中で頓挫してしまっている。ちなみに今回紹介した「トップ2」の部隊は当時の「NeXT GENERATION」で描かれた時系列ともかなりの間がある為、幸い「どっちが正史?」みたいな混乱はない様だ。コチラの「NeXT GENERATION」も「トップ2」の完結を経て再始動する、という話もあるのだが、果たしてどうなる事やら。

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