21世紀のトランスフォーマー事情

超ロボット生命体トランスフォーマー マイクロン伝説

2003年 テレビ東京 NAS制作 全52話 テレビ東京系放送
声の出演:大川透、沢木郁也、岡野浩介、梁田清之、山野井仁、等

簡単解説
機械惑星セイバートロンで巡り長きに渡る戦いを続けていたサイバトロンとデストロンの両陣営は、宇宙の彼方から送られた信号をキャッチする。それは長い間行方不明になっていた小型トランスフォーマー・マイクロンが地球で目覚めたという合図だった。マイクロンを味方につければ今まで以上のパワーアップが図れる。かくしてサイバトロン、デストロン両陣営のリーダーは自ら宇宙の辺境の地たる地球へ向かう。正義のサイバトロン、悪のデストロン、両陣営のマイクロンを巡る戦いは今切って落とされた。

超ロボット生命体トランスフォーマー スーパーリンク

2004年 テレビ東京 NAS制作 全52話 テレビ東京系放送
声の出演:小西克幸、岩田光央、岸尾大輔、遠藤純一、長島雄一、他

簡単解説
超巨大トランスフォーマー、ユニクロンとの戦いから10年。サイバトロンとデストロンは力を合わせ、故郷セイバートロン星の再建をはじめた。そして、コンボイと仲間たちはさらにパワーアップを果たし、新たな任務に備えていた。その任務とは、地球の科学者たちとの交流である。地球各地にひそかに建設されたサイバトロンシティで、トランスフォーマーと国連政府は、超エネルギー・エネルゴンの開発を進めていたのだ。一方、いずこかへ消え去ったユニクロンは死んではいなかった。ユニクロンを発見した宇宙人アルファQは、ユニクロンを復活させるため、地球のエネルゴンを強奪することを計画。配下のテラーコン軍団を差し向ける。


トランスフォーマー誕生プレ20周年、及び20周年記念作品として登場した新たなトランスフォーマー「マイクロン伝説」と「スーパーリンク」は、他のシリーズ作品とは異なり最初から日米による共同制作となった作品だ。「トランスフォーマー」は「2010」以降、日本では「ザ・ヘッドマスターズ」や「マスターフォース」といった展開、海外では「リバース」という風にそれぞれ独自の路線へ枝分かれしているのだが、今回の「マイクロン伝説(アルマダ)」と「スーパーリンク(エナージョン)」を日米共同制作とした背景には、海外制作の「ビーストマシーンズ」が本国で大コケした事、そしてその後日本から導入された「カーロボット(ロボットインディスガイズ」)のヒットも関係しているのだろう。

そしてこの「マイクロン伝説」であるが、アニメ以外のもう一つのキーである玩具においても革新が起きた。97年から続き、本来のターゲットである子供だけでなく玩具コレクターにも絶大な支持を受けた「ビーストウォーズ」シリーズは、ボールジョイントの多用により完全変形と間接可動というスタイルを確立した訳だが、コレには弊害もあったのだ。確かに最早アクションフィギュアとも遜色が無いこの「ビーストウォーズ」シリーズの完成度は素晴らしいものがあるが、逆にそれは変形機構の複雑化を促す結果となり、大人でも一度変形させたら戻せない…なんて事も実際にあった。この「マイクロン伝説」のスタート以前にタカラの開発チームが実際に玩具ユーザーの家を訪れたりと市場調査を敢行したが、そこで見られたのは複雑すぎて中途半端な姿で放置されていたり、間接の磨耗により自立すら出来なくなっていたり、ボールジョイント毎にバラバラにされてオモチャ箱に無造作に突っ込まれたり…そんな無残な姿のトランスフォーマーだったのだそうだ。

大人の玩具コレクターならば、間接に負担をかけるような遊びはあまりしないし、間接が外れたり擦り減っても付け直すとか瞬間接着剤を盛る、といった対応が可能だ。だが「トランスフォーマー」シリーズのメインターゲットたる小学校低学年以下の幼児はそうはいかない。一部の大人のファンに「動かない」的な非難を浴びていた「マイクロン伝説」の玩具であるが、裏にはこういう事情があったという訳だ。確かに、本来のターゲットを蔑ろにしてしまうような玩具には先は無いだろうからこれはある意味英断だったのだろう。その代わり、「マイクロン伝説」の玩具には新機軸である小型トランスフォーマー「マイクロン」と連動させるギミックが搭載される。コレはトランスフォーマーについている専用ジョイントにマイクロンを接続する事により、サウンドギミックが働いたり武器を展開したりするギミックであったが、そのギミックには賛否両論があったようだ。

続く「スーパーリンク」では、「マイクロン伝説」の時に大人のファンから届いた「動かない」という意見に対応したのか間接可動もそこそこするスタイルとなったが、変形システムは比較的簡単なものに抑えられていたり、間接にもラチェット機構がついていたりと子供達の遊び易さを考慮した作りは継続されていた。また、コチラのシリーズではサイバトロン側にはスーパーリンク、デストロン側にはスーパーモードという新たなギミックが仕込まれており、プレイバリューを高めている。特にスーパーリンク機構は所謂上下合体なのだが、それぞれが上半身にも下半身にもなる「ダイガンダー」のロウガマル&タイガマルの様なシステムとなっているので面白く遊べる要素となっただろう。ただデストロン側のスーパーモードに関しては…いささかしょーもないモノばかりだったのだが…。

さて、アニメの方ではあるが、先鋒たる「マイクロン伝説」の監督を務めたのは…そう、悪名高い「サイバスター」の監督を務めたうえだひでひと氏だったりと、かなり「ダメなんじゃ…」という予感がファンの中にはあったらしいが、確かに「マイクロン伝説」にも「サイバスター」チックな展開の遅さというか、静か過ぎて引き込まれ難い部分はあったものの、実は総合的に見ると十二分に面白いと言える作品に仕上がっている。言わば21世紀に入ってのトランスフォーマーの「仕切り直し」の作品としてはかなり良かったんじゃないかと思う。

先ず特筆すべきは子供達が戦闘から隔離されていない、という部分。勿論「超神マスターフォース」の様に直接戦闘に参加する訳ではないが、SFファンに「トランスフォーマー」を支持するファンが多い理由の一つともいえる、トランスフォーマーと人間の子供達による「異文化交流」的なものがしっかり描かれているし、キャラクター毎の特徴も、「ビーストウォーズ」のような荒業ではなくキッチリドラマパートで表現してくれる部分も良かった。特にキャラクターとの絡みとしてはやはりアレクサとスタースクリームのエピソード等、語り草になりうるものもある。アレクサと言えば、この「マイクロン伝説」で非常に少ない女性(というより女の子)キャラクターなのだが、ビジュアルは今風のアニメ調…言わば「萌え」の要素が非常に薄い。それが原因とは言わないが、この「マイクロン伝説」はアニメ誌等では殆どスルーの扱いで、インターネットにおいても古株のファンが運営しているトランスフォーマー系サイトならいざ知らず、所謂「アニメ日記」的なサイトで取り上げられている例は非常に少ないように見受けられた。そう、大人のアニメファンに媚びているような作りはこの「マイクロン伝説」には殆ど無いのだ。私などはこの部分にこそ、この作品に対して不器用ながら、真摯だったと思える部分だと感じている。

いや、もちろん欠点もある。特に戦闘シーンは一部を除いてパターン化し過ぎている所が見受けられたし、肝心の玩具との連携も拙い部分が多い。せっかく用意されたコンボイのスーパーモードは滅多に出番は無かったし、後半出てきたウルトラマグナスは時間的な都合もあったのだろうが完全にコンボイのパワーアップパーツ扱い…。このシリーズのウリでもある筈の「エボリューション」も、結局は物語からドロップアウトしてしまった。こういった玩具との連動も含めたアクション面での拙さは残念な部分が多い。ただアクション面で言えば最終回のコンボイとメガトロンのラストバトル…コレだけは大迫力で、戦いながら交わした2人の哲学的な会話も含め、非常に見応えがあり凄かったが。

ともあれ、そういった欠点を補う魅力が「マイクロン伝説」にはあったのだ。それは最終回で強く描かれたコンボイとメガトロンの関係であり、「未熟者」ことホットロッドのシリーズを通して描かれた成長、トランスフォーマーと子供達のふれあい…そして、「マイクロン伝説」影の主役スタースクリームの最後…ドラマとしての見せ方は秀逸で、物語の展開の遅さ、ビジュアル的な地味さをカバー出来ていたのだろう。アニメ誌にもアニメファンにも総スカンを食ったと言えなくもないし、ライバル会社の露骨な嫌がらせとも思える「マシンロボ」の復活や、同時多発テロによる演出上の規制等…かなり悪条件が揃っていた中で展開した「マイクロン伝説」ではあるが、それでもこの作品、傑作とまでは言えないが、間違いなく良作の部類には入るだろう。

対して続く「スーパーリンク」であるが、コチラは前作とは変わってCGによる作画がメイン…なのだが、このCGワークが非常に拙い。カメラが寄るとピントがブレたような状態になったり、円がカクカクしていたり、歩いているモーション等が絵と合っていなかったり…「G1」の頃から「トランスフォーマー」は作画に関してはあまり褒められるモノではなかったし、似たようなキャラクターが多いこともあって作画ミスとかも多かった。そして昨今のトランスフォーマーが不必要なまでに線が多い事を考慮すれば、作画の負担を減らしたいという思惑があるのは分かる。ただ、トランスフォーマーはメカであると同時にキャラクターでもあるのだから、せめて無機質な…イカにもCGCGしたシロモノではなくもっと生きた動き、生きた見せ方をして欲しい気がする。まぁ、この事は実際作品上でもダイナミックに見せたい部分などは通常のセル画になっているので、この事を何よりも分かっているのはスタッフ達自身だとも思うが。

そしてもう一つ気になったのがテンポの早さだ。この「スーパーリンク」は前作とはうって変わってスピーディなストーリー展開が成されている。更に2クール目、3クール目等に最終回的な物語のヤマ場を持って来て、長期シリーズを飽きさせないようにしている。更に日本各地の方便を使うオムニコンや、1人4役のアルファQのキャラクター等、かなりコミカルな方面へシフトしている印象が強い。最早ギャグキャラクターと化したスノーストーム&アイアンドレッドのコンビや、ヨン様ならぬガル様フリークのショックフリート等、キャラクター演出にもそういった部分が伺える。ともあれ、ズバ抜けた集中力を持つものの基本的には飽きっぽい子供に飽きさせず1年付き合わせようという、戦略なのだろう。

更に、コチラは昔かたぎのトランスフォーマーファンには最初から否定的にとられていた部分…そう、典型的ナマイキ妹キャラのサリーや、ヒロインにして白衣&メガネのダブルパンチなミーシャといった、対萌えヒロイン達の存在だ。ビジュアル的にも本作では前作とは違って人間キャラクターが今時のアニメっぽいものになっていたりもする訳だが、「マイクロン伝説」のキャラクターデザインを「潔いし真摯だ」と受け止めていた私には少し引っ掛かるものがあった。少なくとも、コレはメインターゲットたる子供達への配慮ではなく、むしろ大人なアニメファンへのアピールだろう。実際、普段の記事を見る限り「トランスフォーマー」に縁が無さそうなサイトの日記などにも、終盤のエピソードにあったガレキが埋まって狭くなった通路を四つんばいで進むサリーに対し、「ヤバイ、エロ過ぎる。」的に絶賛していた所も見受けた。幾らアニメとはいえせいぜい中学生程度の毛も生えて無さそうなキャラクターに「エロい」という表現を使うのは人としてどうだろう…とも思うのだが、それはともかく、コレ…まさか「マイクロン伝説」の時にアニメ情報誌等からあからさまら放置されていたのが悔しかった、とでも言うのだろうか?

まぁ、それはともかく「スーパーリンク」に関しては、キャラクターの使い方に違和感を覚える場合が多い。一応「スーパーリンク」は「マイクロン伝説」の続編な訳だが、話を繋ぐ意味で出ていた「マイクロン伝説」の子供達は序盤にチョロッと出ただけ。(ラッドは最後まで出ていたが)しかも出ていただけ、という程度の扱いだ。まぁそれは譲るとしても、トランスフォーマーの続投組の変貌も気になる。姿が変わって性格的にもハト派からタカ派へ豹変してしまった感があるグランドコンボイを始め、アイアンハイドが復活したアイアンドレッド、ショックウエーブが復活したショックフリート、スタースクリームが転生した(と思われる)ナイトスクリーム…担当声優が変わったのも勿論そうだが、性格やそれまでの複線もすっ飛ばしてしまう展開には正直疑問だ。アイアンハイド時に一悶着あったロードバスターはアイアンドレッドとの絡みはあまりなかったし、前作では無口(というよりしゃべれない)ショックウエーブがやたら饒舌なショックフリートとなったり…最初から同一人物としてのネタを出すつもりがないなら、ハナから別人として設定すれば良かったのではないだろうか。

特に前作で名エピソードを持つスタースクリームの面影があるナイトスクリーム…アルファQによって転生され、かつての記憶を失っているナイトスクリームと、スタースクリームの死を受け入れて成長したアレクサ…この2人の何かしらの絡みを期待していた人は多いんじゃないだろうか。更にアイアンドレッドにしても、サンドストームとは異なり、アイアンハイドはサイバトロンとの共存していた自分に少なからず未練があり、悩みつつガルバトロンの元に下った様な描写があった…にも関わらず、そのフラグはアイアンドレッドとして復活した時に何処かへ吹っ飛んでしまっている。前作とのリンク、ないし転生前とのリンクという点に関しては、「スーパーリンク」というタイトルの割にちっともリンクしてないのだ。

もっとも「スーパーリンク」というタイトルの意味は前作とのリンクとかそういう事をテーマとした訳ではないのだが、別のリンク…例えば「仲間」という意味のリンクに関しては、結構面白い描き方をしていたのだ。最初はお互いにバカにし合っていたキッカーとロードバスターが最終的には心から「相棒」と呼び合える仲間となったり、更にはアルファQとキッカーの関係にもそういった「仲間」的な要素があると言えるだろう。そして最後のコンビネーションスパークの件にも見られたように、トランスフォーマー同士の繋がりというのもある。それはデストロン側にもいえる事で、デストロンのメンバーは何だかんだ言っても皆ガルバトロンを慕っている、という事がそこかしこで描かれてもいる。

そういう意味からも、前作とのリンクも大切にして欲しかったと思ってしまうのだ。実際「スーパーリンク」のやり方なら、別に前作としての「マイクロン伝説」は要らないのだ。結果、「スーパーリンク」の最終回は、今までの…言わば中盤のヤマ場より最終回的に見えない…盛り上がりに欠けるものになってしまったんじゃないだろうか。実際問題として、続く「ギャラクシーフォース」は聞く所によるとまた世界観がリセットされるのだという。コレだと余計「スーパーリンク」を「マイクロン伝説」の続編とした事に意義を感じなくなってしまうと思うのだが…。

さて、余談になるが、「マイクロン伝説」のラストでユニクロンが登場し、玩具まで発売された事で往年のファンの中で話題となった事に気を良くした、という訳では無いのだろうが、「スーパーリンク」にはトランスフォーム時の「ギゴガゴガ」という、「G1」にあった独特の効果音が復活したのを皮切りに、ホイルジャックやスプラング、スペリオン、ブルーティカスといったG1世代には懐かしいキャラクターの名前が復活している。もっともデバスターは「マイクロン伝説」で名前が使われてしまった為、ビルドロンという名前になってしまったのだが。


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