お約束の要素満載

メダロット

1999年 全52話 Bee−Train制作 テレビ東京系放送
声の出演:山崎みちる、竹内順子、仙台エリ、鈴木真仁、井関佳子、他

簡単解説
メダロットを持っていない少年「天領イッキ」は、は拾ったメダルとコンビニの奥で埃を被っていたKBT型の旧式パーツを使い、「メタビー」と名付け「メダロッター」としてデビューを果たす。イッキは最初はメタビーに命令を無視されていたが、数々のライバルとの戦いや、「ロボロボ団」との対決で次第に相棒としてメタビーと友情を育み、メダロッターとして、人間としても成長していく。

メダロット魂

2000年 全39話 トランスアーツ テレビ東京系放送
声の出演:山崎みちる、竹内順子、仙台エリ、鈴木真仁、井関佳子、他

簡単解説
「デスメダロット」と名乗る謎のメダロットが、ルール無用のロボトルで世間を騒がせていた。世界大会2位となった名コンビ「イッキ&メタビー」もデスメダロットに敗北を喫する。そこへ現われた美人ジャンク屋「ナエ」。彼女によって変形機能を得た新型メタビーは「メダロッターVSデスメダロッター」の戦いの中心となっていく。


この「メダロット」は、イマジニアが発売したゲームボーイ用ソフト「メダロット」というゲームをベースとしている作品なのは一目瞭然である。このゲームは、ロボットを強化して友達と対戦するという言わば「ポケモン」的なゲームであり、コミックボンボンで漫画化され、アニメ化したという訳である。しかし、「ポケモン」と同じようなメディア展開をしてはいるものの、任天堂という強大なバックが着いている「ポケモン」よりイマイチ印象が薄い感は否めないかも知れない。しかしこの「メダロット」のアニメは平均視聴率が4%を越える隠れた人気作品だったのだ。

このメダロットは作中プラモデル感覚で子供にも買えるロボットとして描かれており、コンビニで普通に売っている。骨格にあたる「ティンペット」、頭脳となる「メダル」、そして組み合わせる事で能力を変化(強化)させることができる「パーツ」とで構成されている。そして「メダロッター」は「メダロッチ」と呼ばれる腕時計型の装置で自分のメダロットに指示を送るのだ。ちなみに街中で突如ロボトルを吹っ掛けられた場合でも、このメダロッチを使えば何処にいようとも瞬時に自分のメドロットを転送することが可能というスグレモノだったりする。

この設定は「出ろ!!ガァァァンダァァァァム!!」や「ダイタァァァァァン・カム・ヒア!!」を思わせるが、元々がゲーム、しかも携帯することに意義があるゲームボーイのソフトだということを考えれば、上手く実際のイメージとアニメの世界をリンクさせいてると言えよう。「魂」でメダロッチが「メダロッチアドバンス」に変わるのも、ゲームが「ゲームボーイ」から「ゲームボーイアドバンス」に進化した為であろうか。

そして「ロボトル」とはメダロット同志を戦わせ、勝った方が負けた相手のパーツを1個貰えるというルールの試合で、この世界ではかなり一般化しており大会などの他にも日常のもめ事を解決するために行われるケースも多いようだ。基本的には「プラレス3四郎」的な作品なのだが、メダロットは自律型で自分の意思も持っている。作品自体のイメージとしては「ポケモン」というより「ミニ四駆モノ」に近い印象を受けるだろう。

また、メダロットがある(いる?)近未来という世界観を表現する為か、不良ロッカーや校長先生など、オトナもメダロットを所持しているケースも多い。しかしゲームではティンペットに名前をつけるシステムになっているのに、メダルが人格を司るという設定の為かメダルに名前を付けているような印象が強いというような設定、演出上での原作との食違いが見られる。もっとも作品そのものを矛盾させるような変化ではなく、原作のファンも充分に安心して見られるレベルではあるので気にする必要は無いだろう。ちなみに、アニメ以降に発売された「メダロット3」はアニメから興味を持って入って来るファンへの配慮なのか、システムをアニメ基準に変更しているらしい。

さて、この作品の特徴はやはりこの手の作品の王道である「正々堂々」というテーマであろう。例えば「爆走兄弟レッツ&ゴー」で、豪達は相手のマシンを破壊するバトルレースを否定し、あくまで速さで勝負をした。「アイアンリーガー」ではマグナムエース率いるシルバーキャッスルがダーティなダーク財団のチームに対し、常に正々堂々と勝負していた。

この「正々堂々」というものがこの作品にも色濃く反映されているのだ。特に「メダロット社のメダロット」に対抗して作られた「デスメダロット社のデスメダロット」との戦いを描く「魂」ではそれが非常に色濃くなっている。ナエさんによって高機動形態「レクリスモード」や攻撃型形態「クラフティモード」に変形が可能となったメタビーですら歯が立たないデスメダロットに対し、イッキ達はあくまでも正々堂々と戦うのである。

ワカバにそそのかされてデスメダロッターに転身した愛弟子タテヤマ君に本当のロボトルというものを「武器を使わないロボトル」で魅せたり、イッキ達の戦いを経てデスメダロッターを辞めてメダロッターとして再起した「ギンカイ」も相棒「アークダッシュ」と共に正々堂々とロボトルをする。はてまたスクリューズの「イワノイ」も、メダロッターとしての誇りを取り戻す為に相棒と特訓し、2対1のデスメダロットとの不利なロボトルで一矢報いる。この姿はありがちな演出ではあるものの、非常に熱くさせてくれるものである。

かつての子供の遊び、「カンケリ」「ベーゴマ」「メンコ」…なんにでもその種目の「チャンピオン」が存在した。そして彼等は彼等なりのルールを作り、自分の小さな自尊心をかけて正々堂々と勝負を繰り広げていたのだ。しかしテレビゲームが普及して以来、そういった「正々堂々とした対決」が出来る土壌を失っていたのである。こんな中では子供は何に対しても自尊心なとを持つことなど出来ない。そういった自尊心を持つことが出来ないまま思春期を迎えるから、陰湿なイジメに走ったり、犯罪に走ったりするのではないだろうか?

そういった自尊心を再び子供達が取り戻せたのは「ストリートファイター2」やこの「メダロット」を始めとする対戦ゲームなのではないだろうか?「みんな仲良く」を標榜にして運動会の短距離走ですら手を繋いで一緒にゴールする。みんな同じ、みんな一緒という考え…これこそが子供から自尊心を奪い、子供社会に「イジメ」や「非行」を蔓延させている根本的なものなのではないだろうか?

一方的な押し付けでは人は成長しない。「アイツには負けたくない」という意識が人を正しく成長させるのではないだろうか?「アニメ等の子供向け番組から暴力シーンを無くそう」というバカな動きがあるが、それは完全なお門違いである。そもそも、子供達は常に大人の言動を見て育っているのだ。それなのに子供にだけそういった禁欲をさせるのは大人のエゴである。そういった都合の良い言い訳で子供達の世界を閉鎖的にする前に、自分達の普段の言動をもう一度考えるのが先ではないだろうか?

少し話が飛躍し過ぎたが、この「メダロット」にはユニークで魅力的なワキ役が数多く登場する。イッキ達が憧れるヒーロー的な存在の「怪盗レトルト」や謎(笑)のメダロッター「宇宙メダロッターX」を始め、メダロットで世界征服を企む悪の「秘密結社ロボロボ団」や、イッキ達が迷った時に豊富な人生経験から助言をくれる「ヒヨコ売りのおっさん」(ちなみにヒヨコを買ったのはヒカル兄ちゃんだけ)、どんな局面でも物語をほのぼのムードにしてしまう「イッキの母さん」、そしてロボトルが始まると何処からとも無く「合意と見てよろしいですね」という台詞と共に現われる「Mrウルチ」(この手のキャラクターは「赤ずきんチャチャ」にもいた)等、変な奴等が沢山登場し、物語を盛り上げてくれるのだ。

2部「魂」でも「少年達が描く憧れのお姉さん像」を体現した「ナエさん」という新キャラクターが登場し、イッキやメダロッターに転身したギンカイ、そして謎のメダロッターの導き役として活躍している。(「魂」のエンディング曲「年下のボク」はイッキの恋心とリンクしていたりする。(笑))

こうして見ると「メダロット」という作品は意外にノスタルジックな要素が多いように思える。「憧れのヒーロー」「メンコ、ベーゴマといった対戦する遊び」「番長の存在」「憧れのお姉さん」といった古き良き青春時代を彷彿とさせる設定と、「子供らしさ」というものを全面に出した「正々堂々」というテーマは、至極保守的でお約束な部分があるかも知れないが、なんとも心をホッと和ませてくれるものであると言えよう。


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