ゲッターの次はやっぱり…

マジンカイザー

2002年 光子力研究所制作 全7話OVA
声の出演:石丸博也、八奈見乗児、内川藍維、柴田秀勝、北浜晴子、他

簡単解説
世界征服を企てるドクターヘルが開発した機械獣軍団を率いてあしゅら男爵が、日本に攻め込んできた。破壊の限りをつくす機械獣に自衛隊の特車隊も歯が立たず、炎に包まれる都市…。平和の守り手たるマジンガーZ、グレートマジンガーも総力戦で挑んできた機械獣軍団の前についに敗北する日がやってきた。マジンガーZは捕獲され、そして兜甲児もまた…。光子力研究所に、そして人類に史上最大のピンチが襲いかかる。そんな絶望的な状態の中に出現した新たな魔神の正体は敵か味方か?!


さて、今回は「マジンカイザー」である。
このマジンカイザーというロボットは、元々テレビゲーム「スーパーロボット大戦F完結編」で初登場したスーパーロボット…つまりは「マジンガー」という名を持ちながら、実際はゲームオリジナルロボットだったのである。彼の登場についてはココのサイトを覗いているような人には説明無用だとは思うが、念の為説明しておこう。

このマジンカイザーの登場の一番の理由というのは、マジンガーZのゲーム上での立場が一番の理由であろう。マジンガーZはゲーム上では必ずといっていいほど序盤から登場するユニットであり、ジェットスクランダー等のパワーアップイベントがあるにしろ、徐々に弱体化していく傾向にあるユニットなのだ。
しかしゲッターロボのように新型への乗り換えは剣鉄也の乗るグレートマジンガーの存在によって使えない…その為甲児君をラストまで使うには、鉄也をグレートから引き摺り下ろすか莫大な金と愛情を持ってコツコツとマジンガーZを改造していくしかないのだ。

そんな所に現れたのがマジンカイザーである。このロボットは弓教授と早乙女博士の発案で、マジンガーZにゲッター線を浴びせる事によって自己進化させたロボットだ。その性能はマジンガーはおろかグレートすらも凌駕するもので、マジンガーZがゲームが進むにつれどんどん非力な印象が否めなくなる事に歯痒さを感じていたファンの期待に充分答えるものであった。更にこのイベントは「大車輪ロケットパンチ」を追加した「強化型マジンガーZ」と二者択一であり、マジンカイザーに馴染めないファンや、「やっぱり甲児君にはマジンガーZじゃないと…」というファンの意識にも配慮していたのが印象的であった。

そして「α」ではこのマジンカイザーの設定が一新される。コチラではマジンカイザーはマジンガーZのプロトタイプであり、マジンガーやグレートを凌駕するパワーを持っていたものの制御が非常に困難になっており、稼動実験の際に暴走を起こした為光子力研究所の第七格納庫に封印されていた、という設定になっており、OVA版「マジンカイザー」の設定も、どちらかといえばコチラに近く設定されている。

さて、そういった経緯で「スパロボ」から生まれた「マジンカイザー」ではあるのだが、テレビ版の「マジンガーZ」を知っている世代へのウケはかなり悪いようだ。まぁ…こういう部分も「スパロボから派生」という作品らしいといえばらしいのだが…。

模型誌やらホビー誌にて、右腕で左手を支えたような姿でロケットパンチを放とうとするマジンガーZのフィギュアを見たことがないだろうか?中々にパワフルで躍動感のあるポーズではあるのだが、聞く所によるとテレビ版「マジンガーZ」にはこういったスタイルでロケットパンチを発射した事は1度も無いのだという。テレビ版では大抵仁王立ちのままロケットパンチを発射しており、その点についてこのスタイルに違和感を感じるファンは結構多いと聞く。

確かにこの「右腕で左手を支えたような姿でロケットパンチを放とうとするマジンガーZ」の絵は「スパロボ」関連の本やら何やらで見かけることが多いのだが、別に造型師がその絵を見てこのポーズを選んだ訳ではないだろう。このポーズ、初出は私の記憶が確かならば速水氏の固定フィギュアだと思うのだが、コレは立体物としてより見栄えの良いポーズ、より戦闘ロボットらしい躍動感を演出する為にこういったポーズになっただけで、それを「スパロボ世代の悪影響」だの「作品を曲解」というのは完全にお門違いだろう。

しかし、この「スパロボ世代の悪影響」だの「作品を曲解」といったものは今回紹介するOVA版「マジンカイザー」にも大きく影を落している。例えば「兜甲児というよりジャッキーが声を当てているみたい」とか、「甲児とあしゅら男爵の声が昔と同じだけ」という酷評にも繋がっている訳だ。しかし、テレビ版放映から30年も経っている作品のリメイクが30年前と同じ形で作られる筈も無い訳で、こういった「スパロボ世代はライブで見た世代をリスペクトしろ」的な意見には正直私は反吐が出る思いがする。

確かに映像作品はその当時の世情を背景とする場合が多々あり、ライブで見ていないと理解出来ないネタが封入されているのは事実だ。しかし昔の作品を今の人間が見てはいけないなんて事はないし、大いにその世代なりの意見、感想を言って良いと思う。映像作品は誰のものでもないのだ。

しかし、そういったものは作品の傾向にも反映されてしまっているのも事実だ。特にこの「マジンカイザー」のような過去の作品をネタにしたもの…それは何もロボットアニメに限らないのだが、この手の作品はどうも…ノスタルジィの押し売りとでもいうのか、なんとも押しつけがましい懐古主義がある。しかもそれが本来そういったノスタルジックなものに浸れるライブ視聴世代ではなく、そこから数年ズレた世代に向けた言わば「バーチャル懐古主義」とでも言うべきものであろうか?そういったものが、ライブ視聴の世代の反発を受けている原因なのだろう。

特にこの「マジンカイザー」は発端からしてゲーム「スーパーロボット大戦」…このゲーム、やっているのは殆ど「ガンダム世代」であり、ゲームにて興味を持って「マジンガーZ」等のビデオを見てみたり、もしくは小さい頃に再放送でそういった作品に触れた世代…そういった世代のファンに向けて作られているのがこの「マジンカイザー」やら「真!!ゲッターロボ」といった作品である。コレは何も旧作の名前を借りた作品だけに留まらず、「アベノ橋魔法商店街」やら「ビッグオー」等の新作タイトルもこういった傾向だといえる。ノスタルジックな昔見たような匂いがあるにも関わらず、その本質はかなり違うモノ…だからこそライブ視聴の世代はなまじ元ネタを知っていたりするので何処かで引っ掛かってしまうのだろう。

もっとも私は別にこういった手法を嫌っている訳でもないし、そういった「バーチャル懐古主義」的なネタを扱った作品群の中にだって好きな作品はある。ただこの場を借りて一言だけ言いたい。

そんなネタ、少なくともネタとしての面白さに固執しているだけならそんなものいつまでも通用するものじゃあないんじゃない?

おっと、OVA版「マジンカイザー」について殆ど触れなかったのでココで補填を。
まぁ、この「マジンカイザー」も「バーチャル懐古主義」の匂いが漂う作品ではあるのだが、ストーリーの方はお世辞にもスジが通っているとは言い難く、どちらかと言えば刹那的なネタをつぎはぎしている印象がある。その為急にシリアスな展開に変貌していく後半に違和感が強い気がする。
ただメカアクションに関しては中々で、派手なエフェクトと力技の作画で何にも考えないでいいロボットプロレスとすれば結構楽しめると思う。ただ、同じくダイナック作品の「ハレンチ学園」辺りへのオマージュなのか、さやかさんのコスプレやらグラマー双子の際どい水着、シャワーシーンで男側の腕が女側の胸を揉みしだいているあしゅら男爵等、ソッチ方面の演出がやたら多いので、そういうネタが嫌いな人はダメかも知れない。

…ビューナスAの乳まで揺らさなくても…。


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