君がもし…ある日突然人間以上の力を持ったとしたら…

劇場版マジンガーシリーズ
マジンガーZ対デビルマン


1973年 劇場公開作品 東映動画
声の出演:石丸博也、田中亮一、富田耕生、小林清志、大竹宏、他

簡単解説
襲い来る2体の機械獣をマジンガーZで撃破した兜甲児の前に、突如妖鳥シレーヌが現われた。デーモン一族の復活を感知した不動明=デビルマンがこれを迎え撃つ。一方、デーモン一族の存在を知ったDrヘルは、ザンニン以下のデーモン族を催眠光線にて操り、打倒マジンガー、及びデビルマンを企む。

マジンガーZ対暗黒大将軍

1974年 劇場公開作品 東映動画
声の出演:石丸博也、田中亮一、野田圭一、松島みのり、大竹宏、他

簡単解説
この世の終わりが来る…幻の如く現われ消えた預言者の言葉通り、世界各地の大都市が正体不明の敵に襲撃された。残る日本の首都東京、マジンガーZは押し寄せる怪物達の群れを迎え撃つが、圧倒的な力を持つ敵の攻撃の前に、傷ついていく…その正体は兜十蔵博士も予見していたミケーネ帝国の戦闘獣、暗黒大将軍率いる七つの軍団であった。戦闘獣の猛攻に成す術なしのマジンガーZの前に、天空より「偉大な魔神」が光臨する!!

グレートマジンガー対ゲッターロボ

1975年 劇場公開作品 東映動画
声の出演:野田圭一、神谷明、山田俊司、西尾徳、中谷ゆみ、他

簡単解説
ある日、宇宙から一機の円盤が飛来した。これをキャッチした早乙女研究所からゲッターチームが、科学要塞研究所からはグレートマジンガーが出動。円盤と、金属を食べて成長していく宇宙怪獣「ギルギルガン」に立ち向かう。

グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大決戦

1975年 劇場公開作品 東映動画
声の出演:野田圭一、神谷明、山田俊司、西尾徳、中谷ゆみ、他

簡単解説
突如現われた謎の宇宙船の攻撃を受けて、早乙女研究所は損壊。ベアー号とムサシを失う。謎の宇宙船と彼等が放った光波獣「ピグドロン」を倒すべく出撃したグレートマジンガーは、追って駆けつけた新ゲツターロボ「ゲッターロボGと共に、未知なる敵に戦いを挑む。果たして、彼等はムサシの仇を討てるのか?

UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー

1976年 劇場公開作品 東映動画
声の出演:富田敬、石丸博也、川島千代子、富田耕生、柴田秀勝、他

簡単解説
ベガ星連合軍のバレンドス親衛隊長が地球に来訪。バレンドスは単身立ち向かってきた兜甲児を捕らえ、彼を脳波探知機にかける。「ダブルマジンガー」の存在を知ったバレンドスは博物館よりグレートマジンガーを強奪。これに乗り込みグレンダイザーに挑戦してきた!!


グレンダイザー ゲッターロボG グレートマジンガー 決戦!大海獣


1976年 劇場公開作品 東映動画
声の出演:富田敬、石丸博也、野田圭一、神谷明、山田俊司、他

簡単解説
突如日本海沖に現われた謎の大海獣。それは太古に死滅した筈の恐竜「ドラゴノサウルス」だった。暴れまわる大海獣に対抗すべく、グレンダイザー、グレートマジンガー、ゲッターロボGが集結!!大海獣殲滅作戦が幕を開けた。


巨大ロボット物というジャンルを大々的に立ち上げた作品、それこそが「マジンガーZ」という作品である。つまり、「エヴァ」だの「ガンダム」のファンには「古臭い」「リアルじゃない」「所詮子供向け」「玩具のCM」「底が浅い」等と散々に言われてしまう事もあるこの「マジンガーZ」だが、この作品の成功が無かったら、「ガンダム」も「エヴァ」も無かったかも知れない作品なのだ。

いや、ただ巨大なロボットが登場するだけの作品なら「マジンガー」以前にも、手塚治虫の「鉄腕アトム」や、横山光輝の「鉄人28号」「ジャイアントロボ」等、それなりに存在していた。そして、「マジンガーZ」のテレビシリーズ放映時は「ウルトラマン」「仮面ライダー」から始る特撮ヒーロー物が人気を集め、アニメーションにおいても「ガッチャマン」や「デビルマン」が人気を集めていた。どの作品も非常にバラエティに富んだ展開を見せ、作品としての質や完成度に関して言えば、別段「マジンガー」だけが突出していた訳ではないと言える。そんな中でヒットを飛ばし、今なお受け継がれる「ロボットアニメ」というジャンルを新規に成立させた本作はやはり偉大な作品だと言わざるを得ないだろう。

また、ヒットの要因を「超合金」や「ジャンボマシンダー」といったキャラクターグッズがヒットしたからだ、と答える人もいるだろうが、実は「マジンガーZ」の場合、こういったキャラクター商品が企画、発売されたのは放映が開始されて一年以上経ってから…つまり、先ず作品の人気があっての商品化であり、以降のロボットアニメとは異なり、スポンサーサイドの意図するマーチャンダイジングはその人気の後を追っていく形で展開しているのだ。決してヒットの要因が玩具の人気に負うものでない。玩具が売れたから「マジンガーZ」が成功したのではない。「マジンガーZ」が成功したからこそ、後のロボット玩具という市場が確立されたのだ。この部分、昨今の玩具先行型の企画にはもう一度噛みしめて貰いたい事例だ。

では、「マジンガーZ」のどこが斬新であったか、と言われれば答えは只一つ、「人が搭乗し、操縦する」という点である。この一点こそが、「マジンガーZ」を今尚語り継がれる名作としているキーポイントなのだ。悪魔を思わせる黒いボディ、血のように赤い胸部の放熱板、瞳のない無機質な目、自らの牙を覆い隠しているようなバイザー…どちらかといえば悪役的なデザインが成されているマジンガーではあるが、その中でも特に目を引くのがホバーパイルダーを収納していない状態のカラッポの頭部である。

実は小池御大が作詞している挿入歌「Zのテーマ」にこんな一節がある。

♪人の〜頭脳を〜加えた時〜に〜

そう、「人が乗り込んで操縦する」というコンセプトこそ、「マジンガーZ」を革命的と呼ぶに値する最大のポイントなのだ。「鉄人28号」にしろ「ジャイアントロボ」にしろ、はたまた「マグマ大使」にしろ、ロボットに命令、もしくはお願いをして戦ってもらうものであった。そういった点では「月光仮面」や「黄金バット」と大差はない。何処となく他の誰かに助けてもらう他力本願的な部分が残っている。子供ならずとも、人間…特に男の子という生き物は、「強さへの憧れ」という物を誰しもが少なからず持っている。精神的なものであったり、肉体的なものであったりと、人によってその強さのイメージは十人十色ではあるが、この部分が「ジャイアントロボ」や「マグマ大使」では完全には解消されない。逆に、何処か他力本願な為「強いのは自分ではなくてアイツなんだ」という負い目、歯がゆさが残ってしまう。その歯がゆさを見事に解消してくれたのが、「マジンガーZ」なのだ。

君がもし…ある日突然人間以上の力を持ったとしたら…

これは「マジンガーZ」の原作の冒頭で、兜甲児が我々に語りかけて来る言葉だ。この言葉こそが「マジンガーZ」というものの全てを表現している。つまり、「マジンガーZ」という作品の真髄は超人への変身なのだ。

「ウルトラマン」のハヤタは、その肉体を死に至らしめない為にウルトラマンが乗り移ったものだ。「仮面ライダー」の本郷猛や一文字隼人は、ショッカーの改造手術をうけた改造人間である。マジンガーに乗り込むだけで、こういったある意味人間としての自分を捨てることなく、また、なんの資格、才能、修行といった面倒なしに、巨大なボディと絶対的なパワーを得ることが出来る。これこそが「マジンガーZ」最大の魅力だったのだ。

「操縦」というコンセプトが新しい「変身」であるならば、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、そして「ガッチャマン」や「デビルマン」といった変身ヒーロー全盛期に「マジンガーZ」が誕生したのは自然な事なのかもしれない。しかし、同じく「操縦」というコンセプトを用いた特撮作品「ジャンボーグA」とは異なり、マジンガーZは自身がメカニックであることを強烈にアピールしてくる。

そして使用する必殺技も、敵をぶち抜く「ロケットパンチ」、胸部の放熱板から3万℃の熱線を照射する「ブレストファイアー」、強力な酸を含んだ烈風で敵をボロボロにする「ルストハリケーン」等、科学的(飽くまでフィクションとして、だが)な魅力、メカっぽさに溢れている。エンディングでのマジンガーの透視図も、そういったメカをメカらしく見せる為の演出の一端であろう。

さらに言えば「機動戦士ガンダム」以降、よく「マジンガーZ」のような古い作品をバカにするネタとして使われる「必殺技の名前を叫ぶ主人公」。しかしコレ、実の所「マジンガーZ」も甲児がマジンガーの操縦に不慣れだった序盤は武器の名を使用時に叫んではいなかったのだ。しかし、必殺技の名前を叫ばせるようにしたのは、技を作中でより印象的にするための演出ではなかろうか。同じ場所から放出されるのに、ルストハリケーンは記憶に残っても、同じ場所から発射する消火剤は記憶に残らない。それは技に名称が設定されていない為なのだ。この「必殺技の名前を絶叫」があってこそ、マジンガーZの武装は我々の心に強く印象つけられるのだ。

さて、本題の「劇場版マジンガー」について語ろう。この劇場版シリーズは、いわゆる「東映まんがまつり」の一作品として作られている。そこでは違うシリーズの主役達との共闘、と言った、ファンなら誰でも期待してしまう魅力的な「もし」が構築されている。しかし、後年の同じく東映まんがまつり参加作品「ドラゴンボール」等とは異なり、完全なパラレルワールドを展開する訳ではないのだ。

例えば記念すべき第一作「マジンガー対デビルマン」では大空羽ばたく紅の翼「ジェットスクランダー」の初お披露目となっている。この映画以前から、度々空を飛ぶ機械獣にマジンガーが苦戦するエピソードが伏線として丁寧に描かれている。そのテレビシリーズでの伏線があったからこそ、クライマックスで遂に大空を飛ぶマジンガーに強烈なカタルシスが生まれる。しかも、それがデビルマンとの共闘というオマケつきで、だ。このエンターティメント性といっとたら他ではそう簡単には味わえない。ただ、テレビアニメ版との兼ね合いで一応コチラは「パラレル」という扱いになっており、本来の物語としてはあくまでテレビアニメ版が正式なのだそうだが、漫画作品の「桜多版マジンガーシリーズ」ではこのエピソードが正式採用され、違和感なくおさまっている。

続く「マジンガー対暗黒大将軍」では、「マジンガーZ」の放映開始直後から物議がなされていた「実験中に死んだとされる甲児の父、兜剣蔵博士は本当に死んだのか?」「機械獣の原型であるバードス島の古代ミケーネ人は何処へ消えたのか?」という謎に対して遂に答えが出される。

物語後半から登場したゴーゴン大公は実はミケーネの諜報部員であり、彼の手引きによりミケーネの地上侵攻が始る。機械獣の数倍のパワーを誇るミケーネの戦闘獣は、無敵を誇ったマジンガーの強靭な装甲をいとも容易く貫き、砕き、溶かす…今までテレビシリーズで「超合金Z」の強靭さが強調されていたからこそ生きるこの演出、その恐怖と驚愕といったら堪らないものがある。

無敵の超合金Zが通用しない相手を前に、初めて死を覚悟する兜甲児…そこに颯爽と現われるグレートマジンガー!!よく言われる「燃える展開」とは、正にこの時に使う為に生まれた言葉であろう。それほどこのグレートマジンガー登場のカタルシスは半端なものではないのだ!!以降、番組中盤での2号ロボへの乗り換えはロボットアニメでの「お約束」となっていくことになるが、この「マジンガーZ対暗黒大将軍」ほどの長い伏線と、それによる衝撃を味わえる作品はそうはない。それほど、この作品の完成度は高いのだ。

そして続く各作品群、「グレート対ゲッター」「グレート対ゲッターG」「決戦!大海獣」は、他のダイナミックプロ作品との競演というネタをベースに、それぞれが面白いエピソードを盛り込んでいる正に「まんがまつり」のエンターティメントである。

更に、それぞれの作品の敵メカ達も個性派揃いである。各作品に登場する「宇宙怪獣ギルギルガン」「光波獣ピグドロン」「ドラゴノサウルス」は、ゲームソフト「スーパーロボット大戦」シリーズでもほぼレギュラーとしてプレイヤーの前に立ち塞がることになる。それほど、敵の強大さ、強さが明確になっているのだ。

もっとも、敵が「マジンガーZ」「ゲッターロボ」「グレンダイザー」に登場するロボットと対等以上に渡り合えないと作品の魅力を半減させてしまう。だからこそその魅力、強大さは当然の如く強烈にアピールさせなくてはならない。しかし、昨今のアニメにはそんな当たり前の演出すらしない、やれない作品が非常に多いように思える。CGなどの映像技術は発展したものの、逆に映像の魅せ方については逆に退化してしまったように思えてしまう。アニメーションは、見せれば良いと言う物ではない。視聴者に魅せなくてはならないのだ。そのアニメーション…ロボットアニメとしての原点が、この「劇場版マジンガーシリーズ」にはあるのだ。

そう言えば、劇場版マジンガーに登場する作品には明確な時間軸が存在しない。当然「グレンダイザー」は原作通りマジンガーの後であるし、「デビルマン」はマジンガー以前に活躍していた様に描写されている。しかし、その設定は作品同士の共闘というネタを阻害しない程度の範囲にて設定されている。

リアルロボット系の作品、しかもシリーズ展開するものは明確な時間軸が与えられており、それがリアリティを打ち出す一端になっている。しかし、「仮面ライダー」や「ウルトラマン」のように主人公同士の共闘を行うには、作品を束縛する時間軸など設けない方が面白いであろう。常に新しく歴史を更新していくならともかく、旧作の外伝といった展開に派生すると、どうしても苦しいアトヅケ設定で誤魔化す必要が出て来る訳で、その設定変更は旧作のファンに決して良い印象は与えないものだ。

永井豪先生以下のダイナミックプロは、この当りを「マンガなんだから」という割り切りをして作品に臨んでいる。だからこそ、ファンにとっては夢のような「共闘」を実現出来たのだろう。恐らく、「ドロロンえん魔くん」や「キューティハニー」と「マジンガーZ」を共闘させろと言う無理難題でも、なんとかしてしまうのではないかと思ってしまう。小難しい設定に走らず、自由度が高く度量の大きい作品を作るダイナミックプロは、素直に凄いと思ってしまう。

ちなみに、「○○対○○」というタイトルの割に、主役ロボット同士のガチンコバトルというのが見られる作品は「グレンダイザー対グレートマジンガー」のみである。もっとも、グレンダイザーと戦うグレートに乗っていたのはバレンドスであったし、共闘の際でもグレートを操ったのは剣鉄也ではなく兜甲児であった。もっと言えば、最近のスパロボで当たり前のようにある合体攻撃「ファイナルダイナミックスペシャル」であるが、コレをよく「決戦!大海獣」での戦闘をモチーフに…と思い込んでしまっている人もいるかと思うが、実の所「決戦!大海獣」でドラゴノザウルスの決戦にはマジンガーZは参加しておらず、甲児君は「グレンダイザー」出典で登場しダブルスペイザーに搭乗している。そもそも、「グレンダイザー」で甲児君がレギュラーになっている為に勘違いされ易いのだが、実はアニメ作品内でグレンダイザーとマジンガーZが共闘した事が無かったりする。

まぁ、ファンとしてはヤボなツッコミをするより、純粋に祭りを楽しんだ方がお得であろう。


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