ロボットアニメ史上最も変な主人公

マクロス7

1994年 全52話 ビックウエスト制作 毎日放送・TBS系放映
声の出演:林延年、櫻井智、子安武人、菅原正志、高乃麗、他

簡単解説
AD2045年、地球人類が宇宙へ移民を開始して既に数十年が経過していた。7年前に地球を出発し、銀河の中心に向けて航海を続ける長距離移民船団「マクロス7」は突如謎の敵と遭遇する。それは、マクロス7の艦長マックスの娘・ミレーヌを迎えたロックバンド「ファイヤーボンバー」のデビューコンサートの日であった。非常警報が鳴り響く中歌い出す熱気バサラ…彼は何の為に歌うのか!?
「俺の歌を聞けぇ〜!!」


今までOVAの「ラヴァーズアゲイン」といった作品はともかく、その人気とファンの期待に反してテレビシリーズでは続編が作られなかった「超時空要塞マクロス」の続編である。これは同時期にリリースが開始された「マクロスプラス」と共に、「超時空要塞マクロス」を知るアニメファン達の中で大きな反響を呼んだ。

シリーズとしては「マクロス」→「マクロスプラス」→「マクロス7」という流れになっており、本作と「超時空要塞マクロス」との繋がりは本作の舞台である移民船団マクロス7の艦長がマクシミリアン・ジーナスで、彼の奥さんのミリアもシティ7の市長として登場する点等に見られる。そして物語のヒロイン・ミレーヌは彼等の末娘であったりと旧作のファンを引き付ける設定が成されており、同時期リリースの「マクロスプラス」とはマクロスプラスにて試作競合されたYF−19の正式採用機であるVF−19をカスタマイズした機体にバサラが乗る等、こちらでも関連性をアピールしている。

ちなみに最初っから余談になってしまうのだが、このミレーヌの声を当てた櫻井智は伝説のアニメ(ある意味で、ね)「くりいむレモン」シリーズのフェアリーダストが制作していた深夜アニメ「レモンエンジェル」に登場する女子高生キャラクターのモデルとして、アニメのタイトルと同名のアイドルグループを結成して活躍していた。(当時は苗字が桜井だった)バーチャルアイドルの走り、と言った所であろうか。

もっともこの「レモンエンジェル」というアニメはいわゆる「エロアニメ」だったのだが、彼女等が「アニメ声優がアイドルみたいに歌を歌う」という戦略の走りである事には間違いが無いだろう。ふう…やれやれだぜ。(承太郎風に)

それは一先ず置いておくとして、本作が「マクロス」の復活としてかつてのファンに大絶賛されたか?というとそうとは言えない。むしろかつてのファンからは総スカンを食らったと言ってしまってもいいかも知れない。中にはコアなガ○ダムファン(伏字はワザとやってます)と同様に「俺は7をマクロスとは認めない」なんて言っている連中もいるぐらいである。そしてその原因こそが、本作の主人公「熱気バサラ」の存在であろう。

本作の主人公「熱気バサラ」は、「ロボットアニメ史上で最も変な主人公」と言っても過言ではないだろう。もちろんOVA等の作品を含めるとそうは言いきれない部分も出るのかも知れないが、とにかくテレビシリーズとしてここまで変な主人公であったのは、やはりバサラが一番であろう。
もちろん彼はロックバンド「ファイヤーボンバー」のボーカルなので歌を歌う。そして、「マクロス」の主人公なのでバルキリーにも乗る。しかしこの男の変な所は、バルキリーに乗ってまで歌を歌い、歌で戦うという点である。

「俺の歌を聞けぇ〜!!」
と叫びつつ、バローダ軍と味方が戦う戦場にVF−19のカスタム機「ファイヤーバルキリー」にて乱入。敵にミサイルを浴びせる代わり自分の歌を聞かせる…

ね、変でしょ?
そして彼の駆るファイヤーバルキリーも今までのバルキリーの常識を覆す変な機体なのである。何とこの機体は基本的に非武装で、ガンポッドの替わりにスピーカーを打ち込み、強制的に歌を聞かせる「ジャイアンリサイタル」な「スピーカーポッド」なる銃を装備している。更に操縦桿の替わりにギターがついているわ、フェイスカバーを開けると口までついているという凝り様…確かにコレじゃあコテコテのバルキリーファンには嫌われてしまうかも知れない。

思えば「マクロス7」を否定するファンの常套句も、「戦場にバサラみたいなのがいたらジャマだ。」という意見であったし、「もし戦場に俺がいたら、俺がバサラを撃ち落してやる!!」なんて豪語していた御仁もいらっしゃいました。確かに「板野サーカス」という言葉を生んだ事でも分かるように、「超時空要塞マクロス」はその戦闘シーンの演出が光る作品であったのだが、本作では主人公が戦わない為その印象が全然感じられないのである。バサラ登場の前座として、ガムリン達ダイヤモンドフォースの面々がそれなりのアクションシーンを見せてくれるのだが、それもあまり効果的に働いておらず、ひたすら敵機にVF−11がバカスカ落とされている印象しか残らないのだ。もっとも、このシーンが作中しつこいまでに使いまわしされていた為でもあるのだが…。

一方で、劇中でバサラ達の歌う挿入歌は人気を博し、「アニメを見ていないけど歌は好き」等と語るファンも多かった。
ちなみに、初代「マクロス」では人類を救うスーパーアイドル(スゴイ肩書きだ)リン・ミンメイ役に、実際のアイドル歌手であった飯島真里を起用して話題を呼んだが、そのヘタクソな演技まで話題を呼んでしまった。それを踏まえてか本作ではファイヤーボンバーの面々にそれぞれ「ドラマ担当」と「歌担当」の2人を当て、それぞれをそれぞれのプロに任せている。つまり、歌はプロ歌手が歌っていて、ドラマも本職の声優が演じているのだ。
しかし一方で「歌のミンメイ、バルキリーの輝」という分業が、本作ではバサラ1人が担当する事になる。ココが、本作の戦闘演出のダメさ加減を生んだのではないだろうか?

そもそも、この物語であれば何もバルキリーが出て来る必要は無い。「アイドル伝説えり子」とか「クリーミィマミ」みたいな形でも充分物語が作れてしまうワケだ。この辺も本作が嫌われる原因であろう。歌の持つ力を信じ、いつでも真正面から歌い続けるバサラ…そんな彼の一途な性格が理解出来ない私のような人間から見ると、その印象はことさら強い。「マジンガーZ」の登場以来、「30分オモチャCM」等と揶揄されて来たロボットアニメは、この「マクロス7」という作品では「30分歌CM」となったのである。

この事を踏まえれば、本作「マクロス7」の評価はバサラが好きになれるかどうか…更に突き詰めて言えば「ファイヤーボンバー」の歌が好きになれるかというモノで決まってしまう事が分かると思う。逆に言えば熱気バサラというキャラクターこそが本作の核であり、スタッフの描きたかったものなのであろう。そういった点から見れば、「アイアンリーガー」と言った他のアミノテツロー監督作品と同様に、この作品も「何がやりたいか」と言うモノが明確になっており、終始一貫している作品であったと言える。もっとも、その方向が正しいかどうかは別問題なのだが。

しかし、ドクター千葉のミンメイ狂いや「花束の少女」といったオタク的二次要素の強い作品であることも事実であるし、その割にドクター千葉のオーディションにより選考された統合軍の切り札アイドルユニット「ジャミングバーズ」など登場する意味があったのかさえも疑問である。

彼女等は作中では「パイロットと一緒にバルキリーに乗り込み、戦闘宙域で歌を歌う事で敵の戦意を奪う切り札」というふれこみで登場するが、泣き叫んでばかりで大した活躍はしていない。ミサイル飛び交う戦場の死と隣り合わせの重圧で歌えない彼女達を、彼女達を乗せて飛ぶバルキリーのパイロットが励まし、彼女等がそれに答えて歌を歌うなんて展開もあったが、それによって何が変わったワケでもないのが惜しい。
更に、こんな風に作中で生殺しにしただけでなく、バサラ達ファイヤーボンバーの曲が次々とCDがリリースしたのに対し、彼女等の曲は逆に一曲もリリースされていない事もこの生殺しに拍車をかける。どうせオタク狙いをするなら彼女達「ジャミングバーズ」も劇中で活躍させ、歌もリリースして商売した方が儲かるんじゃないかと思うんだが…。本作の人気に乗じて作られたドラマCDでは、劇中でオタク達に人気があった「花束の少女」を主役に抜擢する程あざとい商売をやっている割に、ムダにキャラクターを殺してしまったなぁ…等と思う。

そういえば女の子が戦闘機に乗って戦うってシチュエーションは「青空少女隊」なんてのがあったな…確かキャラクターデザインが「アンドロイドアナMAICO2010」の人だったっけ。深夜に声優がパーソナリティの番組が多いニッポン放送とタイアップしてたしょーもないアニメでさ…。
それと今は無きSNKのシューティングゲーム「ソニックウイングス」ってゲームに「真尾まお」ってキャラクターがいて、確か「1日自衛官」のアイドルが戦闘機に乗って戦うって話だったな。金龍大佐と三角関係が噂されていた管制官の「美保美穂」はコレが元ネタか?
…って、なんでこんなネタを知っているんだ?私は。(苦笑)

とりあえず、金龍大佐の最後のセリフが「お前にラブハート」って、そりゃないでしょ。(苦笑)
でも、金龍大佐をフォッカーに置き変えると、ガムリンが輝で途中で戦死するのが柿崎とすれば、ダイヤモンドフォースってスカル小隊そのものなんだよね。ガムリンがアイドル(ミレーヌは厳密にはアイドルではないが)に夢中になってしまう点もそうであるし…。


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