ロボットと生物の融合

スカルキラー邪鬼王

漫画 全1巻(双葉社)石川賢 作

簡単解説
日本の理工学の権威、島本平八郎博士の研究所にて「S・O・C(セルフ・オーガナイズ・チップ)」が開発され、博士は産業スパイに狙われる。しかしその産業スパイは人間ではなかった。それと時を同じくして海底から「ムー帝国」が浮上し、日本を取り戻そうと攻撃を開始する。その尖兵を打ち破ったのは、島本博士がS・O・Cを用いて開発したグロテスクなロボットだった。


石川賢先生の作品の中で、「邪鬼王」という名前のついた作品は3つあるらしいのだが、先生によると「語呂が好きなだけで特に意味はない」ということである。この作品の「スカルキラー」というのも「編集者が勝手に付けただけ」の意味の無いものらしい。

しかし、この作品自体は決して意味の無いものではない。この作品は、当初「少年キャプテン」が石川先生に「是非新作のゲッターロボを!!」ということでお願いした作品である。しかし、先生自身は「いまさらゲッターロボでもないだろう」という考えで、ダイナミックプロの方も「テレビアニメ化の話でもあれば…」と難色を示していたらしい。

しかし石川先生にはもう一度ロボット作品に真面目に取り組みたいとも考えており、そうして登場したのがこの「スカルキラー邪鬼王」である。この「邪鬼王」はこれまでのロボット作品のように、「博士」や「軍」といったものが作り上げるのではなく、自分自身で体を作り上げ、さまざまな物を取り込んで「増殖、吸収」そして「進化」をしていく。この「増殖、吸収」や「進化」というテーマは石川先生の作品に多く見られるもので、いわば先生の「ライフワーク」と言えるかも知れない。

さて、本題に入ろう。この「邪鬼王」ではロボット漫画では珍しく、主人公の日常生活がリアルに描かれている。「島本博士と奥さん」、「邪鬼王」を操る博士の息子「瞬」と妹「チィ子」、そして愛犬の「ジャッキ(邪鬼王)」という構成でホームドラマが繰り広げられる。そして邪鬼王の立場も、飼い主に忠実な「愛犬」という位置付けなのである。しかしそのキャラクターは石川ワールドの住人だけあってかなり濃い。

その風貌や行動パターンから格闘ゲーム「鉄拳」のキャラクター「三島平八」を連想させる「島本博士」や、暴れん坊の主人公「瞬」、そして、おっとりした物腰の「奥さん」(彼女の天然っぷりは特筆モノである)というアクの強い家族である。そして主役ロボットの「邪鬼王」も、徹底してグロテスクに、醜悪に描かれている。それに対し、敵側の「ムー帝国」はいかにも「少年マンガの悪役」的に描かれている。そもそもこの「ムー帝国」の設定は邪鬼王のグロテスクさ、いわば「醜」に対し、もっと「美」を意識したものにする予定だったらしいのだが、編集者の意向で普通の敵役に収まってしまっている。その点は少し残念な気がする。

この作品、実は完結しておらず途中打ち切りになっている。しかし戦闘の描写はやはり凄まじく、特に「ムー帝国」の街(巨大な魚の背中に乗っている!!)が浮上するシーンは大迫力である。それだけにきちんとした結末が見たかったと思うのは私だけであろうか。先生によると、「書いてみないと分からない」ということである。なんとも潔いというか、あっさりしているというか…。


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