メディアミックス展開の先駆け?

覇王大系リューナイト

1994年 全52話 サンライズ テレビ東京系放送
声の出演:結城比呂、矢島晶子、折笠愛、小杉十郎太、西村智博、他

簡単解説
世界の中心に巨大な剣が突き刺さる異世界「アースティア」。見習い騎士の「アデユー・ウォルサム」は修行の為愛用しているリュー「ゼファー」と共に世界を旅していた。彼は度の途中で出会ったお姫様「パッフィー」、忍者「サルトビ」、神官「イズミ」と仲間になり、多くの人々の出会いで少しずつ成長していく。


剣と魔法の異世界を舞台としたロボットアニメの元祖といえば、やはり富野由悠季監督が1983年に世に送り出した「聖戦士ダンバイン」である。「ダンバイン」は敵が異世界の住人という既存の設定ではなく、物語の舞台そのものがファンタジー世界という画期的な設定を持つ作品であった。しかしファンタジー世界を舞台とした「ダンバイン」も後半は物語の舞台が異世界バイストンウェルではなく地上なっている。続く高橋良輔監督の「機甲界ガリアン」も同じくファンタジー世界を舞台としているが、後半では突如SF的な展開を見せた。この2作品を見れば分かるとおり、80年代前半はまだまだロボットアニメ界でファンタジー世界は一般的にはあまり浸透していなかったのである。

しかし80年代の末、ファンタジー世界を世間一般に知らしめるモノが発売される。そう、超人気ゲームソフト「ドラゴンクエストシリーズ」である。この「ドラクエ」を始めとするRPG(ロールプレイングゲーム)は爆発的な人気を呼び、剣と魔法の異世界は一気に世間に浸透していくのである。このRPGのヒットはリアルロボット衰退によって低迷していたロボットアニメにも新しい流れを生み出した。それが「魔神英雄伝ワタル」から始まるRPG的なエッセンスを取り入れた異世界を舞台とする作品である。今回紹介する「覇王大系リューナイト」もこの新たな流れのロボットアニメ作品の一つであるのだ。

この流れを生み出した「魔神英雄伝ワタル」がそうであったように、この「リューナイト」もキャラクターとメカニックの融合、つまりは一体感を重要視した設定を持っている。この「リューナイト」の世界で活躍するロボット「リュー」は5m前後というロボットアニメ作品ではかなり小柄な設定が成されている。ガンダム&マジンガーZが18m、コン・バトラーは♪身長〜57m〜、ダイターン3やアイアンギアに至っては100m超と軒並みヘヴィー級が並ぶ中でもかなり小さいと言える。そんな小さなロボットに人が乗るのだから当然胴体部が巨大なSD体型になっている。

そしてこの「リュー」は搭乗者に合わせて様々なクラスが存在している。例えば主人公アデューの乗る「ゼファー」は騎士型の「リューナイト」、魔導師の能力を持つヒロイン・パッフィーは魔導師型の「リューメイジ」、忍者サルトビの乗るリュー「爆裂丸」は忍者型の「リューニンジャ」といった具合に、搭乗者の特性がロボットの特性に直結しているのだ。

更にそれぞれのクラスは使用する武器や攻撃方法、そのデザインにより違いが一目瞭然なのだ。この設定はここ「大惨事」の「ワタル」の項でも述べたように「僕のロボット」的な感覚を視聴者に与えてくれるのである。更に操縦方法も「ジャンボーグA」や「闘将ダイモス」的なもので、(この操縦席、ロボットの大きさにしてはかなり広い)アデューが剣を構えればゼファーも剣を構え、アデューが剣を振ればゼファーも剣を振るのである。

この操縦者の動きにシンクロするシステムという設定はありがちではあるものの、ロボットと操縦者の一体感を強く感じさせてくれるものである。つまり、リューはロボットと言うよりも「鎧」に近い感覚なのだろう。だからこそ操縦者の属性に合わせた姿形と攻撃方法を持っているのだ。ロボット、特に搭乗式のものは西洋、東洋の甲冑をモチーフしているものが多い。特にスーパーロボットの頭部デザインは日本の飾り兜を連想させられる意匠が施されている。そういった点から見れば、ある意味で「ファンタジーロボットアニメ」であるこの作品も、実は原点回帰的な要素もふんだんに詰まっていると言えるのではないだろうか。

そしてこの作品、ロボットを呼び出すシーンが非常に斬新でユニークなのである。アデューのゼファーを始めとするリューは、普段は「ミストロット」と呼ばれるカードの中に封印されている。そしていざ戦闘ではそのミストロットを掲げ、愛機の名前を呼ぶことで召還出来るのだ。このミストロットはシバラク先生の「テレホンカード」、「NG騎士ラムネ&40」の「コイン」、「魔道王グランゾート」の「魔方陣」に並ぶ面白い演出であろう。

そしてサンライズロボット作品の常として、主役メカ「ゼファー」も後半でパワーアップが施される。このパワーアップ方式がまたユニークで、パワーアップは追加パーツや新型機への乗り換えではなく「クラスチェンジ」によって行われるのだ。この設定も当時人気が高かったRPG的要素を上手く取り入れたものと言える。このクラスチェンジは「精霊石」によって行われ、その演出もRPGのそれにかなり近いものである。アデューの叫びと共にゼファーの回りを一回り大きなワイヤーフレームが覆い、光に包まれたゼファーのシルエットがそのフレームに同化する。その光りが消えると新たなリューパラディン・ロードゼファーが現われるのだ。このロードゼファー、色が変わった上に空まで飛べるスグレモノなのだ。この「仮面ライダー」や「宇宙刑事」の変身を思わせるパワーアップ演出は斬新であり、非常にカッコ良い。

この「リューナイト」、後半は邪龍族との決戦に向け仲間が1人、また1人と敵と相打ちになって倒れていくという非常にシリアスで重苦しい展開となる。使命感と喪失感の間で精神的、肉体的にも追い詰められるアデュー…。しかし迎えた邪龍族との最終決戦ではなんと、死んだと思っていた奴は登場するわ、敵だった奴が突如改心して心強い味方となるわでアデューも復活。みんなの力で悪い奴を倒すという絵に描いたようなハッピーエンドを迎えるのだ。ご都合主義と笑わば笑え!!最初から最後までダークな展開を見せる作品も良いが、こういったアニメらしい爽やかな結末を見せてくれる作品だって素晴らしいモノであるし、安心して見ることが出来るのだ。

ちなみにこの「リューナイト」はメディアミックス的なマルチメディア展開をしたことで知られており、基本設定はそのままで物語の展開をアレンジした作品が様々なメディアで発表されている。「コミック版」や「小説」、果てまたOVA「アデューレジェンド」等、どれが自分好みの「リューナイト」か捜してチェックして見るのも一興であろう。更にオマケとしては、この「リューナイト」の原作は「アウトロースター」等で知られる伊東岳彦氏が手掛けている。ファンならチェックしなくてはならないところであろう。


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