答えの出なかった男の苦悩

新機動戦記ガンダムW エンドレスワルツ

1998年 サンライズ制作 OVA 全3巻+劇場公開作品の総集編である「特別編」
声の出演:緑川光、矢島晶子、関俊彦、折笠愛、石野竜三、他

簡単解説
イヴ・ウォーから一年が経過したAC196年12月24日、バートン財団のデキムがトレーズ・クシュリナーダの娘マリーメイアを担ぎ軍を決起。リリーナ・ピースクラフトの提唱した「完全平和主義」によってあらゆる軍事組織が解体されている中、唯一マリーメイア軍に対抗出来るのは統一国家の秘密組織「プリペンダー」と前大戦の英雄である5人のガンダムパイロット達だけであった…。


プレイステーション用ソフトに、「シンプル2000」というシリーズがある。コレは安い金額でそれなりのゲームを提供しているシリーズで、「ガンダムの軍人将棋」や「仮面ライダーのバイクレース」といった人気キャラクターをネタとして使っているものも結構発売されている。

で、先日発売されたシンプル2000の「ザ・バトル」というソフト、コレは2種類あって、それぞれ5〜6年前にスーパーファミコン用ソフトとして発売された格闘ゲーム「機動武闘伝Gガンダム」と「新機動戦記ガンダムW」をプレイステーション用に移植したものなのかな?と思ったら、基本フォーマットは「ザ・バトルマスター」のものを利用した新作なんだそうだ。

いや、良く見て見ると、登場するMS(「G」はMFだが)が「Gガンダム」の方はそのまんまなのだが、「W」の方はなんと!!登場するガンダムが全て「エンドレスワルツ」バージョンになってしまっているだ!!うーむ…力を入れるべきところを間違えているような気がするんだが、気のせいだろうか?

そもそも、「W」にて5体のガンダムをデザインしたのは大河原邦男氏であり、カトキ氏はトールギスだのリーオーだのといったOZ側のモビルスーツのデザインを担当していた。しかしどう言う経緯かは知らないが、後のOVA「エンドレスワルツ」ではガンダム達のデザインが大河原氏からカトキ氏になり、デザイン自体も大幅な変更が成された。コレをバ○ダイやサ○ライズ的には「リファイン」というのかも知れないが、未だに根強くテレビ版の大河原ガンダムを支持しているファンがいる事を考えれば一概に「リファイン」とは言えないだろう。
まぁ…この件に関して言い出したらMGなんかのプラモデルにおける「リファイン」の話にまで発展してしまうのだが…。

この「エンドレスワルツ」におけるガンダムデザインの問題はコレだけでは終わらない。
カトキ氏は、「エンドレスワルツ」に登場するガンダムが改良される以前の姿…要するにデスサイズヘルに対するデスサイズのようなものまで「アーリーモデル」と称してデザインしたのだ。

♪バカね〜バカね〜よせばいい〜のに〜(歌:敏いとうとハッピー&ブルー)

コレによって、テレビ版の大河原氏デザインのガンダム達がいよいよもって「無かった事」になってしまったのだ。なんとも「ウルトラセブン第12話」のような後味の悪さと、「ムネオ疑惑」のようなスッキリしない感が付きまとう。
まぁデザイン自体に関しての物議なら、ファンが好きな方を支持すれば良いだけの話なのだが、このデザインに関して「オフィシャル」という見地から片方を抹消してしまうやり口ってのはどうなんだろう。この一方で、例えばザクなんかはアニメやゲームによってデザインを変更してしまう事に無頓着である。問題のすり替えと言われればそれまでだが、一体ガンダムの「オフィシャル」とやらは何がしたいのだろう?

で、せっかくなので「W」のガンダムデザインについて個人的な意見を挟ませてもらおう。
私はサンドロックとデスサイズヘルに関してはカトキ版を、アルトロンとヘビーアームズに関しては大河原版を支持する。サンドロックに関してはデザイン自体も大きく変わっているが、「防塵マント」という設定が追加されビジュアル的に面白味が生まれたと思うし、デスサイズヘルに関しては、ワケの分からん二枚歯ビーム鎌が無くなっただけでも良いと思う。
それに対してカトキ版アルトロンはドラゴンファングがデカくなりすぎてバランスが悪くなっている気がしてしまい、ヘビーアームズに関してはアーミーナイフのオミットが許せない。特にアーミーナイフに関しては、弾切れ後に敵の攻撃を受けてボロボロになりつつもあのチンケなナイフで一機一機屠っていく姿に悲壮感を感じていた私には許し難いオミットだ。

そして問題のウイングゼロ…テレビのコマーシャルで初めてカトキ版の天使の羽根を纏った姿を見た時、「オオ、スゲェ!!」と唸らされた。でも、結局私はあんまりカトキ版ウイングゼロを好きになるまでにはならなかった。良く言われるメカメカしいガンダムにナマナマしい羽根をつけられても違和感がある、というのではなく、冷静に見ると何となく頭が悪そうな印象があるからなのだ。どーも私は「ka○on」のたい焼き娘といい、「セー○ームーン」といい、羽根がつくとなんとなくバカっぽい印象を受けてしまうのだ。
だからといってウイングの替わりにスラスターポッドがついただけの「翼がないからウイング『ゼロ』」なテレビ版もあんまり好きじゃない…ということでコレに関してはイーブンという事にしておこう。

さて、「エンドレスワルツ」本編であるが、コレはテレビ版の物語の戦後を扱っており、「平和は掴むことより維持する方が難しい」という言葉に対し、「人類全体が平和を望まない限り戦争は繰り返される」という答えを打ち出したものである。利害関係や貧富の差等を考慮すると非常にチープな意見かもしれないが、根本的に突き詰めていけば、結論は実際こんなあやふやなものになってしまうだろう。

そして今回の物語の主役は、ヒイロと五飛の2人なのであろう。相変わらずリリーナのナイト様な行動を見せつける(シチュエーション的に言えば純粋培養のお姫様を慕い、影から守り続ける忍者って感じだが)に対し、戦士としてのプライドを捨てられず、「オレは悪になる」とマリーメイア軍に参加する五飛…この対比である。
手法としてはテレビ版の最終決戦にてトレーズに勝ち逃げされ、結局1人だけ「答え」が出なかった五飛が、答えを出したヒイロや他の3+2人と対峙してようやく答えを掴むというもので、まぁベターな線であろう。5人のガンダムパイロットのキャラクターが少しズレている気がする、という意見も耳にした事があるが、「続編」としてならまぁ堅実な作りと言えるんじゃないかと思う。

しかし、「Wらしいケレン味を強調した」という割に主軸を張るヒイロと五飛…しいてはウイングゼロとアルトロンが意外にも活躍していないという点は気になる。
アルトロンはリーオーを奪って資源衛星に潜入したヒイロに襲いかかり、その後はウイングゼロの大気圏突入の際にジャマをするだけ…当然ゼクスやカトル達の戦いにも手を貸さなかった。ウイングゼロに関してはもっと酷く、大気圏突入の際にアルトロンと数回斬り結んだ後、海底で一休みして最後にツインバスターライフルをマックスパワーで3発放ち、その反動で大破…。

確かに見せ場ではあったのだが、ケレン味とは少し違う気がする。むしろ「W」という作品はメカの派手さも目立つが、やっぱり人間…キャラクターが主であり、売りなのだなぁ…と再認識させられる。

だからこそ、モビルスーツのデザインに関して、わざわざ「どっちが本物」なんて「オフィシャル」が騒ぐような問題じゃない気がしてしまうんだが。(苦笑)


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