ロボットコミックの正に最高峰!!

ゲッターロボサーガ
ゲッターロボ


全3巻(双葉社) 石川賢 作

簡単解説
突如、人類に襲いかかる爬虫人類の恐怖!!かつて「ゲッター線」により地上を追われた帝王ゴール率いる「恐竜帝国」は地上を取り戻さんが為、人類に総攻撃を仕掛ける。ゲッター線研究の第一人者「早乙女博士」は戦闘用合体ロボット「ゲッターロボ」のパイロットを捜すが…。

ゲッターロボG

全2巻(双葉社) 石川賢 作

簡単解説
武蔵という掛替えの無い友の死と引き換えに、恐竜帝国は滅んだ…。しかし戦士に休息は許されない。彼等の前に恐竜帝国との闘いの際、影に回っていたブライ大帝率いる「百鬼帝国」が立ちふさがる。新型「ゲッターG」と新たな仲間「車弁慶」と共に百鬼帝国に立ち向かう「竜馬」「隼人」。人類の命運は彼等に託された!!

ゲッターロボ號

漫画 全5巻(双葉社) 石川賢 作

簡単解説
「我が帝国の礎は完成した!!我が帝国が動かば世界は地鳴りを立てて震え、崩れ去るだろう!!我が帝国が唸れば世界は業火に覆われるだろう!!我が帝国が一度怒れば、地球は微塵に砕けるであろう!!」マッドサイエンティスト「プロフェッサー・ランドウ」は世界に向けて宣戦布告をした。それに対抗すべく神隼人は橘博士と協力し、「新型ゲッターロボ」を開発し、「ネーサー」を組織する。しかし新型ゲッターのパイロット捜しは難航していた。そんな中、隼人は脅威の運動神経を誇る一文字號に目をつける。
「私は神、神隼人…これから貴様に地獄を見せる者だ!!」

真ゲッターロボ

全2巻(双葉社) 石川賢 作

簡単解説
ゲッターロボ本編のサイドストーリーと、1話完結で各誌に掲載された真ゲッターロボに関わるエピソードを収録。丁度「ゲッターロボG」と「ゲッターロボ號」を繋ぐ形で設定されており、ナゼ竜馬はゲッターを降りたのか?早乙女博士や弁慶は何処へ行ったのか?といった「ゲッターロボ號」の謎を紐解く形で展開する。



「ゲッターロボ」は皆さんご存知の通り、搭乗型巨大ロボットアニメ「マジンガーZ」でヒットを飛ばしたダイナミックプロがメカの「合体」をコンセプトに制作した「ロボット物の金字塔」である。
ちなみにこの「ゲッターロボ」誕生にはちょっとしたエピソードがある。ダイナミックプロが移動用の車を購入した時、永井豪氏とダイナミックプロの社長、そして石川先生が無免許にも関わらず車を運転し、3台で衝突事故を起したのである。この事件で「合体ロボット」というコンセプトが生まれたらしい。(ゲッターロボサーガ「ゲッターロボ號」編の巻末に記載されているコミックエッセイに収録されている)そして、ゲッターの無茶な合体システムも、永井豪氏の「マンガは自由な発想で書かないと面白くならない」という鶴の一声で完成したのである。いわば、「ゲッターロボ」はひらめきと偶然の産物なのかもしれない。

このマンガはその原作であり、パイロットを集める過程から丁寧に描かれている。「真ゲッターロボOVA」の批評でも触れたが、この「ゲッターロボ」の原作はTV版とは大きく設定が異なっており、よりダークなキャラクターで彩られている。

亡き父の遺影を抱いて空手大会に殴り込みをかける流竜馬
過激派学生運動組織を率いる冷酷非情な「隼人の校舎」の主・神隼人
パイロット不足から自らジャガー号に乗る早乙女博士
大雪山での柔道の修行中に事件に巻き込まれる巴武蔵…。

すべてがテレビ版より「濃く」設定されているのである。でも何だかんだ言っても武蔵はギャグ担当なのだが。(笑)

そして、序盤のパイロット集めの段階から「ゲッターらしさ」というものをしっかり構築しているのである。特に、「隼人の校舎」での爬虫人類との闘いで恐怖に慄いてしまう隼人など、通常のヒーロー物では考えられない描写をうまく取り入れているのである。そういった演出や描写が、キャラクターに命を与えているのであろう。そして、次回作「ゲッターロボG」の伏線で「百鬼帝国」の尖兵を登場させたりと、常に物語に刺激を与え続けている。破天荒で荒っぽい展開に見えるが、実は緻密な計算がなされている非常に洗練された物語といえるのである。

そして、「ゲッター」を語る際絶対に語らねばならないのは、伝説の名シーン「武蔵の死に様」であろう。このシーンは「スーパーロボット大戦」でも「ロボットコミック史上屈指の名シーン」と絶賛(ゲッターに思い入れのある人が開発陣に居られるのだろう)しているほどのモノである。仲間である竜馬と隼人に地球の未来を託し、只1人で敵のど真ん中へ特攻を掛け「ゲッターの心臓」を振りかざす…このシーンでは誰しも胸にジーンと込み上げてくるのを感じる筈だ。

そして、その熱いドラマは「ゲッターロボG」にも受け継がれている。
ゲッターロボの第2弾「ゲッターロボG」は主役ロボットが新型の「ゲッターG」に変わった他、「恐竜帝国」との闘いで散った武蔵の補充メンバーとして車弁慶が新たにゲッターチームに加わって物語は展開していく。この辺りの設定はテレビ版、原作マンガ版と大きな変更はない。
また続編という設定をうまく利用されており、特に第1話はそれが顕著に出ている。隼人がゲッターチームに入る前所属していた学生運動の過激派、「革新派」の仲間達が百鬼帝国の手下として登場するのである。そして、彼等のリーダーを務めているのは隼人の従弟である竜二。そして革新派のメンバーは百鬼帝国に体を機械化されており、それぞれが魔王鬼のパーツの一部となるのである。その合体シーンと戦闘シーン迫力は、そりゃあもう尋常じゃない。

決戦の際はその特性を生かしてゲッターGを翻弄するも、最後は隼人の手によって打ち倒される…。魔王鬼、いや竜二にトドメを刺した後の隼人のセリフ

「バカヤロウ…貴様のことはすべて分かっているんだ…狂ってまでカッコつけやがって…」

これを聞く(マンガだから「見る」か?)だけでも価値があるマンガである。この回は隼人のニヒルな影に隠れた「熱さ」を垣間見られるのである。

このように「ゲッターロボG」の原作コミックは2巻分と話数が少なく、テレビ版と異なり「胡蝶鬼」や「鉄甲鬼」といった敵側の設定がほとんど無いのだが、その分ゲッターチーム側の描写が多くなっている。(前作で竜馬をかばって死んだと思われていたミチルさんも何故か復活している)また、終盤になると「アトランティス人」が竜型ロボット「ウザーラ」に乗って登場するのだが、このウザーラは「真ゲッターOVA」の「真ドラゴン最終形態」のモチーフになったメカである。これも要チェックであろう。

続く「ゲッターロボ號」は石川賢先生が少年キャプテンにて「スカルキラー邪鬼王」を連載中、ゲッターロボの完全合体可能なおもちゃを作る(ゲッターロボにおける合体は、現実的に考えるとメチャクチャなものであるのは周知の事実である)という話から持ちあがった企画であり、「ゲッターロボ」では久々にテレビアニメ化された作品である。もっともテレビアニメの方はキャラクターデザインからして石川先生のものとは別人で原作とのタイアップ的な部分はかなり微妙であったし、結局大して話題にもならぬまま終了となっているのだが…。

この「ゲッターロボ號」では新型ゲッターにも「ゲッター號」、「ゲッター翔」、「ゲッター剴」と搭乗者の名前を付けるなど新たな設定が多い作品だった。ただ劇中でその呼び名をされた事はあんまり無かった様にも思えるのだが、先代のゲッターとの差別化、という意味があっての事なのだろう。しかし肝心のゲッター號のデザインはスポンサーサイドの要望が多く、石川先生としては少々イメージの違うものに仕上ってしまっているらしく、その為かファンの間でも「ニセモノゲッター」などと評されてしまっている。話によると石川先生はオモチャの合体を前提としたゲッター號のデザインに強い反感を持っていた…という話も結構耳にするウワサなのだが、今回紹介している双葉社の「ゲッターロボサーガ」シリーズの巻末オマケマンガでは、企画段階では「今更ゲッターなの?」と渋っていたが、合体するゲッターのオモチャの試作品を見て感動してマンガを書く気になった、とされている。これはもう石川先生のみが真相を知るものであろう。

しかし、企画段階の変な話やアニメ化の失敗で「つまらない」という先入観を持たれかねないこの「ゲッターロボ號」であるが、その物語展開の面白さはゲッターの中でもトップクラスなのである!!結果巻数も一番多く、その後の「ゲッター」にも大きく影響を与えている「ゲッター線とは?」という部分をクローズアップした最初の作品でもある。

ドラマとしては、特に中盤のクライマックス、「アラスカ戦線」は大迫力で「石川ワールド」が展開する。北極圏からアラスカに進軍したランドウ軍と、それを迎え撃つ「連合軍」の闘いを壮絶に描いているのである。「マジンガーZ」から続くスーパーロボット志向の作品での敵の作戦は「少数によるピンポイント(マジンガーなら光子力研究所など)攻撃」が主であり、迎え撃つのも主役ロボットとそのサポートメカのみで「防衛隊」等は登場しても敵の強大さ、強さを演出するだけであった。それに対しこの作品では「軍隊VS軍隊」という、どちらかと言えば「ガンダム」のようなリアルロボット志向作品的に描いているのである。

また、味方である連合軍のメンバーも自国のスーパーロボットに乗っており、そのロボットもステルス戦闘機に変形するアメリカの「ステルバーα−40」、全身からレーザーを発射するイギリスの「BB5」、足の代わりに巨大ローラーを装備するカナダの「ロボストーンT520」、ヘリと戦車に分離するドイツの「グスタフ」等といった個性的なメカが勢ぞろいなのである。そんなスーパーロボット軍団がランドウ軍のメタルビースト軍団と壮絶な闘いを繰り広げるのである。

さらに「真ゲッターロボ〜地球最後の日〜」にも登場した日本人嫌いのアメリカ軍人・シュワルツと號や剴のからみなど、キャラクター描写も物語を盛り上げてくれる。そしてアラスカ編クライマックス、連合軍の陸上戦艦「テキサス」が自分の数倍もの大きさの敵要塞「ドラゴンタートル」に特攻をしかける様はたまらなく熱く、面白いのである。更にこのアラスカ編クライマックスにおいてはランドウの背後に「恐竜帝国」が暗躍している事が発覚する等、旧作ファンへのサービスも忘れていない。

この作品、テレビアニメの放映と共に完結する予定であったが、「石川先生に好きにやってもらおう」ということで連載は続行される。後半は早乙女研究所の廃墟で物語が進行し、「流竜馬」の復活や「真ゲッターロボ」の登場などさらに燃える展開になっていく。特に隼人の命令で竜馬を迎えに行った號の下り、そして「同じ性格」の2人のケンカは必見と言えよう。そして「真ゲッターロボ」である。途中打切になった「スカルキラー邪鬼王」の仇を取ると言わんばかりの迫力で、すべてのあらゆるものを吸収していく。また、OVAで描かれる真ゲッターと異なりモーフィングで変形する等凄まじい演出がなされる。そしてラストシーン。隼人と竜馬の

「これから何が起きるんだ」
「すばらしいことだよ」

という会話を受けての隼人の台詞

「また、残されちまった」

という言葉が、壮絶な結末に何とも言えない余韻を残すのである。ゲッターの世界はこの後「真」「アーク」と続き、原作ともアニメとも違うパラレルワールド的な世界観でOVAを展開していく事になる訳だが、そういった後続の作品群に最も強い影響を与えたのは、この「號」のアラスカ戦線以降…真ゲッターの存在と「ゲッター線」の目的、という部分であろう。

続く「真ゲッターロボ」は簡単解説でも書いたとおり、「ゲッターロボ號」の謎解き的な要素が強い。
内容は真ゲッターロボの開発に関する事件を描いたものなので、ゲッター作中のタイムスケジュール通りではなくリリースされた順…即ち「ゲッターロボ號」を読んでから「真ゲッターロボ」を読んだ方が、「ああ、そういうことだったのか」という驚きを味わえるので面白いだろう。

その他のエピソードとして「東映まんがまつり」や「スーパーロボット大戦」シリーズのイベントを思わせる「ゲッターロボG対ゲッターロボ」のような物語も収録されている。これは恐竜帝国の生き残りがゲッターGを奪取し、それを奪い返す為に竜馬達ゲッターチームが初代ゲッターロボで出動するというものなのだが、石川先生独特の大迫力な描写で非常に燃える展開になっている。さらに、真ゲッターを超える巨大さ、強大さを誇る謎のゲッター「ゲッターエンペラー」の登場など興味深いエピソードが多数収録されている。

また。OVA「真!!(チェンジ)ゲッターロボ〜地球最後の日〜」のエピソード的な「月面10年戦争」を描いた「クレーターバトル」も収録されている。OVAを見た人はチェックして見ると良いだろう。

今じゃ「スーパーロボット大戦」の人気もあって若年層にも認知されている「ゲッターロボ」であるが、「ガンダム」以降のリアルロボット症候群にかかったアニメファンからの不当極まりない酷評は相当なものであったらしい。
しかし、はっきり言ってオモチャ屋の模型棚にガンプラばかりが並ぶ現状の方がよっぽどおかしいとは思えないだろうか。「ガンダム」のヒットにより以降のロボットアニメがリアル一辺倒になった事こそ、今現在ロボットアニメというジャンル自体を崩壊させた元凶であるのは明白である。
我々は「スーパーロボット大戦」や、それに便乗してリリースされたOVAやDVDの普及によりリアルロボット全盛期には見向きもしなかった作品群にめぐり合う事が出来た。それは幸運であると思う。

これを期に、V字型のツノがついてて5角形の目をしたカブトを被ってるロボットが出て来るシリーズを追いかけるよりも、本作のようなかつて「名作」と呼ばれ、子供達に夢を与えていた熱い魂を持つ作品をチェックしてみたらどうだろうか?少なくともこの原作版「ゲッターロボ」の存在は、私にガンダムオンリーという殻から外の世界を垣間見せてくれた貴重なマンガであると胸を張って言える。現役で付き合ってきたファンには「何を若造が…」と思われるかも知れないが、少なくとも読んだ瞬間、全身にサンダーブレークを食らったような衝撃を受けたのは確かなのだ。

アナタも、この「ゲッターロボ」を読んで後悔はしないと思うぞ。


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