バカ正直ファンタジー

天空のエスカフローネ

1996年 サンライズ 全26話 東京12チャンネル系放送
声の出演:坂本真綾、関智一、三木眞一郎、高山みなみ、茶風林、他

簡単解説
占い好きの高校一年生、神崎ひとみは、憧れの先輩に告白をしたその時、突然竜と少年が現れて彼らと一緒に惑星ガイヤと呼ばれる別世界へ連れさらわれてしまう。その少年バァンとともに戦いに巻き込まれていくひとみの心は次第に…。


この物語は「幻の月」と呼ばれる青い星、つまりは地球を天空に見上げる「惑星ガイア」が舞台のファンタジーアニメーションである。その「惑星ガイア」はひとみ達の住む現世の鏡、言わばパラレルワールドのような存在であり地球人がしばしば迷い込事もあるという。しかし文明レベルは「メレフ」「ガイメレフ」と呼ばれる巨大ロボットの存在を除けば、産業革命前後程度であり、地球より少々送れている。また、人間種族の他に亜人間、いわば「ケモノビト」が存在するのも特徴と言える。

ここまで聞いて、「何処か聞いたことのあるような世界観だなぁ」等と感じないだろうか?そう、「聖戦士ダンバイン」で描かれる「バイストンウェル」の設定にかなり近いのである。バイストンウェルも「魂の安息の地」、つまりは地上界に密接に関係しており、地上人がたまたま開いた「オーラロード」を偶然通ってしまうこともある。また現世よりも文明が遅れている点も似ているし、「フェラリオ」と呼ばれる妖精のような生き物も存在する。この通り、「惑星ガイア」と「バイストンウェル」の世界観は酷似している為、「ダンバイン」を普通に楽しめた人は違和感無く「惑星ガイア」の設定も受け入れられるのではないだろうか。

さて、ファンタジーロボットアニメの王道はやはり剣と剣のぶつかり合う戦闘シーンであろう。この作品は、アニメの音楽界ではトップクラスの実力者である菅野よう子氏が音楽を手掛けており、氏が手掛けた宗教音楽を思わせる独特の音楽を効果的に演出している。更に戦車マニアとしても有名な「山根公利」氏のデザインする「ガイメレフ」が鎧然としたラインで、極めて人間的な動きをする。しかも作画が1話から最終話まで気合を入れて描き込んでおり、なおかつそれが中だるみしていない。流麗な動きで敵に剣を浴びせ、剣と剣がぶつかり合えば火花が散る。この迫力は生半可なモノではない。

またファンタジー物にしてはメカの設定が非常に細かく行われているのも今作の特徴である。8m級の大型のものを「ガイメレフ」、4m級の小型のものを「メレフ」と区別し、その強さは組み込まれた「エナジスト」の数でほぼ決まる。またメレフには「ショベルタイプ」「ブルドーザータイプ」等作業用のものがあるというのもファンタジー世界を扱った作品には稀なケースであろう。

また主役機「エスカフローネ」も特徴的であり、龍型の飛行形態に変形するとパイロットは操縦宮から龍の首部に移り、手綱のようなもので操縦する。この飛龍にまたがった主人公というビジュアルが、本作がファンタジー世界の物語だということを強く印象付けていると言えよう。さらに非戦闘員である主人公を闘いに組み込むため、アルセイデスの「ステルスマント」をひとみが占いで用いていた「ダウジング」を応用して打ち破ったり、敵である「ザイバッハ皇帝」が実は「ひとみと同じ「地球人」であったりと、視聴者を引き付けるさまざまなアイデアを盛り込んでいる。

そして今作のテーマ「人の運命」を判り易くするために「絶対幸運圏」「運命変革装置」「幸運血液」などあまりにアヤシゲな名前を敢えて用い、敵のザイバッハ帝国も、「ひとみとバァンを近づけると危険」という極めてあやふやな理由でひとみを美剣士アレンとくっつけようとしたりする等、かなり直球勝負な演出が続出するのも「エスカフローネ」の特徴と言えるであろう。

「信じていれば、いつか夢は叶う」

等、心がうす汚れている私には赤面モノの台詞が目白押しなのである。ともあれ作品のテーマを、これほどバカ正直に全面に出した作品は非常にめずらしいと言えよう。話数が少なく、異世界である「惑星ガイア」を描ききれていなかったり、設定にアラが目立つ作品ではあるが、このバカ正直さは買いたい作品である。

最後に、この「エスカフローネ」は海外でも人気を博し、日、米、韓合作で劇場版が作られている。こちらは完全新作で設定も多少変更がなされており、特にガイメレフ(エスカフローネとアルセイデスしか登場しない)が生物的にアレンジされている。そして主人公ひとみも「女子高生」から「女子大生」になっている。と、いうことは劇場版の第2弾が企画されたら、ひとみは「OL」にでもなるんだろうか…。


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