時代の徒花

超獣機神ダンクーガ

1985年 葦プロ 全38話 TBS系放送
声の出演:矢尾一樹、山本百合子、中原茂、塩沢兼人、若本規夫、他

簡単解説
突如地球に対し無差別攻撃を仕掛け、制圧を開始する謎の宇宙人「ムゲ・ゾルバデス帝国」地球は帝国の未知の科学力に成すすべも無く各地で敗退、正規軍はほぼ全滅となってしまう。宇宙士官学校の生徒・藤原忍はその闘争心を見込まれ特殊機甲部隊、通称「獣戦機隊」に配属され、ムゲ帝国との闘いの中心となっていく。


この「超獣機神ダンクーガ」が放映されたのは1985年、同時期に「機動戦士Zガンダム」が放映されていたこの時代は、「機動戦士ガンダム」以降からロボットアニメ界を引っ張り続けてきたいわゆる「リアルロボットアニメ」が徐々にジリ貧になり始めた頃である。その為「ガンダム的」なリアルテイストを用いた作品に見慣れた視聴者には本作「超獣機神ダンクーガ」の正攻法な設定演出に「子供臭さ」を感じてしまい、初手の部分で拒絶されてしまった不幸な作品である。

本作の主役メカである「獣戦機」は人間の怒りのパワーにしてノーマル形態からビースト形態へと変形進化する。この設定は確かに「装甲騎兵ボトムズ」といったガチガチのリアルロボットを体験した後では気まずいものがある。それは当時「ダンクーガ」に携わっていた制作スタッフも同じだったらしく、TVシリーズとOVA「白熱の終章」の総監修を務めた奥田誠治氏も「ガンダムが出た後でコレ(ダンクーガ)をどう料理すればいいんだ?」と悩んでしまったという。そういった時代錯誤と取れかねない設定と、先に延べた「リアルロボット後遺症」の影響もあってか本作は途中打切りの憂き目にあっている。

しかし、放映終了後に2作のOVAと4年も経過してから真の最終話「白熱の終章」が制作された事を考えれば「リアルロボット後遺症」に苛まれなかったファンからは熱い支持を得ていたことが解る。そう、この「ダンクーガ」はそう捨てたものではないのだ!!

まず、ロボットアニメでありながら主役メカ「ダンクーガ」は17話まで登場しない。いや、各獣戦機が人型の「ヒューマノイドモード」に変形可能になるのも14話からなのである。主役ロボがなかなか登場しない作品は他にも「惑星ロボ ダンガードA」など存在してはいたのだが、やはり異常とも言える長さである。しかし逆に言えばそれだけメカの進化というものに重きを置いた演出が丁寧になされている証拠でもある。

主人公達が戦場でさまざまな人々と出会い、別れ、成長していくにつれ、獣戦機も「ノーマルモード」→「アグレッシブビーストモード」→「ヒューマノイドモード」→「ダンクーガ」と進化していくのだ。これはダンクーガへの合体を描いた「獣を越え、人を超え、いでよ神の戦士」というサブタイトルにも現われている。つまり、「獣(アグレッシブビーストモード)を超え、人(ヒューマノイドモード)を超え、いでよ神の戦士(ダンクーガ)」となるのである。ここまでの進化成長を丁寧に描いたからこそ「怒りのエネルギーでメカがパワーアップ」という設定に説得力が生まれ、視聴者を惹き付けたのだ。

またこのダンクーガへの合体プロセスが非常にカッコ良い。
「データ、THX1138ロック解除!!」
「キーワードD・A・N・C・O・U・G・A、ダンクーガ!!」
「ダンクーガ確認、THX1138ロック解除!!」
「獣の怒りを越え、人の憎しみを超え、神の戦士として再生せよ!!超獣機神ダンクーガとして再生せよ!!」
「やぁぁぁぁぁってやるぜ!!」

…やはり見ているこちらが恥かしくなってしまう程の熱い口上と派手なエフェクトで見せてくれる合体シーンというモノは、ロボットアニメファンならば思わずグッと来てしまうものがあるだろう。そしてこのダンクーガ、合体したはいいが飛行能力は無く、大空を駆けるのは飛行ブースターの完成を待たねばならない。つまり「マジンガーZ」で言う所の「ジェットスクランダー」のエピソード的な「飛行ブースターの完成」というもう一山を見せてくれるのだ。この演出でさらに「主人公の成長と共に進化していく」という設定に迫力が生まれ、「マジンガーZ」から続くロボットアニメすべての作品の持つテーマ「人とロボットの一体感」というものを強く感じさせてくれるのである。

さらにムゲ帝国に寝返ったシャピロ・キーツとヒロイン沙羅の愛憎劇(肉体関係を連想させるような演出も多々ある)や、獣戦機隊と行動を別にする「黒騎士アラン」と獣戦機隊指揮官「イゴール長官」の確執と和解といったものが程よく物語を盛り上げてくれる。

しかし途中打切りの為のキズも大きく、後半はストーリーに破綻が生じてしまっているのが非常に残念である。しかしそのキズも本編終了後に作られた3本のOVAが補完してくれているのだ。

これだけ丁寧に作られた作品である為か、本作で台頭してきた若手スタッフは現在でも一線で活躍をしている。例えば「銀装騎攻オーディアン」では監督も務めたメカデザイン担当の大張正己氏、「無限のリヴァイアス」等でキャラクターデザインを務めた平井寿氏(現:久司)等、挙げればきりが無い程である。更に本編で「ローラ」役を演じたのは元CCガールズの藤原理恵であり、主題歌「愛よファラウェイ」等も歌っている。このネタは「スーパーロボット大戦」でも雅人が「ローラがイケイケギャルになって、『GGガールズなるセクシーグループ』に入ってしまった」と嘆くシーンで使われている。

最後であるが、「スーパーロボット大戦」シリーズでもお馴染みのダンクーガの武器「断空剣」「断空砲フォーメーション」「断空光牙剣」はOVAで使用した技であり、本編ではもっぱら「拳」(と「ダイガン」のみ)で闘っていた。

最後に、「失われた者達への鎮魂歌」「ゴッドブレスダンクーガ」「白熱の終章」は別項にて批評する。


戻る