ハードボイルドであり、アクションコメディでもある

無敵鋼人ダイターン3

1978年 サンライズ 全40話 名古屋テレビ系放送
声の出演:鈴置洋孝、井上遥、水野カコ、北村弘一、白石冬美、他

簡単解説
破嵐万丈の父、破嵐創造博士は火星にて人類の宇宙進出の為のサイボーグの開発を行っていた。しかし研究に没頭するあまり万丈の母や兄までも実験材料にしてしまう。さらにサイボーグ達は「メガノイド」を名乗り帝国を樹立。人類に対し反乱を起した。責任を感じた万丈はロボット「ダイターン3」と金塊を奪い地球へ逃走し、シン・ザ・シティに豪邸を構えダイターン3を戦闘用に改造する。贖罪の為、そして父への復讐の為、今日も万丈は心強い仲間達と共にメガノイドと戦うのであった。
「世の為人の為、メガノイドの野望を打ち砕くダイターン3!!この日輪の力を恐れぬなら…かかってこい!!」


「スーパーロボット大戦シリーズ」でもすっかりお馴染みになった感のある「無敵鋼人ダイターン3」である。この作品、意外や意外、前番組の「無敵超人ザンボット3」に引き続き「機動戦士ガンダム」でお馴染みの富野由悠季氏が監督を務めているのである。

そして本作の主人公「破嵐万丈」は富野氏の大のお気に入りキャラクターであり、テレビシリーズのパラレルストーリーというスタイルを取った「破嵐万丈シリーズ」(朝日ソノラマ出版)という小説も書いている。ちなみにこの「破嵐万丈シリーズ」は「薔薇戦争」「憂鬱ミュージアム」「ヒットカップル」「愛はシベリアから」という4作が出版されており、ガンダム小説を読んだことのある人には考えられないくらい軽妙なタッチで描かれている。

またこの小説には「ダイターン3」は登場せず「マッハパトロール」も「ラピド・ポーター」という名前に変更されており、キャラクター設定にも少々アレンジが加えられている。コメディとしてはそこそこ楽しめる作品なので、スパロボ等で万丈のファンになった人は読んで見てもいいだろう。

さて本編に入ろう。本作の魅力といえば、やはりなんといっても主人公・破嵐万丈であろう。大きな屋敷を構え、火星から奪ってきた大量の金塊で大金持ち、容姿端麗でキザ、運動神経も抜群。更に女性に対して絶対的な自信を持っており、スパイ映画の傑作「007」シリーズの「ボンドガール」を思わせるグラマー美女をアシスタントに明るく華麗に活躍するのだ。

しかしそんな万丈も暗い影を背負っている。彼の戦っている「メガノイド」は彼の父、破嵐創造が開発した人間の肉体を強化したサイボーグの一種であり、肉体と一緒に本人のエゴまで強化してしまう。また万丈自身も時折人間離れした怪力を見せることから、ファンの間で「彼もメガノイドだ」という噂もあったが真相は明らかにされていない。

その為、自分の願望の為に他人を犠牲にすることにためらいがないのだ。つまり万丈が戦っている理由は「父の罪への贖罪」であり、最終的に倒さねばならないのは彼の父自身なのだ。更に自分を火星から脱出させる為に母親も命を落としている。その為万丈のメガノイドに対する憎しみは強烈で、仲間を犠牲にしてでもその暴挙を止めるという凄まじいまでの決意を胸に秘めているのだ。

こういった暗い過去が万丈にアダルトでハードボイルドな魅力を与えており、作中での彼の明るさを支えているのだ。自分の置かれている境遇に潰されること無く、今自分に出来ることを全力でやる…そんな万丈の姿に我々は惹かれてしまうのだろう。

そんな彼と仲間達の活躍は非常にユニークで「スターの中のスター」や「あの旗を撃て!」といった名エピソードを生み、世間に「隠れた傑作」として認知されたのだ。(「ダイターン3」前作「ザンボット3」の暗い展開からコメディタッチに豹変した為か、視聴率は伸び悩んだらしい)

そして最終回、万丈は火星に単身乗り込みメガノイドのボス「ドン・サウザー」と一騎打ちをするも生死不明になってしまう。主を失った万丈の屋敷から次々と去っていくギャリソン、ビューティ、レイカ、トッポ…。そんな中、館に一つだけ明かりの映る窓が…。一般には万丈が帰ってきたことになっているが、構図の妙でただ単に朝日が差し込んでいるだけのようにも見える。何とも言えない余韻を残す幕切れである。

ちなみに、「無敵超人ザンボット3」から本作「無敵鋼人ダイターン3」に切り替わった時テレビ欄では「無敵鋼人」としか書いていないケースも多かったらしく、更に1話目から「貴様が噂の破嵐万丈か!?」という台詞があったためちょっとした混乱を生んだという逸話もあるようだ。


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