ダメオモチャとダメアニメ

爆闘宣言ダイガンダー

2002年 テレビ東京系放送 全39話 ブレインズ・ベース制作
声の出演:瀧本富士子、甲斐田ゆき、井端珠里、梁田清信、麻生智久、稲田徹、他

簡単解説
バトルロボット「バトロボ」達が戦うスポーツバトロボマッチ。そのバトロボマッチのチャンピオンに贈られる、伝説の王座タイタンクラウザーを目指し戦い続ける少年コマンダー曙アキラとダイガンダー達バトロボ達の物語。前作「ウェブダイバー」に続くロボット玩具をゲームのコントローラーとして連動させたタカラの「プラグイット」第2弾。


さて、今回は「ダイガンダー」なのだが、はっきり言ってこの作品、かなり批評するのが厳しい作品といえる。路線的には「プラレス三四郎」…最近で言うなら「メダロット」等と同じ系統の作品で、「ウェブダイバー」でかなり評判の悪かった戦闘シーンがショボ過ぎるCGアニメで描く、という手法を引き継がなかったりといった前作での反省を踏まえていたり

♪エ〜ナ〜ジ〜全開で〜ダダダダダダッダ〜

と、「ダ」を不必要に100回以上連呼させる「鋼鉄ジーグのうた」並の熱い主題歌や、話の作りというか、設定にしても今時貴重な正統派路線だったりと…とかく「面白そう」「面白く出来そう」な要素が数多くちりばめられている作品ではある…のだが、結局どうだったか?と聞かれると、それこそ悪名高きアニメ版「魔装機神サイバスター」と同レベルの…良かった所を探すのが物凄く難しい作品なのだ。

いや、物語のスジはともかく設定的には魅力的な部分は多い。大人の鑑賞に耐え得るリアリティのある作り、というスタイルではなく、純粋なまでにメインターゲットである子供ウケするようなキーワードを散りばめていたり…例えば、バトロボマッチというスポーツというか、ゲーム的な要素…コレは頭身の大きい、言わばリアルロボットスタイルからはかけ離れたディフォルメ体型のロボット達が戦う、というのは「アイアンリーガー」等で成功した例であるし、「メダロット」の様に人間とほぼ同じ位の身長を持つ意思のあるロボット、というのも、人…この場合はコマンダーとバトロボの絆という形で演出やドラマに絡め易く、子供ウケもするネタな筈だ。

更に、アキラ達にはタイタンクラウザーを目指す、という目標がある。この部分も子供をメインターゲットとした作品ではウケるキーワードであり、その「目標達成の為努力する」という展開、そしてその過程で描かれる事となるライバル達との邂逅といったネタが、ドラマを熱く、面白くする訳だ。実際、私と同年代位の人が未だ子供向け…ジャリメーションと呼ばれてしまうような作品にハマッてしまう事が少なくないのも、実は幼少の頃、それこそ「キン肉マン」や「ドラゴンボール」といった作品に対して感じた「熱さ」を思い出してしまうからなのではないだろうか。

こういった部分というのは、一連のミニ4駆アニメ(マンガ)がそうであるように、実際に劇中で登場するキャラクター(ミニ4駆の場合はそのままミニ4駆)玩具を実際に手にとって遊ぶ子供達にとっては、この絆という部分こそが、実際に自分が買ってもらった…ないし小遣いで買った玩具に思い入れを持てるかどうかに直結していく訳で、だからこそ、いくら「オモチャCM」と揶揄されるような玩具先行型の作品であっても、この部分には力を入れるんじゃないだろうか。そういう意味で言えば、キーワードを付加価値とする所までは「ダイガンダー」も上手くいっていたと言えるのかもしれない。

では何でダメになっていたのか?と言われれば、それは「ダイガンダー」は美味しい素材を料理する方法を間違えていたから、という事になる。つまりは良い素材を仕入れる事には成功したが、味付けで完全に失敗してしまったのだ。例えばメインとなるロボット競技「バトロボ」のシステムである。バトロボコンバージョンというルール等、結局戦闘シーンのテンポを阻害するだけに感じられるし、結局は毎回ダイガンダーがブライオンなりボーンレックスなりと合体して勝負を決める為のルールにも見えてしまう。

一応この「ダイガンダー」の玩具には、ゲームをプレイ出来る素体的なVSロボと、それに付加価値をつけるソフト的なROMロボという二通りに分れており、アニメもそれに準じてコレを強調する作りにしているつもりなのだろうが…結局はご都合主義的な部分を余計感じさせてしまうものになってしまっている。そもそも、合体機能はそういった必殺技のおかげで、まぁ使われてはいるのだが、一方の変形機能というのは結局は人型体型でばかり戦って、動物形態になるのは平時だったり逃げる時だったりと、あんまりバトロボに活かされていない。この部分、玩具の機構を複雑にしてプロポーションまでガタガタにしてまで取り入れた部分なのだから、もう少しアニメで効果的に使ってやるべきだったのではないだろうか。

更に主人公のアキラのキャラクター性だ。このアキラ君、バトロボ開発の第一人者たるハジメ博士の孫で、その爺様のおかげでバトロボに対して無尽蔵に金をつぎ込める。もちろん直接的にアキラ君が金を使っている訳ではないのだが、ハジメ博士の超強力バックアップ体勢で試合に望む…所持するバトロボの数も一人だけやたら多いし、サポートとしてダイベースだのダイシャトルだのという…描かれる他のバトロボコマンダーのサポート体制とはそれこそWRCの一般参加とワークスチーム並の差がある。コレ…見ようによっては歪んだものが感じられる。金をかけたほうが勝ち…というイヤーンな現実を改めて思い知らされる様でもあるし、そんな金持ちが自分は危害の及ばない所でやれ友情だ何だと本来戦わなくても良い筈のロボットをけしかけている…という変なスタイルにも見えてきてしまう。ある意味、アキラ君という主人公は恵まれ過ぎているが故、イマイチ「正々堂々」とか「知恵と努力で勝利を掴む」という部分に影がさしてしまっているのだ。

それもアキラ君たちが目指す「タイタンクラウザー」というモノの価値がキチッとした形で描かれる前に、ドラゴバーストの計画するバトロボの反乱に物語がシフトしてしまう事もあり余計に気になってしまう。もしタイタンクラウザーにより、優勝したバトロボに人間とほぼ同等の権利が与えられる、とか、人間としての市民権を与えられる、というモノがあったりすれば、このアキラ君の戦う意味も少しは違った形になっただろうし、そもそもライバルとの邂逅という部分が殆ど無いのも痛い。ダイガンターに対するギンザン、ロウガマル&タイガマル、ドラゴバーストといったライバル(?)関係はこの作品でも成立しているのだが、ダイガンダーのコマンダーたるアキラ君には明確なライバルが存在していないのだ。

「巨人の星」で言う所の花形や左門も、「キン肉マン」で言う所のテリーマンやロビンマスクもこの「ダイガンダー」には存在しない。そもそもライバルとして登場するバトロボコマンダーは1話限りのキャラクターが殆どで、シリーズを通してのライバル、と言えそうなのは上記したギンザンやらドラゴバーストといったバトロボばかり…コマンダーでシリーズを通してアキラ君に突っかかって来るような存在が不在のままで物語が進行してしまうのだ。

これによって、いよいよ持って「バトロボ」という存在が宙に浮いてしまう。だからこそ最終的にバトロボという競技が物語から脱落してしまったのだし、アキラ君の成長度合いも比較的低く見えてしまったのだろう。玩具とのタイアップという問題もあるのだろうが、もういっそのことアキラはダイガンダーのみ所有するコマンダーとして、共闘する仲間やライバルのバトロボとして、ギンザンやブライオン達を当てた方が、ベタな設定ながら面白いものに仕上ったのではないだろうか。やっぱり恵まれ過ぎている主人公に感情移入するのはドッチラケで難しいし、コマンダーとバトロボのタッグに対し、ライバルがバトロボ単身という構図にも無理があったのではないだろうか。

そして重要な戦闘アクション。コレに関しても及第点を大きく下回る出来と言わざるを得ない。上でも述べた通り、「ウェブダイバー」でかなり評判が悪かったCGアニメでの戦闘アクション描写は見直しがされた事は評価出来るのだが…如何せんバトル自体が面白くない。大抵が「ドラゴンキャノン」かコレも前述したバトロボコンバージョン」での合体から必殺技というパターンで呆気なく終わってしまう為、クラスターパワーだの何だのと設定上ではダイガンダーのパワーを強調してはいるものの、それが画面に反映されていないのだ。

この部分、「子供騙し」という言葉があるが、子供を侮ってはならない。大人のアニメファンに対して通用してしまう、エロく、グロく、暗く、という展開は子供には通用しないし、当然萌えだのヤオイ的なものも通用し難い。大人を相手にする以上に、「ダイレクトな面白さ」というものが要求されるのだ。何しろ時間と集中力に関しては大人顔負けなものがある子供なのだから、この部分をあんまり見くびると手厳しいしっぺ返しを食らうだろう。

結局、「ダイガンダー」は玩具とのタイアップ前提で、恐らくアニメに関してもメーカー…この場合はタカラが主導権を握って制作されていたのだとは思う。しかし結局どうだったのかと言えば、それこそ番組後半…続くビックプロジェクト「マイクロン伝説」にメーカー側も力の入れ具合をシフトしていた事もあり散々な結果になっていたように見受けられる。実際、トイザラスでも年末商戦という売り込み時期にも関わらず、「ダイガンダー」の玩具は軒並みクリスマスを終わった時点でワゴンセール行き…。

もっとも玩具の方の出来にしても、どう考えても子供達の手には余るであろう大きさと重さのダイガンダーがゲームのコントローラーになる、というホントに付加価値になっているんだか分らない機能に加え、合体機能やら変形機能まで組み込んでいて結果的にプロポーション的にはガタガタも良い所だったし、無理に余計な機能をし込んでいる為にロボット形態ではバランスが悪くて自立しなかったりと、アイデア勝負の一発屋的な印象は否めない。まぁ「プラグイット」としては第2弾なのだが、玩具の出来に関してはアイデア先行型過ぎて厳しいという印象はある。唯一の救いは、少なくとも技術的なバックボーンという点では、続く「マイクロン伝説」や「スーパーリンク」に爪痕を残す事が出来た、という点であろうか。

…そうとでも思ってなきゃ、あまりにも可哀想だいね。(苦笑)


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