ノーコメント!!…という訳にはいかないわな、こりゃ

魔装機神サイバスター

1999年 葦プロ制作 全26話 テレビ東京系放映
声の出演:有馬克明、増田ゆき、永田良子、森田順平、武藤寿美、他

簡単解説
地球環境保護を訴える組織、DC(ディバインクルセイダース)に入隊した青年・安藤ケンは、作戦中に謎のロボット「サイバスター」と遭遇する。以降、ケンはサイバスターと異世界ラ・ギアスを巡る戦いの中心に巻き込まれていく…。(ホントに「粗いスジ」だがコレ以上書けんのです!!)


少し前に「破邪巨星Gダンガイオー」という作品がリリースされていた。最近、「ゲッターロボ」や「マジンガーZ」の新作がリリースされたり、「キン肉マン」や「北斗の拳」、「シティハンター」といった昔人気のあった作品がリバイバル的に復活して人気を博しているのだが、そこでたまたまOVA初期の作品である「ダンガイオー」に御鉢が回ってきたのだろう。
しかし、どう言うワケかこの「Gダンガイオー」はスタッフ総入れ替えとも言うべき布陣が敷かれており、大張正巳氏の描くカッチョイイメカや、平野俊貴氏の描く美少女キャラクターも登場しない。
かつての栄光にすがりつく様な「昔の名前で出ています」的安直さを否定したかったのかも知れないが、1番オイシイ部分を外してしまってもいいもんなんだろうか?第一、昔の名前で出るのがイヤなら別の名前を名乗れば良いだけの事だよ。

♪京都に〜いるときゃ〜忍〜と呼ば〜れたの〜
  神戸じゃ〜渚と〜名乗ったの〜

といった具合に。

もっとも、私は「破邪巨星Gダンガイオー」という作品を見た事が無いので細かい話は分からないし、もしかしたらそんな懐古主義的なネタをも超越する面白さがあるのかも知れない。
で、なんで今回の批評にわざわざ見たことも無いロボットアニメの話を持ってきたかというと、これから批評する「魔装機神サイバスター」も明かにオイシイ部分を外し、狙いどころを間違えた作品であるからなのだ。

この「魔装機神サイバスター」というのは、バンプレストの人気テレビゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズに登場するオリジナル作品であった。ここが面白い部分なのだが、この「サイバスター」は「ゲッターロボ」とか「ガンダム」といったゲームに参加する原作アニメ付き作品と同じように、いかにも「魔装機神サイバスター」というアニメがあるかのような形でゲームに参入しているのだ。この辺はニセガンプラとして名高い「ザ☆アニメージ」がメーカーオリジナルプラモデルにも関わらず、さも「超銀河伝説バイソン」なるアニメがあるかの如く振舞ったのに似ている。その為、唯一のゲームオリジナルであるにも関わらず主役として君臨する事は無く、敢えて他の作品と同等の存在価値しか与えなかったのだ。

しかしその後、原作付きアニメロボット達が「サイバスター」の舞台ラ・ギアスに飛ばされる「スーパーロボット大戦EX」や、スパロボに参加する「サイバスター」の原作的(スパロボと同じ時間軸を持っているのだが)な「魔装機神」なるゲームも発売し、いよいよ作品の幅も広がっていくことになる。

続く「新スーパーロボット大戦」では「サイバスター」に代わり「超機大戦SRX」という新たなスパロボオリジナル作品を生み出すが、こちらはゲームソフト自体の不人気もあってか「サイバスター」程の人気を得られずに終わる。その後「サイバスター」は、オリジナル主人公が登場する「第4次スーパーロボット大戦」までは、様々なハードで乱立するスパロボの中ほぼレギュラーといえる登場頻度を誇っていたのだ。もっともその後は乱立するオリジナルキャラクターや「α」での「SRX」の大々的な復活等により今現在では少々「スパロボ」においては陰が薄くなった感も否めないのだが…。

それでもアニメ化だけはしなかったサイバスターだったのだが、ここへ来てテレビ欄に新番組として「魔装機神サイバスター」という文字が!!多くのファンが待ち望んでいた「サイバスター」のアニメ化が遂にここで果たされる…そんな期待感で作品に望んだ人もいたのではないだろうか?
しかしそんなファンの期待は完全に裏切られる。「魔装機神サイバスター」と名乗ってはいるものの、スパロボで描かれる「魔装機神サイバスター」とは完全に別の物語だったのだ。主人公も安藤ケン…マサキ・アンドーではない。シュウ、リューネ、サフィーネ、といったスパロボでもお馴染みの名前も登場するにはするのだが、そういったキャラクターも完全に「別人28号」として設定されているのだ。

でも考えてみて欲しい。「魔装機神サイバスター」はいかにも原作アニメがありそうな形で設定されたスパロボオリジナル作品なのだ。そのアニメ化となれば、当然ゲームでの「サイバスター」が原作となるワケだ。つまり「魔装機神」も少年ジャンプなんかのマンガがアニメ化するのと同じように、「原作付き」というしがらみが既に存在する作品である筈なのだ。

それなのに完全に別の展開を見せる…というのは明かに方向性を間違えている。コレを「メディアミックス展開」と称する方法もあるが、本来メディアミックスとは「基本的な設定が既に決まっているキャラクター、ないし世界観」で、媒体によって物語の展開が違って来るというものを指す。つまり、原作の設定の根底から覆す作品は「メディアミックス」とは言わない。そこにはただ「サイバスター」のアニメを作って欲しいというファンの欲求と、実際に作るスタッフ、クリエイターの間に大きな意識のズレが存在しているだけなのだ。

やはり、ファンが見たかったのは、

「マサキはやっぱり方向オンチ」で、
「シュウは嫌味ったらしい慇懃な態度」を取り、
「リューネは露出度が高いオテンバ娘」で、
「サフィーネはエッチな変態おねえさん」

な「魔装機神サイバスター」だったのではないだろうか?
スタッフ達にはアニメ独自のオリジナル脚本に自信があったのかもしれないが、ファンとの間に埋められない程の大きな意識のズレがあったのでは話にもならない。

でもアニメーションなんて、面白いもの勝ちなのである。見てみなければ分からないと思い、恐る恐るフタを開けて見て更にビックリ!!はっきりいって全然面白くないのである。
脚本も必要でない部分はやたらと展開を遅くし、そのくせ重要な部分はなんとも呆気なく流してしまうというズレにズレまくったもので、マサキがミズキの兄だった、とかリューネがマサキに惚れた、とか、視聴者にインパクトを与えようとしているネタですら、その中途半端な描き方によってただ通り過ぎるだけ。キャラクター1人1人に対してもキチッとした掘り下げが成されておらず、完全に言葉足らずなのが作品の程度を貶めてしまったのだ。

挙句の果てに最後はサイフラッシュがドーン!!と来て終わり…視聴者とのズレ以前に、いったい何がやりたかったんだろう?とさえ思ってしまう。「エヴァンゲリオン」や「ナデシコ」のヒットが原因なのかは分からないが、この2作品以降序盤から描かれてきた謎やテーマを終盤で安直に放り出してしまう作品が増えた。しかしこの「魔装機神」に至ってはそれ以前に「何をやりたいのか」が作品全編を通してまったく見えてこないのだ。

更にヒドいことに、作画や声についても誉められる部分を探すには金○一少年なりコ○ン君なりを呼んできても見つかりそうにないというレベルで、見所が全然ないのだ。

メカデザインについても「コレは○○のメカデだけど作品に合っていない」とか、そういうことを考えられる段階の問題ではない。サイバスター等はゲームの設定に準じたものではあるのだが如何せんカッコ悪く、どう考えてもスパロボの戦闘デモでディフォルメされたサイバスターの方がカッコ良く見えてしまうのだ。下手をすれば教えてもらうまでサイバスターがサイバスターに見えないかも知れないという有様…コレではどうしようもない。

挙句の果てに、キャラクターに関してもデザイン云々以前にパースが狂っていたりとどうしようもない部分ばかりが目に付く。更に各キャラクターの声も「渋谷とか六本木辺りで遊んでた連中にバイトさせたのかい?」というレベルのものなので絵のダメさを声で補うなんてウラワザも出来ない。

それで脚本段階でメインの連中ですらちゃんとした掘り下げ、らしさの構築をやってないもんだからその薄っぺらさはもう…はぁ、日本のアニメはジャパニメーションなんて言われて世界で高い評価を受けているらしいけど、こんなんでホントに良いのか?

なんでもこの「魔装機神サイバスター」は、企画段階からして既におかしかったという話もあるようで、制作スタッフ陣も全員はなっからお手上げ状態だったのかも知れない。でも、いくらお手上げでも全力を尽くすのがファンへの礼儀であり、クリエイターとして、プロとしての意地なんじゃないかと思うんだが…。
酒井あきよし氏や鳥海永行氏といった結構なベテランクリエイターも参加している筈なのに、この安直な投げ出し方はなんなのだろう?

更に、キャスティングの問題でこの作品は一部の声優に恨まれているなんて事を書いているサイトも見受けた。私は「声優グランプリ」といった声優雑誌、それ以前にアニメ誌すら読まないのでこういった情報の真偽は分からないのだが、もしそういった部分が本当なら、根底からこの作品は全てが腐っていたことになるな、こりゃあ。


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