グレンダイザーへの掛け橋

宇宙円盤大戦争

1975年 東映 劇場公開作品
声の出演:ささきいさお、小原乃梨子、久松保夫、内海賢ニ、他

簡単解説
ヤーバン大王率いる侵略軍に故郷の星「フリード星」を滅ぼされた王子、「デューク・フリード」は、追撃の手を逃れて地球に辿り着き、そこで宇門大介を名乗り平穏に暮らしていた。しかし、侵略軍の魔の手は遂に地球にも伸びてきた。デュークはUFOロボット・ガッタイダーに乗り込み、侵略軍に立ち向かう。


丁度「宇宙戦艦ヤマト」の放映がスタートした1974年、UFOや超能力、幽霊や怪奇現象といったいわゆる「オカルトブーム」が始り、オイルショックの余波もあってか世間は破滅的な世紀末ムードに覆われていた。後に再放送から火が着き、77年に劇場版映画が公開され日本アニメーション界に一大センセーションを巻き起こす事になる「宇宙戦艦ヤマト」も、この頃は逆に視聴率低迷にあえいで放映もわずか2クール(現在の新作テレビアニメのサイクルが約半年間の2クール=26回であるが、当時は一年間=4クールが当たり前であった)で打ち切られた。

明けて75年を迎え、その「オカルトブーム」は日本中に蔓延してしまう。そんな中、マスコミを中心にそんな暗い世相をなんとか払拭しようとするムープメントが生まれた。その波から発生したのがいわゆる「UFOブーム」である。思えばその動きは、同じ「オカルト」でも破滅的な終末思想から、なんとか未来的なものへと煽動し、暗い世相をなんとか前向きなものにしようと意図的に成されたもののような気がしないでもない。

そんな中、アニメーション界にも「オカルト」なネタを扱った作品が数多く作られた。例えば、このUFOブームに乗って作られた「これがUFOだ!空飛ぶ円盤」が制作され、東映まんがまつりのプログラムとして上映されている。
この「これがUFOだ!空飛ぶ円盤」と言う作品は、アメリカの実業家ケネス・アーノルドによる謎の未確認飛行物体、つまりはUFOの目撃を契機に、以降それを「空飛ぶ円盤」と呼称するようになったエピソードに始り、アメリカ空軍のマンテル大尉がUFO追跡中に墜落した事件や、宇宙人に拉致され、ボディチェックを受けたヒル夫妻の事件を映像化し、何気にソノスジの研究資料的にも貴重なものとなっているらしい。もっともブームに乗って作った子供だまし的な感じは拭えなかったが、それでも子供達に夢(と、いうより恐怖を)与えたのは間違いが無いであろう。

そして、「これがUFOだ!空飛ぶ円盤」の好評ぶりを受けて制作したのが「宇宙円盤大戦争」である。本作はUFOブームを巨大ロボットアニメに反映した怪作であり、後にテレビにて放映されるマジンガーシリーズの第3段、「UFOロボ・グレンダイザー」の前身となったことはあまりにも有名である。

しかし、その経緯は当初から予定されていたものではない。「宇宙円盤大戦争」は本来純粋な短編作品として制作されたのだが、今までの「マジンガー」や「ゲッターロボ」ではあまり表に出てこなかった悲恋を主軸にしたドラマ性と、反戦という30分では描ききるのが難しい壮大なテーマ性が評価され、たった1話で終わらせるのは惜しいと判断したスタッフにより、テレビシリーズ放映の為に若干の設定変更を施したのが「グレンダイザー」である。

当然、本作の影響は「グレンダイザー」に数多く見られる。例えば、主人公デューク・フリードの名前がそのまま使われていたり、ロボットがスペイザーと呼ばれるメカと合体して飛行する点等、数多く見られる。
また、本作の主題歌「宇宙の王者ガッタイダー」の歌詞のガッタイダーをグレンダイザーにするだけで、「宇宙の王者グレンダイザー」になる事はあまりにも有名である。しかし、「逆転!イッパツマン」の挿入歌「嗚呼 逆転王」が主役メカの交代の間際にレコーディングされた為、主役メカが「三冠王」に交代して、テーマも「嗚呼 三冠王」になった事などを考えると、こういったケースはアニメ界ではそんなに珍しい事ではないようだ。

さて、本編であるが、後に「グレンダイザー」となるだけあって、グレンダイザーっぽい手法で描かれているのは言うまでもない。キャラクター配置や性格設定に関しても、大介が多少ワイルドでニヒルに、ひかるさんか゛大幅にオテンバになっている位か。ただ大介の声が「グレンダイザー」とは異なり、故・富田敬氏ではなく主題歌を歌ったささきいさお氏が務めている。

そして、本作を取り上げるに際して絶対に触れなくてはならないのは、主役メカ「ガッタイガー」及び「ロボイザー」のカッコ悪さである。ガッタイガーに関しては、「ニードルシャワー」や「スペースサンダー」、「スパイカーカッター」と言った超兵器を駆使して戦う正に「宇宙の王者」らしい無敵っぷりを披露してくれるが、いかんせんカッコ悪い。ロボイザーの収納の際、前に突き出したロボイザーの腕が変形し、尖った機首のような形状になるのだが、そのせいで妙にUFOっぽくないのだ。更にロボイザーに関していえば、UFOが獣や戦車に変形した敵の大部隊との見せ場はあるのだが、ロボイザー自身のデザインのカッコ悪さも手伝ってか、あまり見せ場とはなっていないのが惜しい。

グレンダイザーのデザインはマジンガーシリーズの集大成らしい精悍さが魅力になっているのであるが、ロボイザーはなんとも悪い意味でのレトロな印象が拭えない。ガッタイダー形態においても、グレンダイザーのスペイザー形態の方がよりUFOらしい印象を受ける。逆に言えばそれが宇宙から来た謎のメカとしてのガッタイダーの魅力になっているのかも知れないが、超合金のおもちゃを売らなければならないという制約がどうしてもついて回るテレビシリーズなら、やはりグレンダイザーのデザインとして成功だったのではないだろうか?

いや、ガッタイダーの無敵っぷりだけなら非常にカッコヨイのだが…。

ちなみに、本作が転生した「UFOロボ・グレンダイザー」はフランスにて「ゴルドラック」の名前で放映され大人気となり、最終回ではウソか真か視聴率100%を記録したと言う。そんな快挙も、本作「宇宙円盤大戦争」無くしてはあり得なかった事と考えると…なんとも凄い感じを受ける。


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