一茂コンボイの悲劇

戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010

1986年 東映動画 全30話 日本テレビ系放送
声の出演:石丸博也、加藤精三、阪修、速水奨、稲葉実、他

簡単解説
ユニクロン戦争から5年後、サイバトロンは新司令官ロディマスコンボイの元、平和に暮らしていたが、リーダーを失いバラバラになったデストロン軍団は新破壊大帝・ガルバトロンを溶岩の中から復活させ、再び宇宙に戦乱が巻き起こる。そこへ、トランスフォーマー達の創造主であり、サイバトロンの始祖アルファートリンの革命により祖国・セイバートロン星を追放されていたクインテッサ星人も、サイバトロンから故郷を取り戻そうと暗躍を始める。


さて、本作は「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」の続編で、一般にセカンドシリーズ等と呼ばれている。サイバトロン、デストロン軍団共に主力メンバーが大幅に変わっており、各陣営のリーダーもサイバトロンは劇場版「ザ・ムービー」にてホットロディマスがマトリクスの力で覚醒したロディマスコンボイ、デストロン軍団はコンボイとの死闘で傷つき、瀕死だったメガトロンがユニクロンから新ボディを得た姿で、名前もガルバトロンに変わっている。その他にも劇場版で戦死したアイアンハイドやストリークを始め、実在の自動車をモデルとしていたキャラクターは登場しなくなった。せいぜいがオープニングに劇場版で戦死を免れたポルシェ935−77ターボにトランスフォームする副官・マイスターが顔を見せる程度だ。

ファーストシリーズには日産フェアレディZ280、ランボルギーニカウンタックLP500S、ポルシェ935−77ターボ、ホンダシティ、シボレーコルベット、フェラーリ308GTB、ランチャストラトスターボ…といった、実車モデルのトランスフォーマーが多数存在していたのだが、実はコレ、元々はタカラのオリジナル玩具「ダイアクロン」として発売されていたものの流用なのだ。そもそも「トランスフォーマー」の成り立ちも、この「ダイアクロン」をハスブロ社提携によりアメリカで販売するに当って制作された、言わばプロモーションフィルムなのだ。

そしてそれが大ヒットを飛ばし、セカンドシリーズたる「2010」に続く訳なのだが、この「2010」では実在しない、近未来的なデザインの車両にトランスフォームするキャラクターがかなり多くなる。この原因は、ファーストシリーズでは「ダイアクロン」の金型を流用していた「トランスフォーマー」も、それ自体でオリジナルの金型を作る事が出来るようになったからであろう。その為、コンボイの名を継いだロディマスコンボイも初代総司令官のようなまんまトレーラートラクターではなくホットロディマス時の面影を残したスピードレーサー風トレーラーになっているし、チャー、アーシー、ウィリー等自動車に変形するトランスフォーマー達も、近未来風の実在しないデザインになっている。但し、実際にオモチャになった彼等は、ソノスジに詳しいサイト等によると、お世辞にも出来が良いとは言えないシロモノだったらしいのだが…。

さて、「2010」本編の話に入るが、セカンドシリーズたる「2010」とファーストシリーズの間にはユニクロン戦争…即ち「ザ・ムービー」のエピソードが入る訳なのだが、実はこの「ザ・ムービー」の日本公開はナゼかかなり遅れたのだ。その為日本版ファーストシリーズの最終回では、次回予告にコンボイに「この後私は死んでしまって…」というアナウンスをさせ、いきなり「2010」が始まってしまったのだ。つまり、劇場版ではガルバトロンを一蹴する強さを見せたものの、テレビ版「2010」での初登場はグリムロックと共に崖から転落してデストロン軍団にフクロにされるというもの…劇場版のイメージを持っていない日本の視聴者はこのロディマスコンボイの第一印象からしてもうダメダメに映ってしまうのだ。

もっとも、その存在感や仲間を引っ張っていく勇姿、そして玄田氏の野太く男らしい声…リーダーとしての資質に富み、実際にサイバトロン全員から頼りにされていた先代のコンボイ総司令官に比べ、ロディマスコンボイはどうも頼りなさの方が目立っている印象を受ける。野球選手としてのミスターとその息子一茂みたいなものだろうか、とかく「偉大なる先代」のおかげでロディマスは損をしている気がしないでもない。

ただ、それもこれも結局玩具のパッケージにある「コンボイに代わるニューヒーロー」という位置付けを確立できなかったのが原因だろう。そのせいか、宿敵ガルバトロン様もロディマスよりウルトラマグナスに敵愾心を持っていたようにも見えるし、実際中盤では司令官である筈のロディマスが不在のまま物語が進められている。なんとも…不遇な扱いだ。

更に不幸なことに、彼のライバルたる新破壊大帝ガルバトロン様の方はイヤという程キャラが立っている。劇場版の最後にロディマスに宇宙空間に投げ飛ばされたのが原因なのか、メタクロナスサーキットが切れかかっているらしく、とにかく怒りっぽい。部下すらも殴り飛ばし、破壊の事、サイバトロンを皆殺しにする事以外考えられないその姿は、メガトロン時代以上に傍若無人である。そのイッちゃってる宿敵の存在も、いよいよ持ってロディマスの不遇を決定付ける。

挙句の果てにシリーズラストを飾るのは先代司令官コンボイの復活…。しかもロディマスは他の仲間達と一緒に宇宙ペストに感染してしまい、事実上「2010」最後のエピソードであるこの2話はコンボイに主役の座を奪われている。今回もサイバトロンとデストロン(というよりガルバトロン様)の共闘によってこの前代未聞の危機を乗り越える訳だが、危機を脱したガルバトロン様が「流石のワシもお前には敬意を払おう」と握手を求めたのもコンボイ…。

…つくづく不遇な…。(泣)

ちなみに作品内容とは関係が無い余談であるが、タカラとハスブロ社の連携で進んでいるこの「トランスフォーマー」だが、どうも「2010」の時はこの連携が上手くいっていなかったらしく、ロディマスコンボイもまさかサイバトロンの司令官に納まるとは思われていなかったようで、ザコキャラ扱いで発売されてしまっている。何でも老人トランスフォーマーだと思っていたとか…。更にたった数話しか出番がなかったホットロディマスまで玩具が売られたのも、実はホットロディマスとロディマスコンボイが同一人物だと知らされていなかったからだったり、ガルバトロンもウルトラマグナスのライバル的存在として「要塞参謀」という肩書きがついていたんだとか。


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