やっぱり「電撃」だな…。

JUNK FORCE

メディアワークス 全3巻

簡単解説
西暦2100年、着実に増え続けた人口は100億人を突破し、資源の枯渇は目前に迫っていた。人類は残り少ない資源を地球再生に使うべきとする地球再生派と、火星開拓に全てを賭けようとする火星開拓派に別れ対立。やがて火星開拓派は「火星入植計画」を強行、それを止めようとする地球再生派との最終大戦が勃発する。最終大戦によって地球環境は致命的なまでに悪化、大地は不毛の地と化す。火星派は地球の環境浄化をZPT(ゼペテ)という自立システムに託し、地球を脱出。一方、地球に残された人類は逆境の中で細々と耐え忍んでいた。
30年後、地球再興の為各地で建設された都市が、謎の竜巻により消失する事件が多発。それは突如暴走したZPTの放つナノマシンが原因であった。ZPTの暴走により住むべき街を失ったライザ、ミル、ウーティ、ルイの4人の少年少女は、暴走を続けるZPTを止める為、果て無き旅を開始する。


と、いう訳で今回は「ジャンクフォース」である。私がこの「ジャンクフォース」という企画を知ったのは、「電撃ホビーマガジン」の紙面にて特集されていたのを見て、なのだが、コミックスが発売されてもこれといって音沙汰が無い…というか、別段大きく盛り上がった訳でもなくそのまま立ち消えて終わった、という印象すらある冴えない作品(企画?)である。私はコミック版しか知らないが、もしかしたらノベル等で別の展開をしていたのかもしれないが、正直、私としてはコミックス版を見てもう…お腹いっぱいになってしまい、他の展開に手を出すどころか探してみようと思う気力も無くなっていたのでこの辺に関してはどうなっているのか分からない。まぁ、原作が云々、という後書きがあったので、ベースとなった小説なりは多分あるのだろう。

先ず、最初に私が「電撃ホビー」誌にてこの作品の企画を見た時には結構な期待をしたものだった。設定的にも壮大なスケールで世界観が構築されており、架空の”ロボットアニメ”でありながら、ミリタリー色が強い「装甲騎兵ボトムズ」辺りのメカを更に近未来志向にしたようなカッコ良い戦車…しかもそれが人型形態に変形する(ココが重要!!/笑)という、個人的に琴線に触れまくるメカ設定&デザインに加え、サブメカも暴走したリサイクルマシーンやら大戦中に放置された自立型の移動要塞といった面白げな部分は多かった。更に言えば、物語の基本ラインが「バイファム」の様なサバイバル冒険モノ、というのも良かった。この企画を目にした頃は、もう「ガンダム」の様な軍隊、組織ベースでの戦いに巻き込まれる系統のロボットモノには正直飽きが生じていたので、個人的にはこの部分には強く惹かれた訳だ。

ただ…当時、というか初見の時から不安であったのが、キャラクターデザインの方…。趣味の問題ではあるのだが、詳細まで描くカリカリのリアリティ志向のメカデザインとはうって変わり、なんとも今風というのか…所謂”萌え”路線の絵だった…ココが引っ掛かっていたのだ。「天まで飛べ」の他の記事を読んだ人ならばご存知の通り、私は正直、”萌え”という実体の無いシロモノがどうも苦手だ。そんな事で、世界観、設定、メカデザインには非常に期待させられたが、キャラクターデザインの部分に個人的嗜好の問題ではあるが、引っ掛かりがあった訳だ。なんせ、企画の発端が「電撃」な訳だし。

そして実際に「ジャンクフォース」…勿論マンガ限定で見た感想と言えば…まぁ、可も無く不可も無い、割と無難な作り、というのが大まかなところだ。物語的にも石川賢ライクな「第一部、完!!(当然第二部など作られない/笑)」なんて放り投げた形では無く、キッチリと主人公達の手で物語を完結させているし、あざとく続編を匂わせるスタイルにしなかったのも好印象だった。ただ、逆に言えばワケのワカラン理不尽な打ち切りでも読ませてしまう石川マンガのようなパワーはこの「ジャンクフォース」にはない。要するに、クセはないが面白味もあんまりないのだ。

ただ、それ故にベタではあるが、冒険を終えた主人公達が新たな目標を見つける、という、「この後の彼等の活躍は皆さんで考えてください」的なモノでは割とまとまった方だと思う。物語に関して言っても、寝起きの際に「寝ぼけた拍子に起こした相手の乳房を弄る」青一点(っていうのか?)のルイやら、対児ポ法に引っ掛かりそうな人用アンドロイド・マメットのキャラクターなど、”萌え”の部分から鼻につく部分も多いが、コレに関しては飽くまで私の個人的嗜好が影響している訳だからノーカウントとしよう。「電撃」だし。

ただ…原作ではマメットの帰属システム…要はルイとライザをパパ&ママと認識している、というのはマンガ独自の展開らしいが、コレには些か逆効果になってしまった気がする。目的としては後書きにて「マメットを含めた5人を”家族”として描きたかった」とはあったが、正直コレに関しては物語の中核である筈のキャラクタードラマが”オママゴト”チックになってしまった原因でもあるのかな?とも思う。帰属システムがあるとはいえ、マメットには主人公達以前に帰属したママがいた訳で、彼女との死別を通じて主人公達一行に加わる経緯が描かれている。ただ、主人公達への帰属が”精神的ショックによるシステムのリセット”というモノであった為、いきなり主人公達とマメットの間がゼロに…親密になり過ぎてしまっているキライはある。自分を守る為に死んだ帰属ママの影響範囲もコレのせいでビミョーになってしまっているのだ。この辺を鑑みると、主人公達を「家族」として描きたかったのであれば形式上ではなく、ましてや帰属システム云々といった機械的なものでもない…精神的にマメットが主人公達の「家族」となる過程を描いた方が効果的だったのでは?と思う。形式上は家族を装っていても、何となく…オママゴトチックなのはこういった経緯を端折ってしまったのが原因なのではなかろうか。まぁ、「電撃」だからなのかも知れんが。

それから、コレも後書きにて「マンガオリジナル」のエピソードと明言されていた第9話「キャットファイト」なども…読者サービス…ギャグのつもりなのかも知れないが、それがまんま作劇上で「要らない回」になってしまってもいる。読者サービスならばこんな…取り合えず女の子脱がしてテキトーにギャグ…なんて事はやらずに、本筋をキチッとやって頂きたい。上の「簡単解説」にて書いた設定も、実のところ見開きの折込にてそういう説明が書いてあるだけで、物語で説明、言明されているとは言い難い。壮大な設定、世界観を真に読者に理解させたいのであれば、冒頭とかでそういう説明くらいあっても良さそうなのに…コレ、いきなり最初のページがライザのシャワーシーンとミル&ウーティの寝姿…。この時点で、壮大なスケール感というのは何処かへすっ飛んでしまった気がする。

世界観に関しては、あの設定なぞあってない様なハチャメテャな世界観の「北斗の拳」ですら冒頭に説明を入れている(だが人類は死滅していなかった、って奴ね)のに、世界観及び設定がウリの一端である筈の「ジャンクフォース」でコレは無いんじゃないか?と。可愛い女の子キャラクターを脱がせたり乳モミハプニングさせたりするのもファンサービスの一端ではあるとは思う。勿論その手法が良いかどうかは各人の嗜好次第になる訳だが、せめてそういうドタバタギャグとかがメイン等というのならともかく、ウリとなりえる世界観を提示しているような「物語」という形態をとる作品であるなれば、本筋をキチッとやった後にそういうサービスをして欲しい。本筋が消化されないうちに”読者サービス”されるというのは、コース料理でオードブルの後にメインすっ飛ばしてデザートを何品も出されるようなもんだ。幾ら読者に”そういうネタを支持する層”が多いであろう「電撃」とはいえ、コレはどうなのだろう。

そもそも、このマンガを読んで受けた最初の私の印象は、結局の所「萌えマンガ家が個人的趣味のSF的物語をネタにして一本書きました」というモノに過ぎなかった。まぁ、「電撃」だしそういった部分に力を入れるのは分かるし、別に設定のみが物語の全てだとは私は思わない。マンガやアニメに限らず設定はちゃんとしている風なのに結局はドラマ部分で穴だらけ、なんて作品はそれこそ掃いて捨てる程ある。この辺、若年層のオタクには中々分かってもらえない部分でもあるのだが、設定だけで物語は成立せず、設定の完成度だけで作品の価値が決まる訳では断じてない。但し、「ジャンクフォース」の場合は広げた世界観というフロシキを、中身を見せる事無く畳んでしまった…そんな感じがする。それが「電撃」らしさと言えばそれまでだが。

折角の設定がそれこそ「ジャンク」にされてしまった、「ジャンク」として片付けられてしまった、という印象があるのだ。SFの威を借りて萌えやるのも結構、ドラマや世界観など放置してキャラクターの可愛らしさで売るのも結構、だが、ちゃんと作ってよ、とは思うし、願ってしまうのがファンという奴だろう。この「ジャンクフォース」にしても、嫌な言い方だが

世界観とかメカ、設定を細かくやっといて、可愛い女の子をテキトーに脱がしたり乳を揉ませつつテキトーにハートフルなドラマやっとけば、設定なんか端折っちゃってもオタクは自分から勝手に「アノ部分が感動した」「ただの萌えじゃない」なんて持ち上げてくれるから良いんだ。

なんて思われている様で釈然としない。そんなにオタクってバカじゃないと思うぞ。だから「ジャンクフォース」は然程盛り上がる事無く終わったんだろうし、そもそも乳揉ませたり脱がせたりした所で、そんなもん今の世の中エロ本とかエロビデオ、エロマンガを見る方が実用的(笑)なんだ、という事は、クリエイター側にこそ理解しておいて頂きたいぞ、と。サービスだけじゃ、いい加減マンガはもう成り立たないんじゃないか?

まぁ…しょうがねぇか。「電撃」だしな。


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