合体のインパクトで物語は忘却の彼方…。

J9シリーズ
銀河旋風ブライガー


1981年 全39話 国際映画社 テレビ東京系放送
声の出演:塩沢兼人、曽我部和行、森功至、麻上洋子、八奈見乗児、他

簡単解説
「夜空の星が輝く陰で、ワルの笑いが木霊する。星から星に泣く人の、涙背負って宇宙の始末。銀河旋風ブライガー、お呼びとあらば即参上!!」
時代は2111年、「ブラスター・キッド」「スティーブン・ボウイー」「エンジェルお町」の3人を集めて「かみそりアイザック」が結成した、泣く子も黙る宇宙の始末屋「コズモレンジャーJ9」。彼等のイキな活躍を描く。

銀河烈風バクシンガー

1982年 全39話 国際映画社 テレビ東京系放送
声の出演:塩沢兼人、曽我部和行、森功至、麻上洋子、八奈見乗児、他

簡単解説
「J9って知ってるかい?昔、太陽系でイキに暴れまわっていたって言うぜ。今も世ン中荒れ放題、ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ。どっちもどっちも…どっちもどっちも!!」
局長「ドン・コンドール」以下「ビリー・ザ・ショット」「もろ刃のシュテッケン」「かっ飛びの佐馬」「不死鳥のライラ」の5人を中心とする「銀河烈風隊」。太陽系動乱の時代に一旗上げようと立ち上がった若者の集団である。

銀河疾風サスライガー

1983年 全43話 国際映画社 テレビ東京系放送
声の出演:塩沢兼人、曽我部和行、森功至、麻上洋子、八奈見乗児、他

簡単解説
新太陽系最大のシンジゲートのボス「ブラッディ・ゴッド」に新太陽系の50の惑星を1年以内で全部回るという一世一代の賭けを挑んだ「I・C・ブルース」。「抜き打ちロック」「おとぼけビート」「気まぐれバーディ」の仲間達と「JJ9(ダブルジェイナイン)を名乗り、新太陽系一周へと、ドデカイ賭けの旅に出た。


1980年の「くじらのホセフィーナ」を皮切りにアニメーションに参入した国際映画社が、1981年に放映した初のロボットアニメが「銀河旋風ブライガー」「銀河烈風バクシンガー」「銀河疾風サスライガー」の3作品からなる通称「J9シリーズ」である。このシリーズは諸外国の科学者によって提唱された宇宙理論をベースとした「スペースオペラ」(言い過ぎかも)的な要素と、従来のロボットアニメの「勧善懲悪」のスタイルを持ったユニークな作品であり、それぞれブライガー=「必殺仕置人」、バクシンガー=「新撰組」サスライガー=「80日世界一周」をモチーフベースとしていることで有名である。そして何と言っても特筆すべき点は、小松原一男氏のデザインによる「イキ」なキャラクター達が女性層を中心にヒットを飛ばしたことであろう。

この「男の子」よりむしろ「女の子」の方が夢中になった作品としては、ちょうど「ブライガー」と同時期に放送されていた「戦国魔神ゴーショーグン」や「六神合体ゴッドマーズ」、1978年の故・長浜忠夫監督の「闘将ダイモス」、最近では「魔法騎士レイアース」等が挙げられるだろうか。

しかしこれらの作品と「J9」のヒットした要因はかなり異なったものと言える。まず「ダイモス」はロボットアニメで初めてガチンコで「恋愛」をメインテーマに据えた点が女性層に受け入れられた。そして「ゴーショーグン」「ゴッドマーズ」の2作品は「レオナルド・メディチ・ブンドル」「マーズの兄マーグ」という美形キャラクターに人気が集中した為であり、この2大キャラクターはソノスジのメディアでは散々「やおい」のネタにされていたという。そして「レイアース」に関しては元々少女漫画雑誌「なかよし」に連載されていた作品なのだから当たり前と言えよう。(一部の大きいお兄さんも夢中になっていたらしいが…)

それに対しこの「J9シリーズ」は特別な女性層向けの設定が成されていた訳ではない。では、何故女性層にも受け入れられたのだろうか?

この「J9シリーズ」の主人公は大人、しかも単身ではなくグループである。この主人公は銃を得意とする優男を塩沢兼人氏、リーダー格のキャラクターを曽我部和行氏、おとぼけムードメーカーを森功至氏、紅一点のグラマー美女を麻上洋子氏というメンバーがシリーズを通して担当しており、彼等が見せる軽妙でアダルトチックなセリフ廻し、つまり「イキ」な雰囲気が非常に新鮮だったのだ。こういった「子供が憧れる大人の世界」というモノを上手く作品の味として打ち出していたのだ。これはルパンと不二子ちゃんの「着かず離れず」の関係や、アダルトチックでハードボイルド的なキャラクター演出で、「機動戦士ガンダム」と並び未だに新作や関連商品が売れ続けている傑作アニメ「ルパンV世」と同じようなイメージであろう。

そういえば「J9シリーズ」の主人公達もルパン一味と同じく「スネにキズ」がある連中であった。この「シャバから一歩踏み外してしまったアウトロー」というキャラクター設定も人気を支えていた要因の一つであろう。

そしてこの作品で忘れてはならないのが「お呼びとあらば即参上!!」や「J9って知ってるかい?」というイキなナレーションで始まる山本正之氏の趣味丸出しのギターサウンドで印象に残るオープニングアニメと合体シーンである。この「J9シリーズ」は3作とも非常に鮮烈な合体シーンを見せてくれる。特に「ブライガー」「バクシンガー」はナレーション中は画面奥を流れている一筋の光がイントロが始まると同時に画面手前へグワッと迫って来てそれが主役ロボットの止め絵となるというインパクト絶大のものであった。

ちなみにこの「J9シリーズ」の主役ロボットはデザイン的に見るとなんとも冴えないメカであり、リアルロボットが台頭を始めた当時としては唇を持つその顔は「ダサい」というイメージが強かった。「ブライガー」に至っては手が3本指というオマケ付きである。今でもメカデザインから来る先入観から作品そのものにも拒絶反応を起す向きも少なくない。それなのにこのオープニングアニメは無性にカッコ良いのである!!

「タイムボカン」で見せたほのぼの系路線とは違い、趣味丸出しのバリバリロックンロールでギターをギュンギュン鳴かせるサウンドは作品の持つ世界観にマッチしていたし、高い水準の作画も相俟って目は釘付け状態になってしまう。本編は見なくてもオープニングだけは欠かさず見ていたという奇特な御仁もいたくらいである。それほどこのオープニングアニメは高い完成度とクオリティを持っていたと言えよう。

そして合体シーン。このシリーズは「シンクロンマキシム」という合体変形システムの名前が設定されているが、「ゲッターロボの合体」と同様その説得力は皆無である。何せ「ブライガー」では自動車型の「ブライサンダー」が小型の宇宙船「ブライスター」に巨大化(!)していき、更に巨大化変形してロボット型の「ブライガー」となるのだ。

このシステムは続く「バクシンガー」では更に凄まじくなっており、銀河烈風隊の乗る5体のバイク(!)が巨大化して合体変形していくのだ!!この迫力といったら凄まじく、バイクと共に巨大化した主人公達を内部にすっぽり飲み込んでしまうシーンは驚きを通り越して唖然としてしまうだろう。こういった遊び的演出が何ともカッコ良く、アニメであることを最大限に生かした有数のユニークな合体シーンといえるだろう。

未見の方は、このオープニングと合体シーンだけでもチェックして欲しい。本編のストーリーを忘却の彼方に飛ばしてしまう程のインパクトだから…。


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