「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」より 第17話「クモの巣惑星」

タカラの二大オリジナルトイ「ダイアクロン」と「ミクロマン」を海外で発売する際、タカラとハスブロ社が両者を統合する形で作り上げたのがご存知「TRANSFORMERS」である。
何かに書いてあったのだが、今現在出荷されたトランスフォーマー関連玩具と地球の全人口から算出すると、世界で3人に1人はトランスフォーマーの玩具で遊んだ経験がある計算になるんだとか。海外でも「ボットコン」なるイベントが開催されたりと世界中で愛されている事を鑑みれば、3人に1人、という数値には多少のブラフがあると思われるがなんにせよ根強く支持され続けているシリーズと言えよう。そんな中、「2010」はテレビアニメシリーズとして第2作目となる訳だが、当時を知るファンによると、初代シリーズと「2010」を繋ぐ劇場作品が日本で公開されなかったりとタカラとハスブロ社の連携不備によるズレが強かったんだそうで…。

エピソード解説
ガルバトロンの異常な凶暴性に手をやいていたサイクロナスは、治療を行うべく惑星にトーキュロンにガルバトロンをだまして連れてくる。トーキュロン人の治療にあたるが、その凶暴な性質には手を焼き、いかなる治療法も効果が無かった。トーキュロン人は最後の手段として、惑星そのものである中枢コンピュータにガルバトロンをつなぎ、その凶暴な“心”を消し去ろうと試みる。しかし、コンピュータのアクセスもガルバトロンのすさまじい狂気の前に、コンピュータ自体が反応してしまい、壊れてしまうのだった。自由を勝ち取ったガルバトロンは惑星を徹底的に破壊してゆく。もはやガルバトロンに従うほか無いサイクロナスだった…。

さて、上記した様にこの「2010」は日米共作の形で作られているアニメなのだが、タカラとハスブロ社の連携がおかしかったらしい。ホットロディマスとロディマスコンボイが同一人物だと知らされていなかったり、当初新破壊大帝ガルバトロンがウルトラマグナスのライバルと思われていて肩書きも「要塞参謀」だったり…。更に日本で「ザ・ムービー」が公開されなかった事もファンの混乱に拍車をかけている。

そんな中、「ザ・ムービー」で戦死したコンボイに代わる新司令官・ロディマスコンボイは、初登場からしてグリムロックと一緒にガケから転がり落ちてデストロン軍団にフクロ叩きに遭うと言う冴えないモノ…。「ザ・ムービー」のラストで、ガルバトロンを宇宙の彼方に投げ飛ばす勇姿を知らない日本のファンにとって、ロディマスコンボイとの最初の出会いである第1話からコレでは…。ロディマスコンボイに対する「情けない」という印象は、何も頼りになる先代リーダーとの比較論だけでなく、こういった演出面からも来ているのではないだろうか。とにかく、コンボイを敬愛しているファンには彼は特に評判が悪い様だ。もっとも自らの責務の重さに悩む…等身大としてのヒーロー像がロディマスの個性でもあり、魅力の一端である事も事実なのであろうが。

さてその一方、敵側…即ちデストロン側の新リーダー・新破壊大帝ガルバトロンの方はというと、作中でもトップクラスのインパクトを誇る名物キャラクターとなっている。彼は「ザ・ムービー」でのコンボイとの決闘によって重傷を負い、スタースクリームによって宇宙に投げ出されたメガトロンがユニクロンによって転生した姿なのだが、腕っ節のみならず、類稀なる策略家としての資質にも飛んでいたメガトロンの狡猾さが何処かへすっ飛んでしまい、ひたすらに破壊と殺戮を求めるキ○ガイとなってしまっているのだ。

相変わらずのチームワークで事に当るサイバトロンに対し、デストロンの場合は悪の帝王メガトロンと彼への反逆を目論むスタースクリームという構図があった訳だが、「2010」の場合は暴君ガルバトロンに対し副官的位置付けのサイクロナスやスカージ達が散々振りまわされる、という構図に成り代わっており、彼等のやり取りはメガトロンとスタースクリームのそれと同じくらい面白く描かれている。その代表例というのがこの「クモの巣惑星」のエピソードだ。

このエピソードでは、ガルバトロンのあまりの傍若無人ぶりに手を焼いたサイクロナスが、クインテッサ星人にそそのかされてガルバトロンを精神病院惑星・トーキュロンに入院させてしまう、という話なのだが、そこの医師の診断結果は

この者は現実認識の能力が欠けていて歪んだ憎悪がそれに拍車をかけている。
プラズマ回路にどこか異常があるようだ。
「とにかく怒りっぽく行動も一定していない。
プラズマのアンバランス。
メタクロナスサーキットが半分切れかかっておる。怒りっぽく理性に欠けておったのも無理ないな。

と、散々なもの…。
そして問診形式のカウンセリングでは、医師に「心に浮かんだ言葉を言って見ろ」と言われてガルバトロンが答えたのは

「殺せ!!ぶっ壊せ!!破壊しろ!!」

更に続ける様言われると、今度は

「引き裂け!!殴れ!!踏み潰せ!!」

…最近色々とウルサイから、コレもう今となっては再放送出来ないんじゃ…と心配になってくる程のキ○ガイっぷりだ。更に続けて「細かいものを組み立てると言う行為によって傷ついた精神が癒される」と細かい機械の組立作業をやらせるのだが、そこで「ええ〜い、なんでワシがこんな事を…」等と文句を言いつつガルバトロンが作ったのは光線銃!!当然今までの怨み晴らさずに置くべきかとでも言わんばかりに組立てた光線銃を撃ちまくって大暴れ…こ、この人は…って、トランスフォーマーだが。(苦笑)

遂には治療の最中暴れ出す彼を大人しくさせる為に使っていた麻痺光線にも免疫が出来てしまったらしく、

「サイクロナス!!もう許さんぞ!!殺してやる!!」

と叫びながら大暴れして手がつけられない。業を煮やした医師は最終手段…惑星トーキュロン全体を構成するコンピューターをガルバトロンの脳に直結してガルバトロンの人格ごと消してしまおうとする。止めに入ったサイクロナスまでも拘束し、「次はお前達だ」とのたまう医師達…ああ、コイツ等もキチ○イだ…。(笑)

流石にガルバトロンもココまで来ると恐怖したらしく、「た、助けてくれぇ〜!!」と珍しく弱気な姿を見せてくれるのだが、それも束の間、突如トーキュロンの大地が裂け、惑星全体が震え出す…そう、ガルバトロンの狂気に、逆に惑星のコンピューターが耐えきれなくなってしまったのだ。そして晴れて自由の身になったガルバトロンはサイクロナス達をボコボコにしてしまった挙句、トーキュロンを完全に壊滅に追いやってしまう。

壊滅状態の惑星トーキュロンに、破壊大帝の声が木霊する。

「誰もワシを止める事は出来んぞ!!ワシはガルバトロン!!宇宙一の破壊大帝なのだ!!」

いや、ワタクシもこれからは「ガルバトロン様」と呼ばせて頂きますです、ハイ。(笑)

オタク的視点によるポイント
1.エピソード自体はかなり破天荒でムチャクチャなこの「クモの巣惑星」だが、実は意外にトーキュロンの医師が行った治療には案外リアリティがある。実際にもカウンセリングは言わずもがなで、精神治療の一環として軽作業…積み木や絵を書いたりするというのは良くあるらしい。もっとも逆に言えばこういった細部にリアリティを持たせる事で、いくらロボット生命体と言えども「修理」ではなく「治療」なんだ、という部分の違和感を軽減しているのかも知れない。

2.「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010」には、ファンの中で伝説となっている惑星三大シリーズというのがあるらしいのだが、今回の「クモの巣惑星」もコレに含まれている。冒頭にしかサイバトロンが登場しないという異色さも然る事ながら、ガルバトロン様という人格(いや、トランスフォーマーなんだが)を象徴する非常に「らしい」エピソードである事が大きいだろう。「2010」と聞くとこのエピソードを挙げる人は少なくない。

3.このエピソードでは散々ガルバトロン様に振り回されてしまうデストロンのスーパーサブ・サイクロナスは、「ザ・ムービー」で傷ついて捨てられたデストロン戦士がユニクロンによって転生した姿な訳だが、「ザ・ムービー」と「2010」ではその印象が大幅に異なる。
余談だが、「2010」のサイバトロン側サブリーダー・ウルトラマグナスも形式に囚われない若き司令官に唖然とするようなシーンが多々あり、本作の場合サイバトロン、デストロン共にサブリーダーは苦労人として描かれている。彼が宇宙ペストに感染した際、「ヒヨッ子ロディマスゥゥゥッ!!」とロディマスばかり執拗に狙ったのは、やっぱり日頃の鬱憤が原因か?

4.惑星トーキュロンでの医療費は健康保険が使える。但し、永久治療になると意識ユニットを支払わなくてはならない様だが…健康保険って…。(笑)
ちなみにガルバトロン様は健康保険に未加入なので、支払いは現金。


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