100選クローズアップ編 その6 2012/08〜2012/11


2012/11/24 恋愛ラボ」(819)、「みそララ」(854)、「僕らはみんな河合荘」(769)

今日、夜ちょっと買い物に出た際にラジオで田中みな実アナがゲストの新タアナが結婚した馴れ初めを聞き出す際に、自身の理想のプロポーズシチュエーションを語っているのを耳にしまして…アイタタタタタ…漫画とかでありがちなロマンチック妄想だよな、なんて苦笑いしてしまったのですが、この手の恋愛妄想をネタにしたのが、今度アニメ化するらしい宮原るり先生の「恋愛ラボ」です。今回はアニメ化記念、という事で宮原先生の作品について一考するとしましょう。当然ネタバレありますのでアニメを見るまで情報をシャットアウトしたい人は回れ右、という事で。

ちなみに「恋愛ラボ」という作品の概要は、名門お嬢様女子中学校「藤女」で生徒会長を務める真木夏緒(以下マキ)は清楚な立ち振る舞いと容姿から「藤姫様」の異名を持つ美少女だが、実は生徒会室で日夜痛い妄想を実現する為の恋愛の練習をしている…という意外な一面があった。
お嬢様学校に似つかわしくないサバサバした男前な性格から密かに「ワイルドの君」と呼ばれる倉橋莉子(以下リコ)は、ある日マキが痛々しい恋愛練習をしているのを目撃してしまう。彼女に的確なツッコミをしてしまった為にリコは「モテモテで恋愛経験豊富」と誤解されてしまい、何もしなくていい事を条件に「会長補佐」なる役職で生徒会に入れられてしまう。紆余曲折で2人の先輩で副会長のエノと守銭奴な会計サヨ、ドジっ子な後輩の書記スズ…果てまた新聞部も巻き込んで「恋に恋する乙女達」の物語が幕を開ける…とまぁ、こんな感じ。

…本来のターゲットは題材が題材ですから恐らく中高生の女子、なのでしょうが、キャラクターの個性分けが見事なので、他のアニメ化した女の子グループを主として描く4コマ漫画と同様の見方もできる作品です。私含め、既に男のファンも結構多いんですね、ええ。

で、今回の注目ポイントですが、それは「髪型」…いや、コレは「とある〜」の初春みたいな変な娘がいる、とか、スネオとかジョーの様にどんな形しているのか分からない、…という様なネタ的なモノではなく、やたら頻繁に髪型を変えているキャラクターがいる、という点。誰?と言われればリコなのですが、ちょうど良いのがあったんでコチラを(3巻までですが)

http://idukidiary.blog6.fc2.com/blog-entry-412.html

いや、コレは別にキャラクター作りに迷走して…とかではなく、そのキャラクターがお洒落に気を配っているんですよ、というアピールなのでしょうね。特にリコというキャラクターは名門お嬢様学校では異端な、「らしくない」キャラクターですから、典型的お嬢様なマキや他のキャラクターとの明確なキャラクターの違い、という事でやってるんでしょうな。
むしろキャラクター的には髪型とかに関して言えば、ある程度固定してしまった方がキャラ立ちする…というかキャラクターイメージが立ち易いので楽な筈。勿論作画の上でもそうでしょう。髪型を変えるにしたって、それで今まで意識していなかった異性が…なんて物語に絡める場合もありますが、本作の場合は違いますね。中学生の女の子…お洒落や恋愛に興味が向き始める世代な訳でね、ただ学園モノという事で制服とかではそういった部分を出し難い訳です。そこでリコの変わる髪型、という事に行きついたんでしょうね。勿論、リコ以外のキャラクターがお洒落に無頓着なのか?というとそれは違う訳で、そういったものは彼女等が私服を見せるエピソードで顕著です。

こういう描写、作者が女性だからこそ…なのかな、という気がしますね。多分作者が男ですと、そういった描き方は出来ない…というか、そうするまでに至らないかも。せいぜい表紙絵とかでちょっと違う髪型を見せたり、とか、寝ている時とか浴衣になった時とかその程度になってしまうかと。

結果コレ、成功だと思います。こういった細かい部分が生きているからこそ、劇中の彼女達が自然に生き生きとして映るのでしょう。

ちなみに同じ作者の「みそララ」という作品…この2作品は世界観を共有してまして、「恋愛ラボ」のスズの兄や姉がコチラの方のメインキャラクターとして登場する他、リコやスズ、新聞部の2人がゲストとして登場したりしている作品なのですが、コチラでも主人公の麦田美苑がリコと同様髪型がよく変わります。

コチラはデザイン会社を舞台としており、社会人のあるあるネタみたいなものもあるのでメインターゲットは「恋愛ラボ」よりちょっと上でしょうかね。リコ程頻繁、かつ大胆には変わりませんが、髪留めとかヘアゴムとかがエピソード毎に違っていたりします。この辺も妙齢の大人の女性、として有効に生きているかと。

ただ、もう一本の「僕らはみんな河合荘」の方は、そうでもありません。一応そういった描写のあるキャラクターもいますがあまり前面には出てこないキャラクターですし、ヒロインもショートで、トドメにあまりお洒落とかに興味がある風でもなさげなので、この手のやり方で変化をつけ難いのかも。それ以前に、「恋愛ラボ」や「みそララ」は主人公が女性で読者ターゲットも本来は女性向けの4コマであるのに対し、「河合荘」はヤング系男性向け漫画誌に連載している男が主人公のストーリー漫画なので、描き方も変えているのでしょうね。「恋愛ラボ」と「みそララ」は強くリンクさせてますが、「河合荘」はジェット☆ルシファー☆力士くらいなものですしね。

そういう訳で、3作品とも面白いのでこの記事で興味出たら是非読んでみて下され。


2012/10/27 「高杉さん家のおべんとう」(553) 第六巻

実はこの巻が発売されるちょっと前に、「高杉さん家のおべんとう もふーってなるHappyレシピ」という本が発売されています。タイトルで分かる通り、このマンガで今まで登場した弁当ネタのレシピ集なのですよ。

今までも漫画の中でネタとして使われる料理には簡単なレシピが紹介されてはいたのですが、実際に作る、となると説明がやや足りなさそうでしたし、それに描かれた絵より、実際に調理されたものの写真の方が完成形が分かって良いですよね。

私は料理なんてロクに出来ない(せいぜい味噌汁程度で本格的な自炊など到底無理)ので、本来コチラの本はスルーするつもりだったのですが、母に「こんなんあるんだよ」とプレゼントした所大変喜んでました。最近身内や家族のトラブルで滅入っていたので気分転換にはなった様です。ホントなら彼女にでもプレゼントしたい所なのですが、生憎私にゃそんなものおりませぬ。(苦笑)

けれども、案外プレゼントとかにも良いかもしれませんよ、コレ。

…で、今回の六巻ですが、ついに始まった久留里ちゃんの高校生活がメイン…つまりは「新しい環境でのスタート」というのが主題がある訳ですが、その一方で「今までの清算と終焉」というものも間違いなく今回の主題であるかと。

それは勿論、小坂さんとハルの関係。この巻、構成としては8割方が久留里ちゃんメインのエピソードな訳ですが、残りの2割は小坂さんがメイン。でも物語としての比重はコレでトントンという具合になっているのです。

特筆すべきはやはりこの巻のハルの鈍感ぶりです。毎回後書きに作者にも「残念」呼ばわりされてしまっているハルですが、今回この残念っぷりが際立っています。いや、もうストレートに鈍感っぷりが、もう読んでいてイラッとする位に。

言動自体はもしかしたら今までの巻と大差ないものな気もしますが、それなら何故彼の言動に苛立ってしまうのかと言うと、前巻での小坂さんの久留里ちゃんへの宣戦布告…コレが刷り込みとしてあったからなのかも知れません。

ともあれ、今回の小坂さんの一件でいやがおうにも久留里ちゃんとの関係を再度考えさせられる事になるであろうハル…空港で流した涙が10年後「苦く思う」になるか「甘酸っぱく思えるか」は彼の行動次第、でしょうね。彼(と久留里ちゃんに)「一緒に暮らすための約束をいくつか」の様な派手な着地は…まぁ期待できないでしょうがね。(笑)

ただ、今回は難点が一つ。物語を牽引するキーワードであった「お弁当」分がこの巻は非常に薄口になってしまっています。最も1巻から続いてきたものの決着と、次なる展開の序章が重なっている為にどうしても物語自体を大きく動かす必要があり、「お弁当」の部分にまで廻しきれなかった部分はまぁ、あるかも。ただ今回の件でハルは彼にとって貴重なお弁当の相談相手であった小坂さんを失ってしまった訳で、この部分をどうフォローするのか、気になる所ですね。この漫画、作られるお弁当が物語に上手い形でシンクロしていてそこが魅力の一つなので、このまま「お弁当」の部分をフェードアウトはして欲しくないですよ、ええ。

余談ですが、今回株を上げたのは丸宮兄こと元君でしょうな。彼の突拍子もない行動に唖然としてしまった小坂さんですが、きっと悪い気はしていない筈。特にハルとの一件の直後ですからね、「こうかはぜつだいだ」でしょ。(笑)

さー、次巻は来年の春かな?今から期待して待つこととしましょう。


2012/9/23 マイナー競技で帰ってきたスポ魂特集

最近、特保飲料のキリンメッツコーラのCMで、丹下段平が登場している訳ですが、段平の声を当てていた藤岡重慶氏はずいぶん前に亡くなられているので、どうやって声当ててるんだろう…と思っていたのですが、コレ、お笑いコンビ・ガンリキの佐橋大輔という人がモノマネで声当ててるんですねぇ。台詞廻しとか、藤岡さんの当てた段平そっくりだと思います。ちなみに藤岡さんは「西部警察part1」でベテランの谷刑事役を演じてる人ですよ。

さて、「あしたのジョー」と同じく梶原一騎氏原作の「巨人の星」がAUのCMに使われていて…正直コッチは個人的に不快に思っちゃってる訳ですが、「巨人の星」ネタとしてはもう一つ、インドでリメイクされるって話題がありますね。でも、コチラは野球ではなくクリケットという競技でリメイク…という事になってます。と、いうのも野球は日本やアメリカでは花形とでも言うべきメジャースポーツですが、ヨーロッパやその他の知識では然程知られていないし競技人口も少なかったりします。オリンピックの種目から外れたのもそういう様な経緯でしたし。

一方、クリケットは日本ではマイナーですが、世界的には超が付くほどメジャーなスポーツで、一説では競技人口はサッカーに次ぐ数とも言われています。

…で、ココからが本題。
最近、漫画界でもマイナースポーツに着目した作品を結構目にします。今回はそういったモノでコイツに注目!!というのを集めてみました。

「BaggataWay」(711)…女子ラクロス
アニメとかラノベ、漫画なんかだとヒロインや友人がラクロス部に所属している…なんて設定でよく使われてますが、その割に「どういうスポーツなの?」という部分は知られていない気がしますね。実は劇中でも言われている通り「地上最速の格闘競技」と呼ばれる程激しいスポーツ(といってもコレは男子ラクロスですが)だったりします。
作品の中身ですが、努力、根性、熱血なスポ魂的要素を現代的に昇華した、非常に爽やかな青春モノになってますが、爽やか友情路線一辺倒ではなく、熱い部分も多々あるのが好ポイント。キャラクターも皆魅力的です。
扱うのが女子ラクロスで、一部「ラノベかよ!?」な設定もあるので一見あざとそうな印象があるかも知れませんが、読めば納得のスポーツ漫画。主人公サイドだけでなく、相手チームの「負けられない理由」とかも色濃く描かれるので試合シーンが非常に熱い作品です。競技の描写もスピード感が上手く出てます。
個人的には今回紹介する中ではイチオシかな、と。

「あさひなぐ」(712)…薙刀
「全国書店員が選んだお勧めコミック」で9位にランクした作品で、書店やネットでプッシュされているケースも多い作品なので知っている、読んでいる人も多いかも。題材は、テレビゲームやアニメで使うキャラクターが結構出てくる割に、詳しいルールとかは知られていない薙刀ですね。
コチラは文系の運動オンチ少女がひょんな事から薙刀部に入ってしまい、一念発起して…というモノですが、コチラは古典的とも言うべき努力と根性を前面に押し出した作風と言えるかと。主人公が文系の運動オンチ、という事で、競技との出会いでいきなり才能開花!!…という形ではなく、努力に努力を重ね、苦悩しながらも少しずつ強くなっていく…というのが堪らなく魅力的。禅寺での薙刀修行なんか、まるで香港アクション映画の傑作「少林寺三十六房」の様です。

「カバディ7」(747)…カバディ
古今東西でマイナースポーツをお題にしたら必ず出てくるであろう、インド発の珍スポーツ「カバディ」が題材。でも実はカバディが漫画の題材となったのは本作が初めてでは無かったりします。(昔、スピリッツに「カバディ一直線」なる漫画が連載していました)
ただ本作の場合、中盤以降はセパタクロー、べタング、フライングディスク、スポーツ吹き矢…といった、マイナースポーツが大挙して登場し、カバディで戦う…というカオスな展開に。一見冗談としか思えない内容ですが、コレが実に熱く、バカバカしいのです。
作風はスポ魂モノというよりむしろ島本漫画風。大真面目に馬鹿をやる、という典型的なスタイルで、醒めちゃう人も多いでしょうが、ハマる人は徹底的にハマるタイプの作品。作中にて引用される有名人の格言も高杉晋作から中川翔子まで幅広くなってます。

「BUTTER!!!」(680)…社交ダンス
根暗なオタク少年と、ヒップホップに憧れる元気娘が何故か社交ダンス部に…という作品。言わば「芸能界社交ダンス部」みたいなノリと思えば分かり易いかも。劇中にダンスシーンがあったりダンスを題材とした作品は幾らでもありますが、社交ダンスの部活がメイン…というのは珍しいかと。
中身は努力や根性を前面にした作風ではなく、社交ダンスや部活そのものを通じてパートナーや仲間とぶつかり合い、成長していく姿を描く…というモノ。そういう訳で練習シーンよりも日常シーンの比重が大きく、ダンスシーンも結構おざなりというか、スピード感とかリズム感がイマイチなのが残念。まぁ、絵柄が少女漫画チックなものなので動きのある描写自体が苦手なのかも。
ただ、群像劇というのは言い過ぎですが、各キャラクターがゆっくりと成長していく様が丁寧に描かれているのは好ポイント。このキャラクター同士のぶつかり合いは掛け値なしに面白いです。今後、ダンス部の面々が協議会にも参加するようなのでダンスシーンにも力を入れて行って欲しい所。

「ナナマルサンバツ」(737)…競技クイズ
題材が「クイズ研究部」であるからして、スポ魂モノ…という様なジャンルには本来入らない作品ではありますが、その手法は紛れもなく体育会系の部活モノです。言わば知力のスポーツを題材とした作品、といった所でしょうか。
中身は、本の虫の少年が高校の新入生歓迎会の際、クイズ研究会の早押しクイズ大会に参加させられ、そこで早押しクイズの奥深さを知り、大会で隣に座っていたクラスメイトの美少女に誘われ研究会に入会、そこで競技クイズにのめり込んでいく…というモノ。ほら、導入部は完全に体育会系部活漫画の手法ですよね。他にもライバルキャラの登場とか、スポーツ漫画的な要素が多い作品なのです。
この作品の場合、面白いのが競技クイズというものの構造や仕組みが解説されている、という点。最近は減りましたが、一昔前は掃いて捨てるほどクイズ番組とかがあって、「アメリカ横断ウルトラクイズ」とか「高校生クイズ」とかありましたが、そういったモノを見ていた人には非常に面白く思える作品かと。

で、今回はまだ「100選」で未紹介の作品も2点ご紹介。

「ガズリング」 才谷ウメタロウ…バドミントン
バドミントン自体は決してマイナーな競技ではありませんが、メジャーなスポーツの割に、あんまり漫画の題材としては使われていない気がするので紹介。まぁ、少女漫画作品では結構あるみたいなんですが。
この作品、上で挙げた「バガダウェイ」の作風、キャラ配置は「あさひなぐ」に近いのですが、セクハラまがいの事を仕掛けるコーチが出てきたり、主人公達のユニフォームがスカートタイプ(現実でのバドミントンでもコチラは主流になりつつあるとか)だったりという要素もあったりします。作者は本作がスポーツモノ初挑戦、という事で、何となくコマからもそういった部分が垣間見えてしまう部分は無きにもあらずですが、頑張って欲しい作品です。
で、本作で一番面白いのが連載誌が「漫画TIMES」である点。この漫画誌、ヤング系漫画誌より対象年齢が高く、ライバルは「ゴラク」とかその辺の雑誌。本作の内容を考えるとかなり異色かも知れません。どう考えてもヤング系漫画誌に連載されていそうな作風ですからね。

「スピナマラダ!」 野田サトル…アイスホッケー
北海道を舞台とした高校アイスホッケー漫画。私がガキの頃は、スポーツニュースで実業団のホッケーの試合結果が流れたり、テレビ放送があったりもしたのですが、最近あんまり見ませんね。本作はごく簡単に解説すると、「バガダウェイ」の主人公が男でラクロスがアイスホッケーになった漫画、といった感じ。男が主人公なのでコマから感じるのも爽やかではなく暑苦しい汗臭さで、見た目も荒々しく泥臭くなってます。でも共通点というか、似た部分が多い作品なんですよ、ええ。しかもコチラはその男臭さ、泥臭さが何とも「古き良きスポ魂への郷愁」をくすぐる作風に繋がっているのですね。試合シーンもスピード感や力感が感じられる迫力あるものになってます。
主人公は元々フィギュアスケートの選手で、しかも金銭的問題から双子の妹からその道を奪ってフィギュアをやっていた、という経緯があり、それなのにアイスホッケーに走ってしまう主人公…という点でメインであるホッケー以外の部分でも盛り上がりがありそうなのが今後の見どころかも。

…さて、こんな感じで現代に進化したスポ魂作品達を紹介してみましたが、どれも方向性は違えど「熱さ」を持った作品です。ぬるーい日常系漫画やアニメに飽きた方、最近涼しくなってきた事ですし、秋の夜長をこれらの作品で各主人公達と共に汗水流すのもオツですぜ。


2012/9/21 「我妻さんは俺のヨメ」第二巻(770)

一巻の時、「何だかamazonで品切れになってたので気になって読んでみた」という様な事を書いた本作ですが、何と、マガジンSPECIALから少年マガジンへ移籍した訳です。9/19発売の奴からでしたか。
で、コレを期に、この「我妻さんは俺のヨメ」がもっと知られれば良いなぁ…と思うのですよ、ファンとしては。そういう訳で、二巻の感想を兼ねてちょっと解説をばやってみようかな、と。

高校ニ年生の主人公・青島等は偶発的に未来にタイムスリップしてしまう体質になってしまうが、そこで見た自分のヨメは、クラスメイトで学校のアイドル的存在の美少女・我妻さんだった。

…と、スジを書いてしまえば単純明快な作品で、青島君にとってはタイムスリップ先での我妻さんとの新婚生活というのはもう、完璧なゴールな訳で、それに対し色々と意識して行動してしまう…というのがパターン。で、その結果如何でヨメがオランダ人ハーフの巨乳美少女・シルヴィアになってしまったり、というドタバタが楽しい作品な訳です。

…で、二巻突入な訳ですが、一巻で青島君が我妻さんへの操を立てる為にフラグを折ってしまったサブヒロイン的存在のシルヴィア…彼女の豹変っぷりが注目ポイントです。青島君を始め、伊藤や小松らDX団メンバーの女王様みたいなポジションになっちゃってますが、一巻終盤でのあまりにも印象的な台詞

「He,wat jammer.」

がある訳で、我妻さんに見惚れる青島君を見て嫉妬したり、ちょっと照れながら海で一緒に泳ごうと青島君を誘ったり…と、ツンデレっぷりもちゃんと発揮してくれています。
ネットで「我妻さんは俺のヨメ」を取り上げている記事とかですと、9割方注目ポイントが我妻さんの可愛さなのが現状なのですが、私個人としてはシルヴィア押しなのです。(笑)

そういえば、シルヴィアに「オ前達!!」と呼ばれて青島君とDX団の面々が

「アラホラサッサー!!」

と返事するのが何とも…。(笑)
青島君達の平成生まれ世代はこのネタ知らんだろ…と思ってましたが、よくよく考えりゃ何年か前にリメイクされてましたっけ、「ヤッターマン」

そして今回もやっぱり良いのが青島君のお人よしっぷり。クラスの爽やか王子系イケメンの土井君が、タイムスリップ先である理由からクラスから相手にされなくなり、ニート&パチンカスの二冠を達成してしまっているのを目撃してしまいます。

この土橋君、我妻さんにもコナかけていて、言わば青島君にとっては恋敵的存在。我妻さんを巡る攻防を考えれば、彼には落ちぶれてもらった方が都合が良い筈。でも、彼は苦悩しつつもやっぱり助けちゃうんですわ、まっこと不器用な形で。この青島君のイイ奴っぷりがね、何とも好感が持てるのですね。

ラブコメとかの主人公は、大抵「優しくてイイ奴」的な描かれ方をしますが、彼の「イイ奴」ってのは他とは違い、自分の恋の成就に対してリスクを冒してまでも選んじゃう「イイ奴」な訳で、説得力があります。そしてそんな彼の「イイ奴」っぷりが、「情けは人の為ならず」ではありませんがちゃんと自分に変換していく…というのが何とも良いのです。青島君の「イイ奴」っぷりには、何と言いますか、嫌味がないんですね。

他にも、タイムスリップ先で出会った妹・ヒカリの豹変っぷりに狼狽した上将来の妹の為に小学五年生に果たし会いを挑む青島君…等々面白いネタが多いのですが、ラストはある人物が孤独のうちに死んでいこうとしている現実、という今回ちょっとヘビーな形で結んでいる二巻。果たして青島君はお人よしっぷり、イイ奴っぷりを発揮して彼を救う事が出来るのか?そしてその行動により我妻さんとの未来はどう変わるのか?三巻も楽しみですよ、ええ。

そういえば、一巻の方で我妻さんは自分の事を「我妻さん」と呼ぶ青島君に

「アタシ青島でしょ、青島亜ー衣っ」

という悶絶級の台詞を言っちゃったりしたのに、二巻でも彼女が青島君を呼ぶ時は「青島君」のままなんですよね。結婚した事を強調していた筈の我妻さんなのに、何故か旦那を苗字呼びという他人行儀っぷり…この辺、矛盾してますよね。実は、コレってバロメーター的なモノなんじゃないか…と私は思っているのです。つまりは彼女が青島君を「等君」ないし「等さん」…いや、「等」でも良いんですが、とにかく彼を名前で呼ぶようになったら、我妻さんヨメルート確定、という事なんじゃないかと。なんにせよ、青島君がどうリアルタイムな我妻さんと距離を縮めていくかが今後の見どころですかね。

あ、ちなみに今回やたらプロレスネタが多いのが個人的にツボでした。小松の越中ネタや、シルヴィアがビンタと共に発した

「戦ル前ニ負ケルコト考エル馬鹿ガイルカヨ!!」

とかね。(笑)
ちなみに、実は元祖は「戦る前に…」ではなく「出る前に…」が正解なんだぜ、と。


2012/8/30 「猫なんかよんでもこない。」(846) 「クロ號」(845)

前にもネタにしましたが、私の家では猫を飼ってます。
小学生の頃から飼い始めていますが、現在いるのは毛長種の入った雑種の黒猫(メス)です。

私がまだ学生だった頃に、台風が来ていた夜に捨てられていたのを姉が拾ってきた猫で、もう15歳以上とかなりのおばあちゃん猫です。彼女が拾われてきた時には他に二匹の猫が存命だったのですが、特に凝った名前をつけるわけでもなくチビ、チビと呼んでいたのが何時の頃からかチーコに転じ、それが定着しています。私は何故か彼女をチーコさん、とさん付けで読んじゃうんですが。

人見知りが激しく、自分を拾った姉夫婦と甥っ子が家に遊びに来たりすると、絶対に子供達の前に姿を表しません。もしかしたらウチに拾われる前に虐められていた猫なのかもしれませんね。とにかく臆病で、特に雷が大嫌い。ゴロゴロ鳴りだすとこの時ばかりは人の傍に寄ってきます。尻尾を下げてゆっくり…匍匐前進かよ、と言いたくなるような低い姿勢で。(笑)

まぁ、毛の色が完全な黒ではなく茶色がかっている上に灰色の部分もあったり、目つきがきつかったりと、「あんまり可愛くない」なんて言われてしまう猫ではあります。愛想もないですしね。その上、生まれつき目ヤニが溜まり易いので度々目のふちを拭いてやらなくてはダメですし、歯が悪くなっている様で自分で上手く毛づくろいが出来なくなってしまった為に体のあちこちに毛玉が出来てしまっています。最近はマメにとかしてる(後述)ので毛玉も減ってきましたけどね。

近所の人が飼ってる猫(この猫は家で一緒に犬を飼っていて、犬も室内飼いなのであまり家の中に入れてもらえない可愛そうな子だったりします)の方が人懐っこいので甥っ子達にも好かれてる位なのですよ。他所の猫なのに勝手に名前までつけてる位に。(苦笑)

でも、私は彼女の事が好きなのです。
最近は歳のせいか30cm程度の段差もやっと昇っている様な感じで、基本寝てばかりで元気はないのですが、私が風呂上がりとかに涼みにベランダに出ていた時、ついでに彼女の毛をブラシでとかしてあげたのが気に入ったらしく、最近ではコレが日課みたいになっていて、仕事から帰るとベランダの前で待ち構えている様になりました。ブラシでこすってやると気持ち良さそうに目を細めて喉を鳴らすのですよ。

…で、今回の「クローズアップ」は実はまだ「100選」で紹介していない作品。そのタイトルは「猫なんかよんでもこない。」…ちょっと前、モーニングで「クロ號」という猫の漫画を描いていた杉作(杉作J太郎氏とは別人)の漫画です。

中身は大して猫が好きな訳じゃなかった杉作氏がひょんな事からクロ(オス)とチン子(メス)という二匹の猫との生活を始める…という自伝的作品でして、杉作氏が「クロ號」を描くに至った経緯も描かれている作品です。

で、感想ですが…目から大量の汗を出してしまいました。
34歳の男が年甲斐もなく、たかが漫画読みながらボロボロと…。

ガキの頃から猫と一緒だった私の人生、この作品を読んで身につまされる事はもう、数限りなくあります。そしてそれ故に、作者が物語後半に感じた激しい後悔にも…堪らないほど共感してしまえるのです。

…あ〜、思いだしたらまた目から汗が…。

猫を飼っていた事がある、ないし今飼っている、という人なら、多分私と同じように泣きます。
猫が嫌い、あんまり好きじゃない、という人は、多分読んだ後に猫を見る目が変わります。
飼った事はないけど猫大好き!猫カフェとか超好き、行きたい!という人は…読んだ後にショック受けるかも知れません。

さ、明日も帰ったらチーコさんの毛をとかしてやんなきゃな。

この作品のせいで、興味はあったんだけど未見だった「クロ號」を探し回ったら現在絶版。それでもどうしても読んでみたくて、オンオフ問わず探し回った挙句、やっと見つけたトンデモナイ値段の奴を即買いして全巻揃えちゃったのは内緒の話。この手の絶版漫画にありがちな話ですが、最終巻が特に高額…。

ともあれ、こっちでもまた出ちゃうんだろうな、年甲斐もなくさ。(苦笑)

「猫なんかよんでもこない。」と「クロ號」は近々正式に「100選」の方で取り上げる予定です。


2012/8/15 「寄生獣」(24)と「東京喰種 トーキョーグール」(832)

「寄生獣」という作品は間違いなく名作です。コレに異論を挟む人は、恐らくグロ耐性が極端に低い人か、漫画は女の子のキャラデで決まる、という不文律が出来あがっちゃってる人か、さもなくば最後までちゃんと読んでいない人だと思う…というのは流石に言い過ぎですが、ある種一つの流れを作った作品である事に間違いはないでしょう。

しかし岩明均先生は面白い漫画家です。絵柄は今風のものでもなければ劇画調という訳でもない。妙にシンプルな絵柄ながら、読んでいると劇中で妙に印象的に感じるコマが結構あるんですよ。例えば「ヒストリエ」における「ばーっかじゃねえの」なんかはその代表格でしょうね。シンプルで飾り気ない絵柄だからこそ物語がすんなり頭に入ってきて、構成が上手いからシンプルな絵柄なのに気が付くと色んなコマが印象に残っている…という。この辺の上手さは、特に無駄に凝る癖が散見するイラストレーター出身の漫画家とかは是非見習って頂きたい所です。

さて、この「寄生獣」と比較される…というより「パクり」呼ばわりまでされちゃってる作品が「東京喰種」という漫画。まぁ、私自身「パクり」とは言いませんが、「寄生獣」に強烈なインスパイアを受けている作品だとは思います。ただね、世間でパクりパクり言われている程丸なぞりな訳ではないし、むしろ落とし所とかそういった部分を比較して見ると面白くなる、というスタイルで描いている作品に見えるのですよ、ワタクシには。

ちょっとその辺の「違ってる部分」を纏めてみましょ。

・寄生生物に右腕を乗っ取られ共生する羽目になる新一に対し、カネキは喰種の内蔵を移殖されて自分自身が化物に変貌してしまう
・新一は勿論、ミギーも人間を捕食する事は無いが、カネキは半喰種になった事で普通の食べ物を受け付けない体になってしまい、人を食う欲求と戦う羽目になる
・ミギーの事を一部の人間にしか知られなかった新一は他の人間と敵対する事はなかったが、喰種には彼等の駆逐を目的とした喰種捜査官が組織されており、カネキも喰種だとバレてしまったら人間側に狩られる可能性がある
・パラサイトは人間の脳を奪い取って代わる存在であり、種としての生殖能力を持たない存在。対し喰種は姿形こそ人間と同じだが、人間とは完全に別種で生殖能力も持っている。限定的ながら人間との交配も可能
・パラサイトは個というモノが薄く、基本的に「この種を食い殺せ」という本能に忠実。逆に言えばそれ以外には無頓着。一方喰種は人間と同等の社会性を持つが、人肉しか食えないという苛烈な生態のせいで人間に対し、妬みや憎しみといった暗い感情を持っている事が多い。

ココで注目が最後の2つ。上の3つに関しては「描き方の違い」という風に片付けてしまっても良いのですが、この下の2つは恐らく「東京喰種」という作品の根源とでもいうべきものかと。喰種は人間と同じ姿をし、同じ言葉を使う生物ですが、明らかに人間とは別種の生き物、という事を強調している設定な訳です。つまりは人間にとって喰種とは、ライオンや虎の様な猛獣が自分達と同じ姿で、同じ言葉を使い、人間の生活圏に紛れて暮らしている、というモノ。そして実際に劇中で喰種捜査官にそれを強調する言葉を吐かせている訳です。

「喰種は人間じゃないし、私達に危害を加える恐れがあるから駆逐されて当然なのよ♪」

まるで農作物を荒らすイノシシとか街に迷い出たクマに対しての発言の様です。この台詞、主人公が人間の食べ物を体が受け付けなくなってしまった様が描かれ、「あんてぃく」の面々がそれでも何とか人間と共存しようとする様や、喰種である事を除けば人間のそれと変わらない笛口母子の描写の後に続く訳で、読者にはいやがおうなしに思い知る訳ですよ。

「だからといって喰種だって生きているじゃないか」

という事をね。確かに、喰種は人間にとっては危険極まりない存在。喰種に喰い殺された者の家族が喰種を憎む気持ちは分かる。しかし、喰種だからといって狩られてしまったモノの家族はどうだろう、と。

この感じ、家畜の牛や豚が人間の姿をし、言葉をしゃべったら…という怖い空想に似ているかもしれない。この前提があるからこそ、人間と喰種の狭間に立つカネキの存在が生きてくる訳ですね。この辺のテーマは「寄生獣」にもありましたが、カネキがいやがおうにも捕食者側に立たされる本作の場合、より強調されている訳です。そういう意味で言えば、この「東京喰種」は「寄生獣」で描かれたものの一歩先を目指している、とも言えるのではないかな、と。

勿論、目指すモノが立派でも、物語として成立し面白いものになりえるかどうかは今後次第な訳ですが、ともあれこの「東京喰種」…非常に今後に期待したい…もっと言えば、落とし所、結び方が気になる物語なんじゃないかと。


2012/8/08 「しろくまカフェ」(833)

さて、今回の「しろくまカフェ」ですが、アニメ化に際しての原作者と編集者サイドのイザコザで連載元の「月刊flowers」で無期限連載休止だったのが、問題が一応の解決を見たと言う事で先月分から連載再開しています。この辺はネット上で色々騒がれてもいたので私以上に詳しい人も多い事でしょう。

私自身はね、こういう問題が基本的に嫌いなのでそんなに詳しく調べたりもしていないのですが、コレ、小学館なんですよね。以前はこの手の編集サイドと作家のトラブルの噂って、「飼い殺し」なんて言われてる集英社でよく聞いた気がしましたが、昨今は小学館が挙げられる事が多い気がします。

数年前、「黄金のガッシュ」の雷句誠氏の訴訟問題があった事は記憶に新しいかと。この問題に対し、作家内でも新条まゆ氏の様に雷句氏側につく人、橋口たかし氏の様に編集側につく人、色々と、ファンとしてはさして知りたくもない…むしろそういうのはファンの目に見えない所でやって欲しい、と言いたくなるようなレベルの騒動だった訳です。

ただ、コレだけインターネットが普及した現在だからこそ、個人の叫びとして作家の実情…といってもそれに対しての反論という奴は大抵うやむやになるか裁判に持ちこし…という形になり、最低限のワードしか表にゃ出てこないのである意味片側一方通行気味ではあるのですが、こうして表に出てくる訳です。

多分、この「しろくまカフェ」の件にしたってヒガ氏がツイッターに書かなきゃ表には出てこなかったし、ヒガ氏も泣き寝入りせざるを得なかったかもしれない訳で、それを鑑みるとこのような編集部とのイザコザで不満や怒りが黙殺され、泣き寝入りせざるを得なかった作家さんというのは、思いの外多いのかもしれません。

作家さんは、出版社から仕事として漫画を「描かせてもらっている」訳ですが、シビアな商売で、今描いている作品が人気があったとしても、1年後、5年後先は分からない。しかも、切られたら保障とかってない訳です。

でも、出版社側は違うんですよね。編集者は自分が担当している作品が切られても、作家は路頭に迷う羽目になるかもしれませんが、社員である編集者は何らかの罰則みたいなものがあるケースはあったとしても、素っ裸で外に放り出される様な事はない訳でしょ?ある程度の年収は保障されている訳でね、そういう意味では残念ながら作家と編集というのは対等ではない部分がある訳です。

だからといって、編集者サイドが作家に対し「描かせてやってる」と思うのは、そりゃ間違いだろ、と。人と人とで仕事している以上、内に秘めた傲慢さという奴は、分かっちゃうモンですよ。そこに信頼関係が生まれる筈もない訳でね。

電子業界の進出等で低迷している出版業界だからこそ、世界的に評価されている日本の"漫画"をこれからも守っていく為に、作家と編集者、お互いがウィンウィンな関係を築ける様にして貰いたいな、と1漫画ファンは思う訳なのです。


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