100選クローズアップ編 その5 2012/01〜2012/05



2012/5/04 「ブラックラグーン」(40)をダシにしたネタ

大分人を選ぶ話題ですので、キョーミない方はココで回れ右をお勧めします。

私、買っては売り…というスタイルでトイガンにも手を出している(よって数は持っていない。多くて3丁とか)訳ですが、昨今このスジのグッズを売っている店に行くとね、以前にも書きましたがやたらアニメやゲームとのタイアップが目立つのです。

古くは東京マルイが人気ゲーム「バイオハザード」とのタイアップをしてますし、以降

KSC…「ブラックラグーン」「ガンスリンガーガール」
マルシン…「甲殻機動隊」

なんかが有名ですかね。
もっと遡れば、マルシンは「ガンダム」のビームライフルや「ザブングル」の専用ライフルのモデルガンもリリースしてたんですよ。(笑)

ちなみに最近国内でも流通している中国や台湾製のものでも「ブラックラグーン」のソードカトラスがあったりします。メカはKSCではなくマルイのコピーの様ですが。

で、最近この手のネタで元気なのがウェスタンアームズというトイガンメーカー。挙げてみますと、

「けんぷふぁー」
http://www.wa-gunnet.co.jp/product_info.php?products_id=649
「カウボーイビバップ」
http://www.wa-gunnet.co.jp/product_info.php?products_id=700
「NOIR」
http://www.wa-gunnet.co.jp/product_info.php?products_id=711
「青の祓魔師」
http://www.wa-gunnet.co.jp/product_info.php?products_id=740
「緋弾のアリア」
http://www.wa-gunnet.co.jp/product_info.php?products_id=741
シルバーもアリ
「魔法少女まどか☆マギカ」
http://www.wa-gunnet.co.jp/product_info.php?products_id=742

…殆どガバメント系だね。(苦笑)
他にも劇中所持しているのがカスタムモデルでない場合は正式にタイアップせずとも著作権上問題ないので、そういうのを入れればもっと多くなるかと。しかしはい、どれもスゲェ値段です。私お気に入りのガスガン・マルシン製のポリスリボルバーだったら3丁も買えますよ。(苦笑)

ただねぇ…ウェスタンアームズ(以下WA)って会社は精巧な作りと完成度の高い作動メカが売りのメーカーで、その仕上げの良さとかからガンマニアに支持されているメーカー…故に、高額でも受け入れられている訳です。また、発売される個体数が少ないのも特徴だったりする訳で。

でもそれと同じ感覚では漫画やアニメのオタク相手にゃどうなんでしょ?私個人としては、かなりビミョーかと思うのですね。コスプレイヤーとかでも、派手な装飾とかがついているんならまだしもそういうのが目立たない銃ならば、東京マルイが出してる似たような形の奴をWAのタイアップ商品の半額以下で買うんじゃないかなぁ…と。少なくとも、アニオタとかなら3万とか払ってタイアップトイガン買うならDVDとかブルーレイ買うんじゃないかな、とね。

「24」のジャック・バウアーを持ちネタにしているどきどきキャンプの人も、ジャックが使っていたか定かではないリボルバーでネタやってる位ですからねぇ。(ジャックが良く使っているのはH&KのUSP(コンパクトかも)って拳銃です)

んで一方銃オタには、この手のタイアップであまりこう言う形でトイガン化されない銃とかが出たとしても、彼等にとっては余計なものでしかないアニメ臭い刻印だったりグリップだったり色だったりが足かせになって購買意欲を削がれる…ってケースも多いんじゃないかと思う訳です。WA製品を好んで買う様な銃オタなら特に、です。

下手なコラボより、アニメなり何なりで人気キャラとかが使っていたマイナーな銃をリリースする路線の方が、銃オタとアニオタにとってウィンウィンじゃないかな、と思う訳ですよ。この手のタイアップ銃って本体の装飾を除けば特徴的なのは大体グリップですから、アニメタイアップのグリップとかオプションで出す、とかね。

どうせこういうのやるんならさ、形状からしてオリジナルな奴…例えば「RED」のヘイトソングとかね。そういう意味では「ブラックラグーン」のカトラスもギリギリ良い題材だったのかも。アレはスライドとか延長されてますからね。

ただ私、このソードカトラスの劇中での使われ方…というより、使用者のレヴィに違和感を感じるのですね。キャラクターに説得力が無いと言いますか…。

確か海底に沈んだナチの絵をサルベージするエピソードで、ネオナチの隊長みたいなのが自身のカスタム銃を自慢している最中、レヴィが撃ち殺してしまう…というシーンがあり、その際

「銃なんて撃てて当たればそれでいいんだよ」

なんて言うんですが…カスタムガンを愛用しているキャラクターに言わせるべき台詞じゃないよな、と。この台詞の後、日本篇で愛用のカトラスを持ち込めず、渡されたトカレフか何かに文句言ったりもしてる訳でね、それこそ

「銃は撃てて当たればいいんじゃなかったのか」

と言ってやりたい気分になったりしましたよ。
銃とか好きで、バイオレンスやアクション漫画も好き…悪い奴らが一杯出てくる漫画も嫌いじゃないのに、世間で言われる程高く「ブラックラグーン」を私が強く支持出来ないのは、こんな些細な理由だったりするのですね。


2012/04/30 「一緒に暮らすための約束をいくつか」 二巻(752)

さて、今回のお題はココ「クローズアップ」にてほぼ単行本毎に記事を書いているお気に入り作品「高杉さん家のおべんとう」と設定が似ている…という事で注目していた作品「一緒に暮らすための約束をいくつか」です。この二作品、

30代独身男が突如女子中学生の保護者になる
2人が生活を共にする上でのキーとなるものが存在する
経緯はともかく女子中学生の方は30代独身男に恋心抱いている
その事に対し30代独身男はとことん鈍感である
30代独身男に惚れている同僚の女性がいる
その同僚の女性と女子中学生は割と仲が良い
女子中学生には悪友とでもいうべき女の子と、彼女に想いを寄せる男の子、というクラスメイトがいる
同僚の女性に想いを寄せる若い男がいて30代独身男に対抗心を燃やしている

エトセトラエトセトラ…実に共通点が多い作品なのですよ。

いやね、別段「高杉さん家のお弁当」プッシュで「一緒に暮らすための約束をいくつか」はパクりでケシカラン!!なんて言う気は全く無いのです。だって両方とも面白いんだもの。(笑)

ただ、「一緒に暮らすための約束をいくつか」はコレで終わっちゃったんですよねぇ…最後は駆け足だったものの終わらせ方自体は大団円でキレイだったのは良かったのですが、最後の最後…駆け足になっちゃった部分を、もっとじっくり読みたかったなぁ…というのが本音。そういう意味ではちょっと惜しい作品でもあるかな、と。

ともあれ、コレで完結という事で物語は大きく動きます…いや、もうホントビックリする位。この作家さん、基本コメディ寄りな作風の様なのですが、今回…というより今巻はかなりシリアスな展開を見せます。

特に吾郎が語る紗那の両親との"本当の関係"というのがキーとなっており、紗那が父親の葬式で吾郎に再会するまでの生活などが絡んで来て割と重い話になっています。

それを踏まえた上で、原さん曰く「とうとうキレちゃったか」な紗那の告白以降、14歳女子中学生が35歳男への真っ向勝負っぷりが何とも微笑ましく、眩しくもあり…でね。特に高校卒業後、遂にガマンの限界となった吾郎へ紗那が発した台詞等…破壊力あり過ぎです。(男ならコレをスルー出来る奴ぁいまいて/笑)

まぁ、そんなこんなで見事なハッピーエンドでしたね。ただ惜しむらくは、紗那の高校生時代とかもっとじっくり…後コミックス2、3冊くらいは読んでみたかったな、というのが残念かも。原さんはかろうじて描かれてますが、宮ちゃんや安東君のその後とか…意外と気になりますしね。

ホンット、久々に読み終わった後

「もうちょっと長い尺で読みたかったなぁ〜」

と焦れてしまった作品でしたよ。
そんなこんなで全二巻というお手頃な長さで完結した「一緒に過ごすための約束をいくつか」おススメですよ。


2012/04/01 「高杉さん家のおべんとう」五巻 (553)

さて、気がつきゃ「アイリス・ゼロ」と並んで新巻出る度に記事書いてる「高杉さん家のおべんとう」ですよ。構成としては、小坂さんが久留里に対し宣戦布告(?)したり、久留里達が中学卒業したり、丸宮兄が留年してしまったり、ハルの恩師でもあり久留里の担任でもある御手洗先生が定年退職したり…と前巻に引き続き見どころの多い構成になってます。

で、いつも通り基本はハルと久留里の2人がメインではあるのですが、今回はワキのキャラクターにスポットが強く当てられている印象。今回はハル&久留里以上に複雑な家庭の事情を持つスーパーまるまるの丸宮一家が目立ってます。

特に、今回初登場となった丸宮父…複雑極まりない"家族"を引っ張っている存在として説得力のある言葉をぶつけてきます。ハルにとってはこの丸宮父、近い境遇の先達として見習うべき部分は多いのかも。今回は接触が無かったものの、今後何がしかの絡みを期待したい所です。

丸宮家といえば、卒論提出後、小坂さんへ告白すると決めていたものの、トラブルに巻き込まれて結局提出期日に間に合わず、留年してしまった丸宮兄。一方彼のライバル(?)のハルも、教員採用の公募で小坂さんとの直接対決に負けて大いにへこむ羽目に…。

そんな中、小坂さんはとある出来事で久留里が抱くハルへの想いを敏感に察知し、久留里に宣戦布告する訳ですが…コチラも公募の件でハルとはギクシャクした関係に。その関係回復のキッカケとなったのが、それぞれの恋敵とも言える丸宮兄と久留里…というのが面白いよなぁ…と。

「まるいち的風景」を読んだ時も思いましたが、柳原先生はこの辺の構成というか、話の持っていき方が上手い人だな、と。物語を動かすキャラクターの使い方が上手いのでしょうね。しかしハルが発言し丸宮兄が泣きながら同意した

「あえて言わせてもらうけど男ってのは余計なことをする生き物なんだよ!余計なことして成長するってゆーか」

は…分かるなぁ…。(苦笑)

で、今回の見どころの一つになつ希の祖母、節子にして香山先生の母、久留里にとっては料理の師匠でもある節子さんと、久留里の母・美弥やハルにとっては恩師であり、久留里達の担任でもあった御手洗先生の意外な関係、でしょうか。

私はこの漫画で一番カッコ良い人は誰か?と聞かれたら間違いなく節子さんを挙げます。あまりメインで描かれるキャラクターではないのですが、久留里やハルに投げかける言葉がね、いちいち良いのですよ。なんて言うか、大人である事にもがき、四苦八苦するハル達とは違う…完成された"大人"のイメージがあるのですね、この人には。

ともあれ、中学で大いに成長した久留里と、前に進んではいるが…なハルの今後の生活…特に、高校入学という転機で環境が大幅に変わる(といっても園は同じガッコ、なつ希ともハルの絡みで縁が切れる訳じゃないでしょうが)久留里はどのような新しい生活を送るのか、そしてハルの方も、明確に好意を寄せる小坂さん、そして久留里とどう向き合っていくのか…ますますどうなるのか楽しみですね。


2012/03/20 「巨悪学園」 一巻(771)

この作品、先日紹介した西野マルタ氏の「五大湖フルバースト」も連載されていた講談社の季刊誌「ネメシス」に連載されている作品で、小池一夫御大を始めとする多くの漫画原作者とタッグを組んだ経験のある長沢克秦氏と、決して逆から読んではいけない事で有名な「主将!!地院家若美」の原作担当であるうどん氏の異色タッグが繰り出すギャグ漫画です。

ちなみに、うどん氏は昔マガジンで「むしまろ!」を描いていた人。「もう、しませんから。」にもたまに出ていますね。

さて、この漫画の基本ネタというのは不条理ギャグとでもいうべきもので、原哲夫先生や三浦建太郎先生に匹敵するレベルの濃い画風…読んでて手がインクでべったり汚れそうな勢いなのに、やってる事は完全にギャグ漫画…という手法なウリ。この手法、少し前にヒットした野中英次氏の「魁!!クロマティ高校」でも見られた(というかその前の「課長バカ一代」や「ドリーム職人」もそうですが)…割と使い古された手法です。

そんな訳で、キョーレツな絵と中身のギャップも勿論面白いのですが、この作品を取り上げるにあたって今回は"付属品"に注目したいと思います。

この作品の単行本、オマケが凄いのです。

いや、どこぞの作品の様にアニメDVDだのドラマCDだの出来の悪いヒロインのフィギュアだのが外付けで付いてくるのではありません。単行本を上から見て、黒っぽくなっている部分がオマケなのですが…なんとその量、半分近くです。

その中身は、作者の2人と現在「監獄学園」を連載中の平本アキラ氏の対談。ユニークなのが、この単行本に収録されたエピソードのネームが掲載されており、それにDVDのオーディオコメンタリ―的なスタイルになっている点。

しかもわざわざ

「これ以降のページは定価に含まれておりません。本書を正価で新品にてご購入いただきました"あなた様"だけのため、特別に100ページ以上もの特典を「無料」にて追加収録いたしております。」

等と書かれてます。(笑)

まぁ、実の所一般的な単行本よりはちょっと高額だったりしますから「無料ってのは嘘だろ」とツッコミ入れたくなりますし、「新品、正価でご購入頂いた"あなた様"だけ」とはいえ、ブックオフ等の古本店に持ち込まれても読めてしまうだろ、なんてツッコミもあるにはあるのですが、この単行本、他にも特典満載でして、

巨悪学園校歌デモバージョン無料配布
同校歌の歌詞、楽譜
御前崎の巨悪学園学生証
カバー裏にデラックス表紙カバー
謎のジャーナリストによる巨悪の告発

等々…とにかく読者やファンを楽しませようとするサービス精神が旺盛なのですね、ええ。まぁ、私も好きなアニメとかのDVD-BOXとかが出た際、どーでもいい特典がついたりする事に対して

「そんなんいらんから値段下げろや!!」

と言ってしまうクチですが、コチラはDVDとかとは単価が違いますから許せてしまいます。企画自体も面白かったですしね。「FIRE FIRE FIRE」の一巻の様な嫌なやり方じゃ困りますが、こういう部分は他の作品でもやって欲しい所ですね。基本誌面でのみ完結してるので、不出来なフィギュアとかつけて書店さんに不良在庫を強いるより良いやり方ですよ、ええ。

そういう訳で、この作品に興味持った人は是非「定価で新品」を買って、この特典を堪能しましょう!!(笑)

ちなみにこの作品が連載している季刊誌「ネメシス」ですが、中々に濃い作品が多いんですよね。前に紹介した「五大湖フルバースト」や、今後紹介予定の「誘爆発作」、「無限の住人」の沙村氏も連載しているそうで…今度買ってみようかなぁ…。


2012/03/17 「PEACE MAKER」第八巻(290)

「ARMS」や「スプリガン」で知られる皆川先生ですが、現在は小学館系列から離れた雑誌で連載している漫画が2本ありのして、そのうちの一つが今回ネタにする「PEACE MAKER」ですね。

「ピースメーカー」というタイトルですが、コレは銃器に興味がある人なら言わずもがなですが、西部劇の顔とも言える銃「コルトシングルアクションアーミー」の通称ですね。そんな訳ですから、この作品も架空の世界とは言え西部劇的な舞台設定で繰り広げられるガンアクション作品となっている訳です。

んで、西部劇が基本ベースで主人公の使用武器がシングルアクション式のリボルバーですから、スカした兄ちゃんやらワルっぽい姉ちゃんがニヤつきながら二挺拳銃でバンバン撃ちまくる…という類いのものではなく、クイックドローでの決闘がメイン…というのが実に私好みなのです。いやね、ワタクシ二挺拳銃アクションって嫌いなのですよ。(笑)

んで、今回の八巻では第二部の狼煙が切って落とされる訳で、ホープの銃を受け継いだニコラが主人公となる訳です。もっともホープの方も、兄・コールとの対決に敗れたものの、ピートとは異なりその決着は崖から転落…という形になっていて生死不明…つまりは二部での再登場の線は消えてはいませんが。

ともあれ、新主人公のニコラですが、得意のスポットバーストショットを始めとする技巧派なホープとは異なり、ニコラはホープ同様に正確無比な射撃を見せますが、彼の様な特殊なスキルは使いません。むしろその敵の心理を読み取り戦いの流れを掴む上手さが際立っています。

この違い、共に旅していた際にニコラがホープに師事
していた訳ではなく、彼が生死不明となって以降、戦闘スキルをコニー・レヴィンから学んだ…というのを強調している訳ですが、コレが上手い事2人の主人公の個性分けになってるかと思います。ニコラが主人公になったからといって何のてらいもなくスポットバーストショットとか使いだして、それを使える理由を

「彼の技を間近で見ていたから」

なんて片付けられると…興ざめですよね。
ともあれ、八巻では、更に強大となった敵、集まり始めるかつての仲間達、新たなる敵の登場…と第二部の狼煙上がる!!…という次への期待に溢れる作りになっております。

ちなみにこの「PEACE MAKER」は他の皆川作品とはちょっと違う…という印象が強くなっている気がしますね。舞台が架空世界である点や二部構成による主人公の交代もそうですが、例えば「ARMS」や「スプリガン」といった作品に近いのは、もう片方の連載中作品「ADAMAS」の方かと。

まぁ、その"違い"って奴が何なのかはまだはっきりとは見えてないんですけどね、ともあれ今後も期待したい作品ですよ、と。


2012/03/04 「我妻さんは俺のヨメ」第一巻 (770)

と、言う事で今回は「我妻さんは俺のヨメ」です。週に数度訪れる書店の新刊コーナーにて平積みされていたのを発見し、その時は「今っぽいタイトルだなぁ」程度しか感じず、手に取る事もなかった作品なのですが、それから数日後に何気にamazonにて「100選」のネタ探しをしていた際にこのタイトルに再会し、その時

「一時的に在庫切れ;入荷時期は未定です」

になっていたので、アレ?コレって実は人気作品なのか?と興味が湧いてきて、翌日書店に行ったら在庫を見つけたので購入…という形になった作品です。私の場合、こういうケースってあんまりないんですよね。

この「一時的に在庫切れ;入荷時期は未定です」ってのは昨年三月の大震災直後は結構amazonで大量発生していた奴ですが、この本がリリースされたのは割と最近、年が明けてからです。まだ復旧の見込みが立っていない被災地はともかく、昨今では流通もある程度は落ち着いているのでこの表示が出てるので、売れ切れ増刷待ちなのかも。(ネットとかで一気に話題になった漫画とかがコレになるケースが多い気がします)

…近所の書店ではフツーに在庫ありましたけどね。

それはともかくこの「我妻さんは俺のヨメ」ですが、平平凡凡な主人公と、容姿端麗成績優秀スポーツ万能な上に性格も良い子、な学園のマドンナ(この表現もはや死語か?)とくっつく…というありがちな作品と思いきや、この作品の場合は少し捻ってあって、ゴールの形が主人公に提示されるが、そこに至る方法がサッパリ無い状態…つまりは美味しい餌を目の前にぶら下げられてしまった主人公がそのゴールを現実とする為に右往左往する事によってゴールの形が違った形に変わってしまう…という形になってるんですね。
よく考えてみれば、主人公にとって高嶺の花である我妻さん…そんな彼女と将来結婚…というのは都合が良過ぎて当初は現実として認識出来ない訳で、彼も当初は夢としか思っていなかった…それが、未来で聞いたキーワードと現実に徐々に共通点を見出すことによってその夢が”未来の現実”だと信じるに至る訳なのですが、そもそもゴールが事実”未来の現実”であるなれば、未来を垣間見たとはいえ主人公にとってそれは都合の良い未来な訳で、別段未来を見たことによってジダバタする必要は本来ない筈。

それなのに、例えば我妻さんの愛犬の件然り、拘置所の伊東の件然り、シルヴィアの件然り…未来と現在双方を見てしまった主人公は…動いてしまうのですね、ええ。本作の評価と言えば、

「我妻さんがカワイイ」
「いや、シルヴィアをヨメにした方が楽しそうだろ」
「いやいや…妹だろ」

って形になってしまう気がしますが、実はこの主人公の不器用さが、案外この作品が面白く読める理由なのかもなぁ…と。主人公を羨ましくは思うが憎ったらしくは思わない…とでも言いますか。

この辺のヒロインに対する主人公、という奴に関しては男オタクの場合はね、男は単純ですから基本ヒロイン側ばっか見てるおかげで割と主人公に対しても「羨ましい!!」と思う位で基本平静なのですが、女性の場合はそうもいかず、ヒロインの善し悪し以前にヒロイン(この場合男な)とくっつく主人公に対して「あのブスが憎い!!」「彼にはあんな女相応しくない!!」って思っちゃうケースが多く、だからこそ主人公を除外したダブルヒロインである「ボーイズラブ」という奴が成立するんでしょうけどね。

とにかくこの「我妻さんは俺のヨメ」、主人公の言動に嫌味が無く、設定もありがちながらちょっと捻った部分が面白い。勿論ヒロインもカワイイ…と大変出来の良いラブコメです。書店とかなら在庫あると思いますんで、おススメですよ、と。

しっかし、この作品に出てくるガリガリガリクソンにそっくりな主人公の親友・伊東って奴がさ…私の知り合いにソックリなんだよなぁ…その容姿といい言動といい…似てるんだよなぁ…。(苦笑)


2012/02/25 「アイリス・ゼロ」第五巻(486)

前の巻で大団円と言っても良い形になっていた「アイリス・ゼロ」ですから、この五巻はどういう流れになるのか非常に興味深くもあり、楽しみでもあり…また怖くもあったのですが、今回はまぁ、閑話休題的なネタや、キャスティング完了した6人のキャラクターをより固めるエピソードとなっていました。

前回までの「瞳狩り」のエピソードではある意味"只の嫌な男"程度のイメージしか読者は抱かなかったであろう北条に対してもフォローがなされていたり、とつくづくバカ丁寧な漫画です。確かに「瞳狩り」の描写だと、久我ちゃんが奴に好意を持った理由とかが空っぽのまんま嫌な奴的扱いになっちゃってましたからねぇ。

…で、やはり触れねばならないのが前の巻の時の「クローズアップ」の記事でこんなこと書いてます。

あ、下種な勘ぐりかも知れませんが、幼馴染で兄妹みたいな関係である事が明かされた久我ちゃんと時田ですが、今回のエピソードを踏まえるとこの二人がくっつくのではなく、聖と久我ちゃん、あさひと時田…という構図を作者は狙ってるのかな?

この巻だけでは判断しきれませんが、どうやらこの予想は正解かも知れません。聖が久我ちゃんに彼氏役を頼まれて彼女の母親と会う事になったり、目立った動きこそないものの、そこかしこでお互いをフォローし合うような言動を見せる時田とあさひ…カバー裏のオマケでもこのカップリングでネタにされてましたし、今後の注目ポイントですね。

一方、今回はやや存在感の薄かったメインの2人…透と小雪ですが、小雪の親友にして透とも幼馴染、という双方に近いポジションのあさひが今回この2人の関係…というより透に対し釘を刺すエピソードがあり、こちらも次巻辺りで動きがありそうな雰囲気です。

そんなこんなで今回、割とラブコメ的な要素が強めだった構成なのですが、今後の彼等の行く末云々に関してはともかく、この作品に対して私は過度な期待をしてしまう様でして、単なる仲良しこよし漫画にはして欲しくないのです。

まぁ、現状では今回あさひの口から語られている様に、彼等6人は一見仲良さげなグループて゜はありますが、実際は

本音を隠しながら仲良しな自分達にあこがれて危ういバランスでつながってる

…そう、薄氷の様な関係と言えるのかも。何か一つでも踏み間違えればそこから収拾がつかない程の亀裂が生じる可能性がある、繊細で微妙な関係。これが今後

「色々あってそれを分かったうえでそれでもなお一緒にいる」

というような強固な"絆"になれるのか…そしてそれをどういう形で描くのか…うーん、続きが気になるなぁ…。


2012/01/22  「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」第一巻 (753)

作者の愛銃「エースハンター」を作っているシャープチバ社のHPでも紹介されているこの「山賊ダイアリー」ですが、この作品、今まで日本猟友会とかニュースでも度々目にすることはあるものの、イマイチ実態を知らない猟師というモノを描いた職業漫画的な要素と、東京から故郷の田舎に戻って現役の猟師としての生活を始めた作者・岡本氏の体験談をベースとした所謂日記漫画としての要素を併せ持った漫画です。

「銀河 流れ星銀」での村田銃片手に赤カブトと死闘を演じた竹田のじっさまの様な描写はなく、狩猟免許取得や銃所持の流れ、猟師仲間との交流、そして猟の様子や獲った獲物の解体・調理風景がメインになっている作品です。絵柄がシンプルでかなり淡々とした漫画なので、派手さとかを求める人には向かないかもしれません。

ただ、「猟師」という題材の物珍しさだけの作品…"雑学の友"的なじゃあないんですね、この作品。注目ポイントとして、岡本氏が猟師になるキッカケになったかも知れない出来事であるコチラを引用しましょう。

舞台は2009年1月、池袋のバーです。

岡本氏:…というわけでオレもいつか地元で猟とかやりたいんだよね〜なかなかきっかけがなくて今までやってないんだけど…

彼女:ええ…!!最悪!!動物を殺すなんて!!

岡本氏:さ…最悪?君だって肉よく食ってるじゃん…

彼女:ウシやブタはまた別でしょ!!また屁理屈!?

岡本氏:またってなんだよ…同じだよ、人は他の生き物の命をうばって生きてるんだよ。
あのね、猟で命をうばうのもスーパーで肉に金を払うのも行為としては同じ事で…

彼女:は〜…こんな野蛮な事言う人だとは思わなかった。見損なった

岡本氏:な…なにお〜…
じゃあなっ…俺は田舎の猟師として生きていくから

彼女:さようなら山賊さん

…まぁ、些か彼女の言い分は「クジラは牛や豚と違って賢いから捕鯨なんて野蛮だ」という連中の言い分に近い極端な反応ですが、世間一般の猟に対する反応ってこんな感じかも知れません。同じ「りょう」なのに漁の方はココまで拒絶されない気はしますが、コレは国民性(食文化や銃への強いタブー意識とかね)の問題でしょうね。

ただ、荒川弘氏の「銀の匙」や「百姓貴族」を読んだ時も感じた部分なのですが…実の所スーパーやレストランとかで加工された、所謂「肉」としての動物と、動物園や牧場等で見る「動物」そのもの…その中間を知らない我々の様な立場の方が、実は「生命を奪って生きている」という事に無頓着になっているのでは?という事です。

「銀の匙」や「百姓貴族」で描かれる農業従事者にしろ、「山賊ダイアリー」の猟師にしろ、動物を肉にする中間の部分を知っている…というより自ら実践している訳です。そしてそこには間違いなく「命を奪う事」への葛藤があり、漫画でも描かれている訳ですね。

この部分を知らない我々…何処か動物と肉を別物として捉え、それでいて当たり前のように食卓に上る「かつて動物だったもの」を食べている方が、実は無頓着になってないかい?とね、思える訳ですよ。

そんな大それたテーマは本来持ち得ていない(失礼)であろう「山賊ダイアリー」ですが、淡々と描かれる本作を読むと、不思議とこんな事を考えさせられるのですね。

この「山賊ダイアリー」、上記の様な意味合いを込めて、「銀の匙」や「百姓貴族」と併せて読むことをお勧めしたい作品です。


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