100選クローズアップ編 その14


2016/12/30 漫画の脇役達について その3

さて、3日目は「大人の脇役」と題して書いていきます。

別に昨今の漫画作品の手法にケチつけるつもりはないんですが、特に黄金期以降の少年漫画やライトノベル原作モノには必要以上に大人がいない作風が少なくない気がします。分かり易い作品で例を挙げれば「ドラゴンボール」ですか。

よくよく考えてみると、悟空って肉体的、戦闘能力的にはガンガン成長しますが、根っこの部分…人格面や成長面ではあんまり成長していないキャラクターですよね。人格的には幼少期からある程度完成されてしまっていて、知恵、知識による上乗せはあってもそんなに大きく精神的な成長を遂げている…というのは違うかと。勿論、「ドラゴンボール」という作品がある程度そういう要素が本筋に絡まない作品…というのもあるんですが、師匠たる亀仙人にしたって悟空を鍛えはしても、成長を促す存在では無かったように思います。

つまりは、結構「大人が不在」だった作風にも見えるんですよ。もっと露骨なのが学園とかを舞台にしたライトノベル原作モノ。ラブコメモノだと舞台を学園にして露骨なまでに大人と呼べそうな存在を排除しにかかりますし、バトル系のモノでも設定で大人が少ないとしてしまったりする作品って多い気がします。例えば、ラブコメモノでは主人公の高校生は両親が海外出張で妹と二人暮らし、という設定だったり、バトルモノでも登場する教師をわざわざ容姿を幼くしたりと主人公達に近しい位置づけにしたりしている気がします。

いやいやいや…私ゃその手法が悪い、と言ってるんじゃないんですよ?そもそもライトノベルに関してはコミカライズとかしか読まないので門外漢と言われればそれまでですし、そういった作品群に精通している人からすれば、偏見なのかも知れませんし、そもそも私自身も別にそういう作品の中に好きな作品はありますしね。

ただ、例えばより現実に近しい…例えば部活モノであったり、青春モノであったりするなれば、導き手って大事なんじゃないかな?というのがこの「大人な脇役」について書こうと思ったキッカケなのですね。では、こういう大人に惹かれる、尊敬する…と思わせる、漫画世界の脇役を挙げていきましょう。

真っ先に挙げたいのはこの人、井狩俊樹
誰かと言いますと、日本一泣けるレースマンガ「Capeta」(67)に登場するキャラクター。カペタの父・シゲさんが勤める会社・イカリ舗装の社長さんです。息子の為に必死にカートレースの費用を稼ぐ父・シゲさんや、カペタにとって初めて師匠と呼べる存在である竹森さん等、この作品は良い大人、カッコいい大人が沢山出て来るのですが、導き手として最も光っていたのはこの社長なんじゃないかと。 
特に、貧乏なカート時代はこの人がいなければカペタはレース活動を続けられなかったであろう、彼にとって最初のスポンサー。そして社長自身も要所要所で重みのある言葉でカペタを叱咤しています。実は、コミックスのカバーに描かれるカペタのレーシングスーツにはイカリ舗装のロゴが大抵入ってるんですよ。
この作品、カペタや源の天才っぷりやノブやモナミとの友情、そして熱過ぎるレース展開ばかり注視しがちですが、彼等を見守る大人達も中々に熱い作品なのです。

続いてはゴルフ漫画から「風の大地」(54)の宇賀神さんや、「新上ってなンぼ 太一よ泣くな」(53)の闇塚さン、蝉丸さン。この2人は導き手、というのとはちょっと違うんですが、コースで戦っている主人公が窮地に陥った時、回想として彼等が登場して的確な助言をし、ナイスリカバリーで窮地を脱出…というパターンが共通して多いんですね。
ゴルフ漫画ってのは個人、しかもメンタル面が大きいスポーツ。しかもトーナメントとかに出場していたとしても、突き詰めてしまえば本当の意味での敵はコースそのものだったりする訳で、他のスポーツの様な師弟関係ってのは案外表現し難いんですね。そういう意味で言えば、コース外でもこういう師弟…とはちょっと違うんですが、そういう関係性を作れているキャラクターとして貴重な存在なんじゃないかと。ゴルフ漫画でも長期連載になっている作品の2大巨塔ですしね。

そしてラストは今度アニメにもなる「亜人(デミ)ちゃんは語りたい」(1212)の高橋先生…って、この人主役ですが。(笑)
ただ、この人の場合、亜人達の学校生活を見守り、導く立場でもある訳で、そもそも亜人達への対応等に苦慮したり、関係の在り方に苦悩したりと主人公らしい事もしますが、基本は亜人達の生活に関して噛み砕いて読者に伝える様な役割を担っているキャラクターだったりもします。導き手、としての「大人」としても非常に良く出来たキャラクターなので、ルールを曲げて敢えての紹介です。

他にも複数人で括れば、例えば「鋼の錬金術師」(243)のカーティス夫妻「ARMS」(57)の"通りすがりのサラリーマン"と"笑う女豹"夫婦等の親、ないし親代わり、というポジションの人にこの手の「大人」は多いですね。それから「銀の匙」(679)の教師陣「みそララ」(854)の上司陣なんかもそうでしょうか。

ただ、個人的に一番惹かれるのは「妖怪アパートの幽雅な日常」(843)のアパートの面々や、「大江戸妖怪かわら版」(1181)の江戸の住人達でしょうか。2作とも、原作が児童文学も手掛ける故・香月日輪さんなので、見守る目が暖かいんですね、ええ。

と、いう訳で、脱線も多かったですが「脇役について」はこれにて終了。



2016/12/29 漫画の脇役達について その2

さて、2回目…という事で今回は脇役女性キャラ、というのを題材にして一つ書いてみます。まぁ、女性脇役キャラといってもサブヒロイン的な人から完全なモブの人まで色々とおりますが、取り敢えず個人的に好きな脇役女性キャラを挙げていきますと…

シャウィー 「マージナル・オペレーション」(1104)
ルカ 「ベルセルク」(47)
アンジー 「RED」(37)
ヘレナ 「EDEN」(190)
ライラ 「勇午」(787)
ミザリィ 「ゲート 自衛隊彼の地にて斯く戦えり」(829)


…はい、彼女らには共通点がありますね。全員、「娼婦」です。(苦笑)
そして全員に言える事は、身をひさぐ、という蔑まれる様な行為で糧を得ていてる事を承知で、強かに、そして誇り高く生きている…という点。それ故に娼婦仲間の中でも一目置かれた存在であり、仲間はおろか客にも彼女を慕う者が多い…という、総じて、"さん"づけ、ないし姐さんと呼びたくなるようなキャラクター達です。

シャウィーはアラタが研修の際に出会った女性。漫画版では基地近くの売春宿に身を置く他、基地で日本語通訳も担当。包容力が高い女性で、研修時代のアラタの心の支えとなった人物。私が見ているのは漫画版のみですが、今の所作中で「一番良い女」だと思っています。原作版では再登場するとの事なので、漫画版でも再登場期待してしまいます。

ルカは断罪篇に登場した娼婦達のまとめ役で、キャスカを保護したキャラクター。ガッツ達との絡みは然程多くなかったものの、"完璧な世界の卵"に彼の目的や身の上話を聞かされる、というキーマン的な存在。

アンジーは娼婦をしていた街にやって来たREDを気に入り、彼の復讐の度に同行する事となる女丈夫。ヘレナは「EDEN」の中盤からしばらくは主人公をヒモにしていたキャラクターで想い人的な存在。主人公に多大な影響を与えた事を考慮すればヒロイン格とも言える存在でしたな。

ミザリィは帝国悪所で亜人種の娼婦達のまとめ役的なポジションの有翼人で、自衛隊の協力者の1人。残念ながらこの中では真の意味で脇役なので、描写自体はそんなに多くないキャラクターですが、漫画版ではありますが少ない彼女の描写は他に挙げている姐さん娼婦キャラに負けない魅力があります。

この手の、性格は男勝りでやや蓮っ葉な所はあるものの、娼婦に身をやつしながらも人としての誇りは捨てていない強い女…それでいて人情味も併せ持つ…という、そういうキャラクターにワタクシ、滅法弱いんです。(笑)

ただライラだけは若干素性が異なるかも。彼女はパキスタン編に登場するキャラクターで、本業は旅芸人(踊り子)だが身体も売る、という女で、体を売るという穢れた行為の時に間違って神(アッラー)の名前を声に出さない様親に舌を切り取られている…というキャラクター。故に最後の最後にしか喋らないんですが、困難な仕事を果たそうとする勇午に献身的に尽くす様がまぁ何とも健気なキャラクターなのです。

いやね、私ゃ別に風俗通いとかしてませんし、キャバクラ嬢とか風俗嬢の世界を描いた、みたいな作品には正直微塵もキョーミなかったりします。でも、フィクションでのこの手の娼婦キャラってのには…何故か惹かれるんだよなぁ…。

…というより、背中を押す系の女性キャラクターに弱いのかもなぁ…。
と、いう事で次回は「大人な脇役キャラクター」について書こうと思います。



2016/12/28 漫画の脇役達について その1

今回は、単体タイトルではなく「レイコックの好きな脇役キャラの傾向」と題して、脇役キャラクターについて書いていこうかと。漫画…に限らずドラマ、小説、アニメ…フィクション全般に言える事ですが、そりゃあ主人公に魅力がなければ話にならない訳ですが、主人公単体の魅力では中々面白くなってくれない訳です。そこには可憐なヒロインだったり、心強い仲間だったり、強大な敵が重要…そこで、今回はあまり物語の本筋に絡んでこない系統の「脇役」にスポットを当て、ワタクシの場合どんな脇役に惚れるのか、というのを書かせて頂く、というのが今回の嗜好となります。

1.サブ的ライバルキャラクター

主人公のライバル的なポジションではあるものの、本筋…例えば主人公の目的等からはやや外れていて、宿敵、とかそういう類ではないタイプの脇役ですね。主人公と時に共闘したり、ピンチに駆けつけたりする中々美味しいポジションで主役を張るエピソードを貰えるキャラクターなれど、仲間になった途端、弱体化したり噛ませ犬化したりする傾向があったりもする…というアレです。

そんなキャラクター群でレイコックのお気に入りは…

ボー・ブランシェ 「スプリガン」(58)
オーパーツの力で世界征服を企むネオナチの少尉で、後には主人公サイドであるアーカムの仇敵・トライデントの傭兵となる男。彼のユニークな所は悪役サイドのキャラクターであり、「強者が弱者を導くべき」という戦民思想の持ち主ながら、その思想には「同時に強者は常に弱者を守り幸せにするべき」という続きがある…というノブレス・オブリージュ的な思想の持ち主。主人公との対決を差し置いて子供を助けてしまう、等決して悪人という訳ではない、いやむしろ根っこはかなり良い奴、というのがポイント。
戦いも正々堂々としたものを好み、日本のゲーム等の影響で「決め台詞を言う」「必殺技の名前を叫ぶ」等と言った正義の味方的な行動をとる実に面白いキャラクター。最期、暁が彼に告げた一言にこみ上げた人も多い筈。

ゼロ 「闇のイージス」(542)「暁のイージス」(543) 
頭部に受けた銃弾で痛覚や温度覚、味覚まで失った殺し屋で、幼い頃から暗殺者としての訓練を受けた上、自らの無痛症体質を生かした無茶な戦いで、「殺さず、殺しに加担をしない」を信条とする雁人の前に「殺さなければ止められない」存在として幾度も立ちはだかったキャラクター。ゼロ自身も不殺を貫く雁人の信条に対し強い反発しているが、対決を重ねる内に交わらないまでも雁人と共闘するまでに至る…というかなり美味しいポジション。
サブライバルの典型みたいなキャラクターなれど、中盤以降、もっとサブライバル…むしろサブ主人公的なポジションとしてジーザスが登場してしまった為にイマイチ存在感が薄れたのは残念かも。でも、ジャン・レノをモデルにした風貌や、「灰は灰に…塵は塵に…土は土に…」という聖書から引用した決め台詞が良い感じなのです。

海坊主 「シティーハンター」(33)
元傭兵で裏の世界ではシティーハンターと並び称される凄腕のスイーパー・伊集院隼人こと海坊主ですね。私と同じ位の世代なら、もう何度も本放送、再放送でアニメの「シティーハンター」を見ている事でしょうから説明不要でしょうね。ライバルという割に、初登場のエピソードや美樹の件、視力を失った際位しか直接対決はないんですが、完全な仲間、というよりはライバルポジションとしたいですね、やっぱり。
リョウがスケベなキャラクターをウリにしていたので、硬派な中にもふとみせる不器用な男の優しさ、という描写が多かった海坊主の方がむしろ思春期の読者のウケは良かったんじゃないかと。ルパンより次元、的なノリで。

TETSU 「スーパードクターK」(29)
「スーパードクターK」から「Doctor K」「K2」と3作全部に皆勤賞のライバルキャラですね。ちなみに本名は真田徹郎で、アニマルウェポンやガン発生装置等で暗躍したテロリスト的な医師・かきょうい…ゲフンゲフンッ…真田武志の実弟だったりします。彼も根っからの悪人というよりは過去により歪んでしまった男。意外と子供好きだったり憎んでいた筈の兄の死に涙したり、と人間味が強いキャラクターでもあります。
彼の場合、タイトルが進むにつれKAZUYAへの執着が強くなっていく…というのが現在進行形で面白いキャラクターで、「ドクター」ではKAZUYAの妹・KEIと奔走したり、「K2」でもKAZUYAのクローン・一也に執拗に絡んだり、とツンデレ状態に陥ってます。

他にも、「D-LIVE!」(51)のロコや、「無限の住人」(11)の凶戴斗「ブラックジョーク」(702)のジョニー「エンジェル伝説」(31)の黒田とかですかね。作品自体はあんまり惹かれませんでしたが、「るろうに剣心」の斉藤一とか、この近辺のジャンプのバトル系漫画なら探せばもっと見つかるかも。尤も、その辺りのジャンプ作品自体にあまり思い入れが無いというか…。(苦笑)

ただこのサブライバル…割と私が好きな系統の漫画には少ない気が…というより、一歩間違えると只のライバルになっちゃうので、自分で区分しておいてなんですが選び難いというか何と言うか…。

そんな訳で長くなったので続きは次回。
女性キャラ編か大人キャラ編をやろうと思ってます



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